この手のリストはいつも気になるんである。というわけで立ち読みしてきた。 考える人 2008年 05月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/04/04メディア: 雑誌購入: 3人 クリック: 63回この商品を含むブログ (40件) を見る ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』が27位につけているのはちょっと驚きだった。だいぶ知名度を上げてきているなー。この調子で再評価が進み、彼の作品がほとんど文庫で読める、ような時代がきてくれれば。 別の意味で予想外だったのは、『特性のない男』がまったくあがってないこと。これが文庫で読めるのは当分先だろうか。 50位くらいにバルザックがあがってたけど、『人間喜劇』て何やねん、作品名じゃなくてシリーズ名もありなのか。そのすぐ下に『ゴリオ爺さん』があるのにも笑った。統一性ないなー。 このあいだ作った「2年生のための海外古典文学リスト」との重複
ピタゴラスは、エーゲ海に浮かぶサモス島で、宇宙は全き数(自然数)によって表される、と考えたそうです。そののちルート2が全き数の割合で表されない(有理数でない)ことを発見したとき、自らの宇宙観への危機をひそかに感じ、その秘匿を弟子たちに命じました。漏洩者には死がまっていました。 ギリシャの人々の数学にかけた情熱は、広大無辺の宇宙に肉薄しようという真理にかけた宗教的情熱と一体不可分のようです。後のキリスト教の席巻はこの情熱を本物の宗教的情熱で窒息させてしまい、ギリシャ数学への新風はデカルト(1596−1650)までお預けになります。 この本でそういう情熱の片鱗に触れると、理学博士、工学博士、文学博士などという日本でのちまちました博士号の呼称に、知に対する冒涜を感じてしまうほどです。(もっとも正確には最近は博士(理学)などといい、欧米では単に、すべてDoctor of Philosophyと
毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマった本で自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の本」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」
inmymemory さんの「短編小説(掌篇)神髄168選(私家版)」に触発されて、「印象に残った」短編小説のリストを組んでみたくなった。ただ、一度にリストアップすると、あれを忘れたこれも入れたかった……となってしまうので何回かに分けて書いていきたい。100はいくかなー。短編だから読み返してみて感想も書くかもしれない(さっきフラナリー・オコーナーを読み返して「うわぁ、すげえ」と思った)。 それと……本(小説)を読むのはもちろん好きなのだが、それに劣らず、「本についての本」を読むのも凄く好きで、かつて角川文庫から出ていた『読書の快楽』や雑誌『ブルータス』特集「20世紀読書計画」、『グルーヴィブックリビー2001』あたりのガイドブックを片手に本の猟書をしたのも思い出した。まあ、要するに、本について語ることはとても愉しい、ということだ。 今回は以下の15編を選んでみた(検索しやすいように、その作
「東欧の想像力」シリーズ第一弾、ということで読んでみました: 砂時計 (東欧の想像力 1) 作者: ダニロ・キシュ,奥彩子出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2007/01/31メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (10件) を見る いやあ、これは手ごわかった…。決して読みにくい文章ではないのだけど 全六十六の断章が時系列も文体もかなりバラバラで、どういう法則で 全体が構築されているのかが良くわからなくて。 グロテスクなユーモアを湛えた表現や全体に漂う不穏な雰囲気は感知できるのだけど 自分が今どの時点に立っているのか、ふと我に返ると迷子のように途方にくれてしまう。 最後の方でやや全体像が見えてくるも、全てがカチッと収まる快感には程遠い。 読了後にネット上での訳者による非常に詳細な読解論文をざっと読んだけれども、 すり合わせて「答え合わせ」をするのも何か無
↓に便乗。 新入生のための海外現代文学リスト ――Pulp Literature 新入生が選ぶ世界現代文学リスト ――世界の果てのクロエの祈り 2年生と書いたけど、別に高校2年生とか大学2年生とか具体的な対象年齢を決めてるわけじゃなくて(そういえば私も修士課程2年生だ)、まだ未熟者だけど、まあモームの『読書案内』に載ってるような本はそれなりに読んだし、そろそろ初心者は脱したかな、という私みたいな読者向けの、ちょっとマイナーな傑作古典リスト。 Pulp Literatureさんとこの現代文学リストに触発されたのと、前々から出版社とか教科書とかがプッシュしがちな古典のセレクトに不満を持っていたので作ってみた。 実際『異邦人』とか『悲しみよこんにちは』とかもういらないでしょ。あんなもの読む暇があったら『涼宮ハルヒの憂鬱』とか『撲殺天使ドクロちゃん』とか読んだほうがずっといいと思う(断っておくけど
鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録 作者: ゲッツ・フォンベルリヒンゲン,Goetzens von Berlichingen,藤川芳朗出版社/メーカー: 白水社発売日: 2008/03/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 74回この商品を含むブログ (12件) を見る 16世紀神聖ローマ帝国の騎士ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの回想録。戦争に従軍したときの話や、都市や貴族を相手取ったフェーデ(私闘)の話、農民戦争で農民側の隊長として担ぎ出された話などが語られる。 ゲーテの史劇の題材にもなっているドイツのヒーローの記録であり、かつ「鉄腕の盗賊騎士」というロマンティックな肩書きも持っている人物の話だから、さぞかし小説のようなエピソードに満ちてるんだろうと予想していたが、そこはノンフィクション、成功するにしろ失敗するにしろ、そうそう華々しく展開したりはしない。同僚や部下(主に傭兵
国会図書館が提供しているデジタルアーカイブのポータルサイト、PORTAの検索対象サイトが追加された。 NDLの“PORTA”に新たな検索対象と機能が追加 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/7539 2008/03/31 検索対象5つと外部提供インタフェースなどの機能を追加しました http://porta.ndl.go.jp/service/SER_Information_DetailRSS.jsp?news_id=9 その中に、日本ペンクラブの電子文藝館が入っている。 日本ペンクラブ:電子文藝館 http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/home.html 2年以上前にPORTAの前身であるデジタルアーカイブポータルが公開されたときに、ここでも取り上げて、 例えば、日本ペンクラブの電子文藝館な
寡聞にして知らなかったのですが、どうやら巷でいろいろな「十選」が流行っているそうです。「世界十大文学」を皮切りに、自分の好みの「十選」を挙げるという試み、なかなか面白そうなので、僕もちょっと考えてみました。 自分のいちばん好きなものは、と考えると、やっぱり短篇。あとジャンル的には「幻想小説」ですね。ということで、幻想的な要素のある短編集から選んでみました。 E・T・A・ホフマン『ホフマン短篇集』(池内紀訳 岩波文庫) まずは、ドイツ・ロマン派の幻想作家ホフマンの作品。基本的にはどの作品でもいいんですが、訳の素晴らしさとバランスの取れたセレクションでは、この岩波文庫版が随一でしょう。 フロイトがとり上げたことでも有名な、元祖サイコ・ホラーともいうべき『砂男』、ユーモアと切なさが同居する音楽奇譚『クレスペル顧問官』、この世ならざるヴィジョンが美しい、鉱物幻想小説『ファールンの鉱山』など、傑作揃
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く