ブックマーク / note.com/shinshinohara (21)

  • 非効率で遠回りな学習が一番効率的で応用が利く|shinshinohara

    教科書や参考書を使った効率的学習がとても非能率で、遊びの中で好きなことを好きなだけ学ぶ非効率なやり方がとても能率がよいのは気がついていたけど、それがなぜなのか、長らく言語化が難しかった。人工知能の研究の話を聞いてから、「ああ!だからか!」と納得がいった。 昔の人工知能では、モノをつかむということがとても難しかったらしい。いくら「正解」を覚えさせても少しズレたり荷物の形が違うだけでつかめなくなってしまう。応用力がまるでなく、なかなか使い物にならなかったらしい。 しかし「深層学習」という手法を取り入れてから、劇的に改善したという。 深層学習では、「正解」を教えない。ただ、右から左へ荷物を動かそうとする「動機」だけプログラムする。するとロボットアームは何度も荷物をつかもうとトライしては落とす。何百回、何千回も失敗を重ねる。そして一つ一つの失敗から学習を重ねていく。すると。 やがて「こういう形の荷

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  • 金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara

    もう二十年ほど前から「東大に進学するのは裕福な家庭」という報道が繰り返されている。そしてそのことを知っている人は非常に多く、今や常識。そのためか、街角インタビューでも「どうせ東大生は金持ち出身なんでしょ、だったら学費上げても構わないでしょ」という意見が。 これは恐らく「金持ちからはふんだくったらいい、ざまあみろ」という報復感情も多少手伝っているのだろう。 しかし実態は逆になる。金持ちには150万円の学費なんか痛くもかゆくもない。しかし貧困家庭ではとても支払えない金額。単に貧困家庭を大学という学歴から締め出す効果しか起きない。 これと似たことが政治でも。日では「政治家はカネに汚い」というイメージがある。どうせ権力を利用してお金儲けしてるのだし、元々金持ちだろうから、政治家は無給にしてタダ働きさせればいい、という意見がしばしば出る。これを、金持ち政治家に一矢報いるアイディアくらいに思う人が少

    金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara
  • 「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara

    ビートたけしに始まり、ダウンタウンが引き継いだ「いじり」という手法は、集団を「嗤(わら)い」で支配できるということを子どもたちに示してしまった面があるように思う。 頭の回転がよく、言葉巧みな強者は、特定の人間を「いじられキャラ」に仕立てることで嗤いを生む。この場合、 いじられキャラと目された人間は、他のポジションを要望する自由を奪われる。もし拒否すれば、「笑いがわかってない」「せっかくお前が主人公になれるようにしてやったのに」と恩着せがましさを見せながら相手を罵り、それでも拒否するなら集団から排除する。「おもんねーヤツ」とレッテルを貼って。 こうした強者は空気を支配するのがうまい。大学のサークルの新歓コンパで、そうした先輩がいた。新人に自己紹介をさせたあと、ビールを何杯も飲ませて酔い潰させていた。さて、私の番。ビールを飲み干し、コップを頭の上で逆さにし、「あー、うまかった」と言ってそのまま

    「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara
  • 体験欠乏症|shinshinohara

    お金もらうわけにいかないし、晩飯だけべさせて」という約束で家庭教師をしていたことがある。指導することになったその子の状況について、家族全員に説明していたところ、その子の妹が不思議そうに「なんで文章みたいに話せるの?」と聞いてきた。 その家族の会話は、ほとんど単語で終わっていた。「ねえ、○○は?」「おい、△△しろ」その場の状況から察することができるから、単語で事足りる生活をしていた。状況から察する能力があるのだから、頭は悪くない。ただし、言葉を鍛えられる環境にはなかった。 もちろん家族の誰も、を読む習慣がなかった。「文章」と出会うのは、学校の教科書くらい。そんな生活環境の中で、私のように「文章」のように論理を組み立ててしゃべる人と出会って、その妹は驚いたようだ。 そのような生活環境で言葉を鍛えることができるかというと、難しい。言葉を鍛えなければ、学校の勉強についていくのも難しくなる。何

    体験欠乏症|shinshinohara
  • 目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara

    私の塾は基、成績のあまりよろしくない生徒が来ていたのだけれど、たまに勘違い(?)した親が、ものすごく成績の良い子を連れてきて「お願いします」と言ってくる場合があった。中学受験に失敗し、高校受験で挽回したい、という熱意を母親が持っていた。面接のとき、母親は子どもに語りかけた。 「あなた、同級生の○○ちゃんが合格して、泣いて悔しがったでしょう?高校受験で挽回する、って誓ったじゃない!?○○ちゃんは今頃頑張っているよ。負けていられないわよ」子どもはうなづきつつも、またその話か、といった、辟易とした顔をした。 不合格だった時は、人も口にしてその通りのことを言ったのだろう。けれど、それを言質に取られて、母親からヤイノヤイノと急き立てられる毎日に、ほとほと疲れ切った様子だった。塾以外の時間も勉強漬けにされ、中学1年なのに眉間に険が走っていた。大の勉強嫌いになってしまっていた。 自分の親とはいえ、他

    目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara
  • 「勉強できない子」は難しく考えすぎ(指導の言葉多すぎ)|shinshinohara

    勉強できない子は一般に、理解力がないからだとされることが多い。塾で主に「勉強できない子」とされる子らを見てきた私からすると、そうは思わない。むしろそうした子の9割は「考えすぎて混乱」していることが多い。糸がもつれてこんがらがって、イヤになってるという感じ。 「勉強できない子」は、しばしば分数でつまづく。そもそも、分母と分子が区別ついてない。これには指導者側にも問題があって、私にも覚えがあるけど、分母と分子を指導者が言い間違えることが結構ある。聞いてる側からしたらよけい混乱。 私は「下の数字はケーキをいくつに切るか、や」「上の数字は何切れあるか、や」と、口語表現にして説明していた。しかし「説明」という言葉自体が混乱を招いている。言葉に縛られて混乱していることが多いから、言葉は最小限にして、「体験」で学んでもらったほうがよい。 1/3を見せて「さあ、このマルをいくつに切る?」と言いながら、マル

    「勉強できない子」は難しく考えすぎ(指導の言葉多すぎ)|shinshinohara
  • 子育ての要諦は「私が育てたのではない」と考えること|shinshinohara

    FB友が「なぜ大谷翔平の親は『大谷翔平の育て方』を語らないのか』という問題提起をしていた。これは大変興味深い視点。将棋の世界で7冠を誇る藤井聡太氏の親御さんも、や講演の依頼が多いだろうに、語ったことはない。なぜ講演依頼を引き受けないのか?受ければ年億単位の収入となるだろうに。 恐らく、「私達が育てたんじゃなくて、あの子が育ったんだ、自分たち以外の皆さんが育ててくださったんだ」という思いをお持ちだからではないか。そういう思いがしっかりしてるから、語る気にならないのではないか。もし語ったら、その途端、全てが崩れ去る気がするのかも。 私は部下育成のを書かせてもらったけど、当初、全然筆が進まなかった。自分がどう育てたか、みたいな自慢をするのはなんか変だと思ったし、私の力で育つものではない、と強く感じたからだ。筆が進みだしたのは「私を育ててくれた人のことを書こう」と思った時からだった。その時、気

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  • 「言語化」考|shinshinohara

    言語化は「言葉を操る」とは違う。言葉を巧みに操ることは、言語化から最も遠い姿だと思う。言葉に言葉を重ねたら、自分の感覚から遠ざかってしまう。言語化は、自分の感覚に肉薄することであって、言葉を連ねることとは違うように思う。 だから、言語化は、言葉巧みな人よりも言葉の拙い人のほうが最も近いところにいるように思う。自分の感覚を言葉にできず、もどかしい思いをしているなら、それは最も言語化に近い状態。言語化は、自分の感覚に肉薄しようと四苦八苦して言葉を紡ぐことなのかな、と思う。 言語化のもう一つのコツは、人に伝わるかどうかを指標にしないこと。人に伝わることを指標にすると、どうしても常識的な言葉を選ぶことになり、自分の感覚から離れてしまう。言葉の選択も制限されてしまう。自分の感覚により近づけた、と、自分でしっくりくることを大切にすること。人を指標にしない。 自分がしっくりするなら、その分野では使われな

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  • 先回りすると興味を失う、後回りして驚くと興味を示す|shinshinohara

    子どもが興味関心を失う大きな原因に「先回り」があるらしい。 自分が子どもの頃、大好きだった図鑑があって、「これ、お父さんが大好きでよく読んでいたんだ」というと、一つも読もうとしなかった。 ところが知人がくれた図鑑は擦り切れるほどに何度も読んで、私にその知識を披露してくれた。 私の勧めた図鑑を手にとろうとしなかったのは、私がその図鑑の内容について詳しいからだろう。ということは、その図鑑から知識を仕入れて親に披露しても、親は「ああ、知ってる知ってる」という反応しかしないだろう、それどころか追加の知識も披露して自慢するだろう、と嫌気がさしたのかも。 「名探偵コナン」が大好きな息子。そこにたびたび三国志エピソードが挟まるのに興味をもち、「三国志読んでみたい」と言い出した。三国志好きな私はそれで嬉しくなってしまい、熱く語ってしまった。そこから息子はマンガ三国志を読まなくなってしまった。私が詳しいこと

    先回りすると興味を失う、後回りして驚くと興味を示す|shinshinohara
  • 「勉強しないとどうなるか」という脅し|shinshinohara

    勉強しようとしない我が子を見て、「勉強しないとどうなってしまうか」という将来の話をし、なんとか勉強する気を起こさせよう、とする親は多い。気持ちは分かる。勉強しなければ損をする。我が子を思えばこそ、勉強しとけとアドバイスせずにはいられない、と。ただ。 「勉強しなければこうなってしまうぞ」という話は、子どもにとって脅しとなる。そうした脅しを聞いた子どもは勉強に対してどう思うかというと、「こんな脅しでもかけないと勉強しないと思われるくらい、勉強というのはつらくて面白くないんだ」という裏メッセージを受け取ってしまう。その結果。 ますます勉強するのが嫌になる。脅さなければ勉強するはずがない、という親の思いを感じ取って、ますます勉強に対して気が重くなる。ほとんどの子はこのためにますます勉強が嫌になり、なるべく逃げようとする。逃避しようとする。 ごくたまに例外がいる。もともと勉強ができる子。自分は良い成

    「勉強しないとどうなるか」という脅し|shinshinohara
  • 結果をほめるとつけあがることが、プロセスをほめると「頑張り無罪」になることが。ではどうすれば?|shinshinohara

    子育てでも部下育成でも、「ほめて育てる」がかなり出ている。しかしほめると「つけあがる」という現象がしばしば起き、まるで勉強しなくなったり働かなくなったりする。ほめる言葉は子どもや部下のやる気を高めるどころかますます動かなくなる原因になったりする。これはなぜなのだろうか? 「100点ばっかりなんてすごいね」と、結果ばかりほめたり、「営業成績トップなんてすごいね」と成績はかりほめたりすると、逆にやる気を見せず、動かなくなることがある。これはおそらく、不安になるからだろう。今回はたまたま100点が続いた。今回はたまたま大口顧客が大量買いしてくれた。でも次は? 同じ結果を続ける自信がない。なのにほめてくれる人がいて、同じ結果、成果を期待されている。けれど同じ結果を出す自信がない。そんなとき、「オレはやればできるけど今はやらない」という論理武装して逃げ込む。幸い、これまでの成績が実力を示してくれる

    結果をほめるとつけあがることが、プロセスをほめると「頑張り無罪」になることが。ではどうすれば?|shinshinohara
  • 「人を動かす」より「人が動く」構造づくり|shinshinohara

    私は農業研究者だからか、大人も子どもも、トマトや微生物と同じように「どうにもしようがないもの、基、言うことを聞いてくれないもの」と見なしている。 しかし面白いことに、自ら能動的に動くのなら、話が違ってくる。この点は、微生物もトマトも、そして大人も子どもも同じ。 私のもとに来る学生にいつも出すクイズ。「邪魔な木の切り株がある。これを微生物の力で取り除いてほしい」。こういうと、木材を分解する微生物を見つけだして、それを切り株にぶっかければ?という回答が来ることが多い。実際、学会発表でもそうしたものが多かったのも事実。しかし。 分解微生物を切り株にかけても、3日もすれば跡形もなく消えてしまう。土着微生物に駆逐されて。もちろん切り株はそのまま。分解微生物をぶっかける、ではうまくいかない。 しかしここで面白い方法がある。切り株の周りに肥料をまく。すると、切り株は数ヶ月もしないうちにボロボロになる。

    「人を動かす」より「人が動く」構造づくり|shinshinohara
  • 日本の男性がコミュ障に陥った歴史的経緯(仮説)|shinshinohara

    昨日まとめたツイート、年配の男性が比較的コミュニケーション苦手、という事例をいくつか並べたけれど。私は結構、後天的、社会的な学習によって口下手になったのではないか、という仮説を持っている。実際、江戸時代の「東海道中膝栗毛」なんかを読んでいると。 https://note.com/shinshinohara/n/na646f2174880 いわゆる弥次喜多が繰り出す軽妙なやりとり。こんなの見ていると、男性が口下手、社交下手だったとはちょっと考えにくくて。船に乗ったら「どこのお国ですか?」とか聞いて、すぐ打ち解けたりしている作品は、江戸時代の作品なんか見ていると非常に多い。武士も結構饒舌だし。 外国人が見た幕末の日人を描いた諸作品を読んでも、当時の日人がいかに人懐こかったかがよくわかる。男性もいろいろ好奇心を持って語り掛け、面白がっている様子がよく描かれている。ということは、男性が社交下手

    日本の男性がコミュ障に陥った歴史的経緯(仮説)|shinshinohara
  • 「ジョブ制」考|shinshinohara

    知人によると、日の強みは、職場で困ってる人を見かけたとき「どうしたの?手伝おうか?」の言葉がスッと出ることじゃないか、という。外国人はこうはいかず、「それはオレの仕事じゃない」とつれなく通り過ぎてしまう。困ってる人はいつまで経っても困り続けることになる。 ジョブ制は、移民の多い国で考えられた工夫だと思う。民族も文化も全然違う、場合によってはその国に来たばかりで右も左もわからない人間に、「お前の仕事はこれ」と明確に領分を決め、それをやりきれるようなら仕事を続けられ、出来ないようなら解雇、というやり方。 仕事の内容が明確なジョブ制は、逆に言えば融通がきかない。契約前に想定していない仕事が発生すると、「それはオレの仕事じゃない」とみんな拒否する。外国企業で人の上に立つ人間は給料高い代わりに夜中まで働く過重労働なのは、ジョブ制で割り振れないのを全部片さなきゃいけないからかも。 日は「チーム」で

    「ジョブ制」考|shinshinohara
  • 会話を盛り上げるコツ|shinshinohara

    「ためしてガッテン」で面白い実験が。「出番があるまでこの部屋でお待ちください」と、数人の男性ばかり入れられた部屋、女性ばかり入れられた部屋。その中で何が起きるのかを観察。 男性ばかりの部屋では沈黙が続き「遅いですね」「そうですね」と二言がやり取りされたのみで、沈黙が続いた。 他方、女性ばかりの部屋では。「どちらからいらしたの?」とかの問いかけからはじまり、どんどん会話が膨らみ、実ににぎやかに話が盛り上がった。 この様子をモニターで観察したスタッフが、少しテコ入れしようと、ケーキとコーヒーを差し入れることに。「出番までもう少しお待ちください」。 沈黙が続いていた男性側の部屋では。「うまいですね」「そうですね」。その二言がつぶやかれた後、黙々とケーキをべ、コーヒーを飲み。そのあと、またしても沈黙が続いた。 他方、女性の部屋ではケーキとコーヒーでさらに大盛り上がり。お気に入りのケーキ店の話題と

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  • もめ事を収めるコツ|shinshinohara

    震災からしばらくたった2月頭頃、神戸市の職員が避難所に派遣された。ところがどうも初期のころ、ボランティアとぶつかることが多くその日ももめていた。「何をもめているの?」と聞くと、インスタントラーメンを被災者に配りたいのに市役所職員がそれを許さない、と言ってボランティアは怒っていた。 市役所職員によると、被災者全員に公平に配れないのであれば、配ってはいけない、という。味噌ラーメンと塩ラーメンを合計したら被災者全員に配れるのだが、「それだと塩ラーメンが欲しい人に味噌ラーメンが配られたりなど、もめる原因になる、だから配ってはいけない」と頑張っていた。 私は「ちょっと任せてほしい」といって、その市役所職員と話すことに。「救援物資の管理、お疲れ様です。ところで問題のインスタントラーメン、どこから来たかご存じですか?」と尋ねた。「神戸市からですよ」との答えに私は首を振り、「いいえ、違います。私たちボラン

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  • 専門家は「自分の言葉で話す」ができるのか?|shinshinohara

    今の農薬は人体に蓄積しないように設計されてる。だからこの人の言うとおり。なんだけど、生化学勉強するといい、は、ちと一般の人にハードル高過ぎ。経済ど素人の研究者にマクロ経済勉強するといい、と言い放つのに似てる。早い話、無茶。なので試しに、解説を試みる。 https://twitter.com/asahi_yama1/status/1475802336253845505?t=q_YjF__yZebbG-wxfzT6lg&s=19 レイチェル・カーソン「沈黙の春」が警告を発した頃の化学農薬には、二つの問題があった。水に溶けにくく、油に馴染みやすい性質(脂溶性)であったこと。そして、非常に分解しづらい化学構造だったこと。この二つの性質があると、体内に蓄積しやすい。生物濃縮が起きやすくなる。 なぜこの二つの性質があると生物濃縮したり体内に蓄積しやすいかというと、水溶性の物質でないと分解しづらいから。

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  • 創造性を奪う競争的資金|shinshinohara

    大型予算の研究プロジェクトになると、研究の進行を監督し、アドバイスする人を配置する。そのアドバイザーになったことがある。 そのプロジェクトは、早い時点で計画が破綻していた。そのためか、全員が頭真っ白になっていることがよくわかった。もうどうしたらよいかわからない。 申請書には開発不可能とされた技術をいかに開発するか、見事な実験計画が描かれていた。しかし早い段階で「考えていた方法では開発は無理」なことが明確になった。何せ、計画には、自分たちが最善と思った方法を列挙してある。それがうまくいかなかったら、もうそれ以上アイデアがなかった。 みなさんの発表を見てると、計画に書いた方法から大してはみ出てない実験ばかり。もはやうまくいく方法を探すというより、三年間ももらえてしまう予算に見合うだけの実験はしましたよ、という言い訳をするための実験ばかり。「こんなにたくさん実験しましたけどダメでした」と、許して

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  • タダや安売りは働く労働者の生活を破壊する|shinshinohara

    記事からは誰に配ってるのか判然としませんが、購買力のない子ども堂に配るなら応援したいですけど、普通に購買力のある市民に配ってるのなら止めてください。農家の作った農作物がその分売れなくなり、農家の子どもたちが学校に行けなくなってしまうかもしれません。 https://t.co/TiXGgCrGdC 当然のことを言うようですが、農家は農作物を作って売り、その収入によって老父母の病院代、子どもの学資を得ています。もし購買力のある市民にタダで配られたら、その人たちのお腹はそれで満たされますから、売り物の農作物はその分売れなくなります。すると、農家は自分の家族を支えられません。 農家は市民から「捨てるなら、傷物でよいからタダで頂戴」とよく声をかけられるそうです。しかしそんなことをしたら、農家は家族を病院に通えるようにしたり、子どもを進学させることができなくなります。肥料を買うお金もなくなり、農業自

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  • 全体を見渡し、欠落を見つけ、それを補おうする力|shinshinohara

    阪神大震災のとき、現役京大生が救援物資の在庫管理を担当。すべての物資の種類、数を把握し、1500名いる被災者の消費量を計算してどの物資がどのくらい不足するかを予測し、ボランティアに的確に指示を出すので「歩くコンピューター」と呼ばれ、被災者の子どもたちに人気だった。 しかし1500人もの人たちを支える救援物資の膨大さ、しかも全国から送られる救援物資は、ダンボール箱を開けてみないと入数と種類も分からない。種類ごとに分別もしなきゃいけない。あまりの過労でぶっ倒れてしまった。 新しい物資担当は、左官の若者(その京大生と同じ年)。 「とてもじゃないけどあの人のマネはできません。僕のやり方でやらせてもらっていいですか?」 人がいなくて代わりはいない。みんな、彼にお任せすることにした。その「やり方」は。 品物ごとに山を作った。服の山、毛布の山、ラーメンの山、ミネラルウォーターの山。面積が必要になるけれど

    全体を見渡し、欠落を見つけ、それを補おうする力|shinshinohara