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ブックマーク / magazine-k.jp (34)

  • 無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話

    ある日、いつものようにツイッターを立ち上げてタイムラインをぼんやり眺めていたら、なんだかとてつもなく長いタイトルのについてのツイートが流れてきた。発信者はそのの版元の編集者で、題名は『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』――カギカッコを含めて60文字もある。ただ長いだけではない。一つひとつの言葉に見覚えはあるが、そのつながりがよくわからない。いったい「舞姫」と「アフリカ人」がどうつながるんだろう? タイトルだけではまったく内容の想像がつかないので、書店にでかけたときに立ち読みをしてみた。思ったより、ちゃんとしてる――というのも変だが、そう感じた。なにしろ版元はあの柏書房である。私はアルベルト・マングェルの『読書歴史 あるいは読者の歴史』やアレッサンドロ・マルツォ・マーニョの『そのとき、が生まれた』

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    mickn 2019/06/18
  • 私設雑誌アーカイブ『大宅文庫』の危機【後編】

    京王線・八幡山駅で下車し、左手に都立松沢病院の蒼とした木立を眺めながら大宅文庫(公益財団法人・大宅壮一文庫)へと向かう。この道を、いつも一人で、しかも、複雑な心理状態で歩いていた記憶がよみがえる――。 サラリーマン編集者をしていた20〜30代の頃だ。ある時は、予定していた取材先だけではページが埋まらず、締め切りが迫る中、急遽、ネタを探し直さねばならず焦っていた。またある時は、企画会議の直前だというのに手持ちのネタがなく、急ごしらえであろうが企画をひねり出さなくてはという不安に押しつぶされそうになっていた。そして資料を漁り終えると、一目散で編集部に戻らなければならない。街を眺める余裕すらなかった。何度も通った八幡山なのに、自分はこの街のことをほんとんど知らないことに気がついた。 大宅文庫に「行く人」と「行かない人」 実を言うと、今回、正式な取材の申し込みをする前、誌「マガジン航」の編集・

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    mickn 2015/09/10
  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

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    mickn 2015/08/27
  • 2018年の青空文庫へ向けたアイデアソン

    みなさまは青空文庫をご存知でしょうか? 青空文庫は、著作権の消滅した作品と、著作権者(著者ら)が「自由に読んでもらってかまわない」とした作品を、テキストファイルやHTMLファイルで提供しているサイトで、またそうしたテキスト化と配布を行っているプロジェクトです。青空文庫のサイトを訪れたことのない人でも、KindleストアやKoboストアの「無料」として再配布されているものを見たり、もしかしたら読んだことがあるかもしれません。 青空文庫は1997年の「青空文庫の提案」からスタートし、多くのボランティアによって支えられてきています。2013年に呼びかけ人の一人であった富田倫生氏が逝去されましたが、活動は途絶えることなく、また富田氏の著書『の未来』の書名を冠し、青空文庫の活動を将来にわたって支援するための基金「の未来基金」が創設されました。 何よりも大切な多くのボランティア活動者と、それを支

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    mickn 2015/06/23
  • アマゾンの出版エコシステムは完成に向かう

    今年もフランクフルトでのブックフェアが滞りなく終わったが、ヨーロッパでも書籍業界の人たちは出版社に対するアマゾンのやり方を支持するか、反対するかに二分されている印象だ。アメリカで起きているアシェットとのバトルに呼応するかのように、アマゾンがドイツでもボニエール社に対し、同じような措置を取ったことを受けて著者団体が結束して抗議声明を出すなど、攻防喧しい(詳細はこの記事あたりを参照)。 そしてブックフェア開幕当日に、アマゾンはドイツでも「キンドル・アンリミテッド(定額読み放題サービス)」を始めた(この記事も参照のこと)。書籍は定価販売で他国と比べても高く感じるドイツの書籍市場でどこまで加入者を確保できるかが注目される。 そして国ではアマゾンがスポンサーになる形で、似て非なる二つの新サービスが始まる。拙ブログでも言及したが、これはアマゾンが考える新しい出版エコシステムの一端と捉えていいだろう。

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    mickn 2014/10/17
  • 電子コミックの未来はどこに? « マガジン航[kɔː]

    今年は6月に講談社の月刊マンガ誌「少年ライバル」、秋田書店の老舗青年コミック誌「プレイコミック」が休刊。9月には小学館の月刊マンガ誌「IKKI」、集英社の同じく「ジャンプ改」と大手出版社のマンガ誌で休刊が相次いでいる。いずれも販売部数的には苦戦してきたが、個性的な作品を数多く連載し、それらの単行の売上で雑誌の赤字をカバーしてきた雑誌だ。単行が雑誌の赤字をカバーしきれなくなった、とすれば、マンガ不況を象徴するような事態である。 2014年は紙から電子への転換点 紙のマンガ出版が苦しんでいる一方で、勢いがあるのが電子コミックだ。 2014年8月、NHN PlayArtが運営するスマートフォン向け無料コミック配信サービス「comico」の人気作品『ReLIFE』(作画・宵待草)の単行がアース・スター エンタテイメントから発売され、たちまち10万部を超えて話題になった。電子コミックといえば、

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    mickn 2014/10/16
  • 20インチ超のタブレットを電子本に使う

    3月末に「自分だけの部屋」に引っ越してからというもの、仕事のための環境はどんどん整っていった。幅180センチのワイドデスクの真ん中にはキーボードとディスプレイを置き、右にはプリンターやスキャン専用機、左には連載の取材の際に拝見した大野更紗さんの机を真似て、小さな棚を置いている。机の下には、ずらりとを並べた棚があり、まだそこはあまり埋まっていないが、引っ越し後も着々とは増えている。 自炊代行業者に送った約1200冊もの書籍のうち、スキャンデータとして納品されたのは500冊あまり。一冊150円の「5営業日納品スキャン」というコースに出したは送って一ヶ月ほどでPDFデータに変換され、サーバーにアップする形で納品された。一冊100円の「のんびり納品スキャン」というコースの方は半年たった今もまだ大半が納品されていないが、すぐに使うものでもないのでコース名が示すようにのんびり待ちたいと思う。

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    mickn 2014/09/25
  • 「フィクショネス」という本屋の話

    1998年7月4日に開業した東京・下北沢の書店「フィクショネス」を、2014年7月22日に閉店しました。当は開業と同じ7月4日に閉店したらきっちりしてていいと思ったのですが、閉店の腹を決めたのがひと月前で、それまで十数年続けてくれた詩人カワグチタケシの「詩の教室」(毎月第3日曜日)をしっかり終えて貰うため、この日を終業日としました。 「人のいうことを聞きたくない」 「フィクショネス」を開くまでの僕は屈したサラリーマンでした。横浜のポルタという地下街に今もある書店から始まって、書店中心に職場を二、三度変えました。自分は小説家であるはずなのに、なんでこんなことやってるんだと思いながら毎日満員電車に乗っていました。その屈は、結果サラリーマン生活を放り出して「フィクショネス」を開いてしまった程度には、度外れたものだったと思います。貯金も保険もつぎ込んで、親からお金も借りました。 ですから心情

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    mickn 2014/09/16
  • 電子書籍時代の文学賞:星新一賞顛末記

    昨年、星新一賞という短編SFを対象とした文学賞が創設された。私は「KIT (Kid Is Toy)」という作品を応募し、入選したが、作品は公開されることなく、結局は自分でKindle Direct Publishingを使って出版をすることにした。 これはなかなか嬉し悲しい体験だった。嬉しいというのはもちろん、私の大好きな作家の一人である星新一の名を冠した賞を受賞したということ。グランプリ、準グランプリ、優秀賞といったより上位の賞もあったが、それでもこれまで長く小説を書いてきてはじめて獲得した賞だったので、喜びはひとしおだった。 入選はしたけれど 執筆中から、作品の出来栄えには満足していた。学生時代は同人誌などに精を出した私も、就職して結婚して子供が生まれ、なかなか昔のように小説を書く時間もない……というありがちな経緯を辿っていた。そこで与えられた「上限一万字の短編SF」という星新一賞の手

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    mickn 2014/08/27
  • 最終回 床が抜けそうにない「自分だけの部屋」

    自宅に棚を持ってきてからというもの、蔵書の数は格段に増えていた。ネット書店を利用し、多いときで月に30冊以上、一度に20冊近くというペースで買っていたからだ。を書くのには資料となるがとにかく必要となる。事実の裏取りをしたり、考え方を深めたりするためだ。図書館で借りて済ませなかったのは返却が面倒くさかったし、しばらくは手元に置いておきたい、という理由からだ。また4畳半の床抜けアパート(シリーズの第1回を参照)で受け取ってそちらに置いておかなかったのは、歩いて20分以上もかかるため、行くのがおっくうになり、足が遠のいてしまったからだ。 床抜けアパートから持ってきた二つの棚のうち、図書館書棚(木製、幅90 ✕ 奥行29.5 [上部17] ✕ 高さ215センチ)は南向きのサッシに直角の向きで設置していた。隣の子ども部屋との間にあるふすまをふさがないために、サッシの上のカーテンレールを外し、

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    mickn 2014/07/10
    うう。
  • 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな

    5月14日、KADOKAWAとDWANGOが経営統合を発表した。この合同発表会はニコニコ生放送にアーカイブされており、その概要も既報なので割愛するが、日経済新聞が「サブカルコンテンツをクールジャパンとして海外に発信」と報じたことに大きな違和感を覚えた(5月15日付「グーグルに挑む角川ドワンゴ連合 世界制覇の勝算 」)。クールジャパン推進会議の委員にも名を連ねた角川歴彦氏が、メディアに対して「日の丸プラットフォーム」を目指すと語ったことによる連想だと推測するが、正直ひどい誤解だと思う。 もちろん、そういった挑戦も今後取り組まれることの一端にはあるはずだが、今回の統合を「クールジャパンを発信」というキーワードで括ってしまっては質を大きく見誤ることになる。 この経営統合は、スマートフォンの普及に端を発した出版環境の激変に対する、出版「社」としての最適解だったと捉えるべきだ(社に括弧を付けてい

  • 第10回 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか

    前回は電子化という方法で蔵書問題を解決したケースをみてきた。 武田徹さんと大野更紗さん。二人に共通しているのは、電子よりも紙のの方が読みやすいという考えだ。大量に電子化してしまったことを武田さんは後悔していた。日常的に電子化をくり返し、電子化したを後もちゃんと読むと言った大野さんにしても「リーダビリティは紙が上」「日語のは紙で手に入れたい」と言ったことを話していた。 全ての蔵書を電子化してしまうのは味気ないと僕も思う。iPadなどのタブレットの出現、読みやすさを劇的に良くするアプリの開発という二点によって、「電子化された書棚」というものの活用が可能になってきた。だけれども、それは、武田さんのような尖った人の新しいことへの挑戦か、場所がないけどをたくさん所有したいという矛盾を解決するための打開策として実践するか、どちらかでしかやる価値がないのではないだろうか。 物体としてのを増

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    mickn 2014/02/26
    いつかは建てたい
  • 第9回 電子化された書棚を訪ねて

    連載の折り返し地点をすぎ、「これから後半ですよ」ということを前回の話で宣言したわけだが、それから一度も更新しないままなんと半年もの時間が流れてしまった。読者の中には首を長くして、更新を待っていた方もいるのかもしれない。遅くなってしまい、当にすいませんでした。 ノンフィクション作家にとっての この連載以外の取材に取り組んでいたことも、更新が滞った一因である。では、いったい何をしていたのか。いまも続いているの増殖と絡めて、個々の仕事のことについて言及してみたい。 僕が追いかけているテーマのひとつに日の国境問題がある。を何冊か出したので、そろそろ次のテーマへ完全移行したいのだが、そうもいかない。尖閣諸島では付近の海に中国の公船が常駐するようになったし、竹島も韓国の閣僚が毎年夏に上陸するようになったりと、国境問題はここ数年で膠着し、日常化してしまったためだ。加えて昨年の尖閣国有化を巡る裏

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    mickn 2013/11/18
  • Editor’s Note

    7月に入りました。まもなく東京国際ブックフェア&国際電子出版EXPOですが、これについてはあらためて別の記事で告知することにして、今日は先週末の6月29日に行われたあるシンポジウムを受けて考えたことを書いてみたいと思います。それはTPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)[*1]と講談社 現代ビジネスが共催した、シンポジウム「日はTPPをどう交渉すべきか 〜「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」です。 このシンポジウムは、MIAU代表理事でもあるジャーナリストの津田大介さんが司会をつとめ、以下の各氏が登壇しました。 ・赤松健漫画家、Jコミ代表取締役) ・太下義之(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員/芸術・文化政策センター長) ・富田倫生(青空文庫呼びかけ人) ・野口祐子(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン

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    mickn 2013/08/17
  • ワシントン・ポストをベゾスが買ったワケ

    アマゾンCEOのジェフ・ベゾスがワシントン・ポスト紙を買収、というニュースに椅子から転げ落ちた。ポストの記者もI was floored.とツイッターでつぶやいていたので、誰にとっても青天の霹靂といったところだろう。 私は一瞬「アマゾンが?」と思ったのだが、これは間違いで、一説には250億ドルとも言われるベゾスの個人資産の中からワシントン・ポスト紙とその関連企業を2億5000万ドルで買い取ったという話。ってことは彼にとってはこの大金もお財布の1%というハシタ金。1万円持ってたから100円使ったった、みたいな。 とりあえずこのニュースのバックグランドを説明しよう。どういう影響がありそうかも。 首都ワシントンのリベラル系老舗紙 ワシントン・ポストは言わずと知れた創業135年という老舗。ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズと並び全米で影響力の大きい新聞で、社が首都ワシントンというのも

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    mickn 2013/08/07
  • 無料貸本屋でどこがわるい?

    PR誌『みすず』に連載中から愛読していた宮田昇さんの文章が『図書館に通う』というにまとまった。「当世『公立無料貸屋』事情」というサブタイトルがついている。 著者は私のちょうど十歳上。戦後まもなく就職した早川書房からタトル商会に移り、米軍占領下にはじまる混乱した著作権問題に素手でとりくみつづけた方である。そのあたりのことは私もすでに『翻訳権の戦後史』や『戦後「翻訳」風雲録』などの著書で知っていた。その出版界の大先達が、いまや私同様、ひとりの退職老人として公立図書館のヘビーユーザーと化していたとはね。 ほどなく消えてゆく身で、手持ちのをこれ以上ふやしたくない。経済的な事情もまったくないわけではないらしい。退職老人の後輩としては、そうした著者のつぶやきの一つひとつが身にしみる。 仕事をやめた宮田さんは、暇にまかせて、じぶんの街の図書館で高村薫や宮部みゆきや桐野夏生の作品をまとめて読み、これ

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    mickn 2013/07/09
  • 第7回 マンガの「館」を訪ねる[後編]

    戦後マンガ史の古層を目の当たりにする 話はふたたび、最初に訪れた現代マンガ図書館に戻る。閲覧室と同じ二階の奧にある書庫に入った途端、胸や頭を圧迫されているような錯覚をおぼえた。部屋の端から端まで、人一人通れないぐらい間隔で棚が並べられ、どれもマンガで満杯になっている。棚の高さは天井の梁ギリギリの高さで、梁のない部分の天井と棚の隙間はぎっしりが埋まっている。 個々に集めている方はいるかも知れませんが、これだけの規模で実物がひとつのところに集まっているのはほかにないかもしれません。 案内を買って出てくれた現代マンガ図書館スタッフの長橋正樹さんは控えめにだが胸を張った。目の前の棚には昭和30年代の貸マンガとおぼしき古い作品の背表紙がずらっと並んでいる。その時代の貸マンガの実物だけでもざっと数百冊はあるだろうか。白土三平や水木しげるというビッグネームたちがまだ駆け出しだった、貸マンガ

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    mickn 2013/03/04
    マガジン航:マンガの「館」を訪ねる[後編] #magazine_k
  • 第6回 マンガの「館」を訪ねる[前編]

    新宿から電車で西へ1時間あまり。電車を降り、駅の外に出て、歩き始めると周囲は次第に郊外の光景となっていった。高い建物はなくなり、そのかわりちらほら紅葉が混じる林と、うねうねカーブする渓流が現れる。橋を渡り、沿道に杉林が広がる坂道をひとしきり上ったあと、坂の途中で右に折れ、少し下る。するとこぢんまりとした集落が見えてきた。 集落の一角には目的地の建物があった。二階建ての全面が薄い水色の建物は廃校になった田舎の小学校の趣きで、思いのほか小さかった。 とても辺鄙なところにある「館」 訪問前に確認したこの建物の公式ホームページには次のように書かれていた。 1997年3月、少女まんがすべての永久保存を目指し、 東京都西多摩郡日の出町の地に産声を上げた、少女まんがの専門図書館(の赤ちゃん)です。 通称は“女ま館”といいます。 古いけれども広~い一軒家を借り受け、ともかく、日々打ち捨てられていく数多くの

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    mickn 2013/03/04
    マガジン航:マンガの「館」を訪ねる[前編] #magazine_k
  • 第4回 持ち主を亡くした本はどこへ行くのか

    原稿書きを長時間やり過ぎると首がちぎれそうになるほど痛くなる。そんなときは決まって、近所の整体院に行くことにしている。約一時間、足腰肩首と足の裏でぎゅーっと踏まれ、首や腰を捻られバキバキと関節を鳴らしてもらうと、さあまたがんばろうという気になる。一人で切り盛りしている店なので、指名するまでもなく整体師はいつもMさんだ。5年ぐらい通っているので、すっかり顔なじみだし、施術中は必ず話に花が咲く。 7月だっただろうか。Mさんは珍しく僕に相談を持ちかけてきたことがある。それは、施術後、腰や首のこりが軽減され、身軽になったときのことだった。 「祖父の遺した蔵書を処分したいのですが、信用できる古屋、知りませんか」 聞けば、だいぶ前に亡くなったお祖父さまの蔵書なのだという。 「祖父は詩人で大学教員もしていました。勤務した大学に蔵書を一部寄付しましたがまだまだ沢山あるんです」 にまつわることを取材して

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    mickn 2012/09/12
    マガジン航:持ち主を亡くした本はどこへ行くのか #magazine_k
  • 第3回 本で埋め尽くされた書斎をどうするか

    をテーマにしたエッセイや随筆、棚を紹介するを漁ってみると、僕が知らないだけで、実は「床抜け」はそんなに珍しいことではなく、起こりうるということを思い知った。それどころか床が抜けなくても、が大量にあるというだけで十分大変だということも、嫌というほどに理解した。 との格闘 その中から故・草森紳一のケースを紹介してみたい。著書の『随筆 が崩れる』(文春新書)には次のようなことが書いてあった。 ドドッと、の崩れる音がする。首をすくめると、またドドッと崩れる音。一ヶ所が崩れると、あちこち連鎖反応してぶつかり合い、積んであるが四散する。と、またドドッ。耳を塞ぎたくなる。あいつら、俺をあざ笑っているな、と思う。こいつは、また元へ戻すのに骨だぞ、と顔をしかめ、首をふる。 これは草森さんが風呂に入ろうとしての山が崩れ、浴室に閉じ込められたときの様子である。彼の住む2DKの空間の中でまったく

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    mickn 2012/07/11