――SNSでの考察が盛り上がった『オッドタクシー』ですが、当初からこうしたミステリー/サスペンスもののイメージはあったのでしょうか? 木下 先に決まっていたのは動物キャラを使うことでした。僕が出した最初の企画は、大学生のほのぼのした日常を描く内容だったんです。そこから平賀さんと話していくなかで、それだとありがちだし、もっとパンチが効いた物語にしたいという意見が出て、生々しい人間模様を描く形に軌道修正していきました。 平賀 なので、最初からミステリーと決まっていたわけではなく、動物のほんわかしたデザインから受ける印象からは意外性やギャップが出るような、リアルでちょっとヒリヒリした作品にしたいと考えていました。 ――そのなかで「現代社会の闇」みたいな物語を描く発想に行き着いたのでしょうか? 木下 発端としては、冴えない主人公を描きたいと考えていました。ジャック・ニコルソンが主演の『恋愛小説家』