このところ、「本をどう残すか」ということをよく考える。個人の蔵書をどうするかといったレベルの話ではなく、物理的な書物だけの話でもない。本とはようするに「残された記録」のことだとすれば、考えるべきはさまざまな著作や文物を後世に伝えるための仕組み全体だ(往復書簡で藤谷治さんが書いていたとおり、本のなかには著者自身は後世に残すつもりなどなかったものも含まれる)。たまたま先月は、そうしたことを考えさせられる出来事が続いた。 「ジャパンサーチ」ベータ版の公開 まずは明るいニュースから行こう。国立国会図書館は2月末にベータ版(試験版)として「ジャパンサーチ(JAPAN SEARCH)」を公開した。これは国立国会図書館自身が所蔵する書籍や資料だけでなく、日本国内のさまざまな文化資源にかかわる36(公開時点)のデータベースをウェブ上で横断検索できるようにしたいわゆるナショナル・デジタル・アーカイブで、所蔵
![本を残す、本を活かす、本を殺す](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0416ec6e2a2fcda65494e8f7ff1b5445d58b36e8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmagazine-k.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2019%2F03%2F2678e59d4ac21113864ce49ed0b687c6.jpg)