長年にわたってアメリカ・ウォッチャーの一人者である松尾文夫氏は、共同通信社の常務を退いてからも、日米中3国関係の将来に向けて様々な警鐘を鳴らし続けています。その松尾氏が、雑誌『中央公論』2月号(発売中)に『歴史和解の不在が日本外交の躓きの石〜対米、対中、対ロ。どこを向いても不安定』という長編の寄稿をしています。数日前に、氏自身が記事とともに私に感想を求めて来られたのですが、その文章の迫力のために、ここ数日はこの論文が全身に重くのしかかったような感覚で過ごしたことを告白しなくてはなりません。 本稿では、松尾氏の提言の要約をご紹介しながら、自分たちの世代としてこの提言を受けて何ができるかを考えてみたいと思います。松尾氏の提言は3つの部分から成っています。第1は「相互献花外交」の提言です。日本国内に期待のある「オバマ広島献花」と同時に、日本の総理大臣による「真珠湾アリゾナ記念館献花」を行い、真珠