80年代「ニューアカ」の巨匠がピケティを批判する――雑誌「新潮」4月号掲載の「現代思想の使命」(浅田彰×中沢新一×東浩紀)からメモ。 浅田:そもそも、原書が出たとき読んで呆れたけれど、ピケティの本の『21世紀の資本』というタイトルは詐欺ですよ。マルクスの『資本(論)』は、正しいかどうかはともかく、資本主義のメカニズムを原理論的に分析し、それを超克する方向を示す本でしょう。他方、ピケティは、手広く統計を集め、資本主義のもとで戦時中を除けば格差が増大する傾向にあるということを現象論的に示しただけで、その裏側にどういうメカニズムがあるのかという分析もなければ、資本主義をいかに乗り越えるかというヴィジョンもなくて、富裕税によって資本主義の偏りを補正するというだけ。 中沢:僕もピケティの本は翻訳される前に読みましたが、まあ飽きました。同じことの繰り返しが続いて、最初と最後の結論が同じ。これは資本主義
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