身体も社会もあらゆるものが変わっていく真っ只中を生き、そしていつかこの世界を去っていくことが決まっている人生を生きるわたしたちは、何を拠り所に生き、どんなふうに年齢を重ねていけるとよいのでしょう。そのことについて、「生まれてくることの取り返しのつかなさ」や生死について考えてきた川上未映子さんに聞きたいと思いました。 2011年から2022年までの12年間の日々を書きとめた『深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集』には、40代以降に訪れた心身の変化と、この10年の社会の変化がちりばめられています。さまざまなトピックを横断しながら触れられているのが、「今」というものの再現不可能性。20代、30代の頃とは変わってきたという文章の書き方や、自分を大切にするやり方についても聞きながら、生まれて死んでいくことのその過程を、観念と実践を行き来しながら文章にしてきた川上未映子さんに、今とこれからをど