成功者が書いたビジネス本ほど、警戒して読まねばならぬものはない。それがHONZの基本スタンスであることは分かっているのだが、ものの数ページほどで陥落した。あまりに面白くて、もう10回以上は読んだと思う。 大学生くらいの時にこの本に出会っていたら、もっと違う人生があったのかもしれない。でも今だからこそ、この本に書かれていることを理解できるのかもしれない。そういうモヤっとした心のざわめきを呼び覚ましてくれる一冊だ。 著者のピーター・ティールは、PayPalの共同創業者であった人物。その後、FacebookやSpaceXを含む数百社のスタートアップを支えた投資家としてもよく知られる。 本書は、スタンフォード大学で講義した起業論の内容がベースになったという。スタンフォードやシリコンバレーだけに未来を独占させていいわけがない ーー そんな思いが出版の契機になったそうだが、この面白さをスタートアップ界