現在の失業問題は、ただ「仕事がない」のではなく、「就きたい仕事がない」のが問題になっている。大卒者の数は増え続けているが、彼らは待遇の悪い仕事に就こうとしない。結果、低賃金の労働現場では人材不足が叫ばれながら、一方で高学歴な失業者が生まれてしまう。 これは世界的な傾向であり、北アフリカでは「高学歴な失業者」たちがアラブの春を起こしたという。 しかし、大卒になってしまった人間を高卒に戻すことはできない。「高学歴な失業者」の解決策として、「大卒を減らせ」という主張は無意味だ。いかにして人材不足の職業の待遇を向上させ、高学歴な人間が「就きたい」と思える仕事にしていくのか。私たちは、それを考えるべきだろう。 ◆ 山形浩生さんは、歯切れのいい寸評が人気だ。書評にせよ時評にせよ、明快な考察は読んでいて気持ちがいい。しかし今回は、どうもスッキリしない、歯の間にモノが挟まったような記事を上げてらっしゃった