2027年のイスタンブールを舞台にした群像劇で、6人の登場人物の5日間を描く。原題は「The Dervish House」で、Dervishはイスラムの修道僧のこと。6人の主人公が住んでいるのが、元僧院であるためこのタイトルだが、宗教、特に神経科学テクノロジーとの関係もテーマの一つ。邦題の「旋舞」も、作中でたびたび言及されているスーフィズムのことを念頭に置いているのだと思われる。 イアン・マクドナルドの長編を読むのはイアン・マクドナルド『火星夜想曲』 - logical cypher scape2以来で、『火星夜想曲』がすこぶる面白かったので、それと比べてしまうとというところはあるが、こっちはこっちで面白い。 読んでいると、イスタンブールに行きたくなる、いや、まるで行った気になってしまうような、描写の濃密な作品でもある。 すでに述べたとおり、6人の主人公がいて、それぞれの物語が展開されてい