2003年の衆院選前に共産党の機関紙を配ったとして、国家公務員法(政治的行為の制限)違反の罪に問われた元社会保険庁(現日本年金機構)職員・堀越明男被告(56)の控訴審で、東京高裁(中山隆夫裁判長)は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした一審・東京地裁判決を破棄して無罪とする判決を言い渡した。 「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」としながらも、休日に職務と関係なく党機関紙を配った行為に同法を適用して刑事罰を科すのは違憲だと判断した。 国家公務員が国公法違反の罪で起訴されたのは、社会党(当時)のポスターを掲示・配布した「猿払(さるふつ)事件」で郵便局職員を有罪(一、二審は無罪)とした74年の最高裁大法廷判決から初めてのケースだった。 06年の一審判決は、猿払事件の最高裁判決を踏襲して、堀越被告の行為を「政治的中立性を損なう恐れがある」と指摘し、国公法は合憲と判断