天皇陛下が心のうちを率直に語られた「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」と題するビデオメッセージは中国でも大きな関心を呼び、詳しく報道された。だが、その内容はおよそ客観的といえるものではなかった。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。 * * * 天皇陛下のおことばでは、「生前退位」という具体的な言葉は用いられていない。しかし、おことば全体に、今後、年齢を重ね体力が続かなくなった場合、これまで通り天皇としての務めを果たすことが困難になることを心配され、「生前退位」の実現を望まれていることが示唆されている。 これを前提として、中国での報道をみてみると、年齢などの要素を無視して、政治的な理由をこじつけた内容が実に多いのには驚きを通り越して、憤りを感じるほどである。 中国の場合、社会、国際、政治などの大事件や一党独裁体制に関わる思想的な出来事などの報道については、すべて党宣伝部によって