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ブックマーク / lullymiura.hatenadiary.jp (20)

  • 「やせがまん」できなくなった社会―あいちトリエンナーレ問題を考える - 山猫日記

    あいちトリエンナーレ問題 過去1週間ほど、愛知トリエンナーレをめぐる問題がマスコミやSNSを賑わせています。多くの識者が発言をしているところですが、極々簡単に出来事の時系列を振り返っておきましょう。 話題になったのは、「表現の不自由」と名付けられ、過去数年の間に公共の美術展から排除された展示を集めた企画展でした。その中に、慰安婦像を髣髴とさせる作品、昭和天皇の御影を焼くという作品が含まれていたことで、反発が広がります。展示に対しては、一般国民から多くの抗議があったほか、河村名古屋市長をはじめとする政治側から企画の中止を求める具体的な要求もありました。結果的には、総責任者である大村知事の判断で、抗議の一部に観客やスタッフの安全を害する可能性があるものが含まれていたことを主な理由として、展示そのものを中止することとなりました。 一連の問題は、確かに多くの論点を含んでいます。中心にあるのは、表現

    「やせがまん」できなくなった社会―あいちトリエンナーレ問題を考える - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/08/08
    “同氏(河村たかし市長)は白昼堂々と立憲主義の原則を曲げながら、民主主義的な報いを受けるとはまったく思っていないし、おそらく受けることもないだろうという現実がある”
  • 日米首脳会談の総括 - 山猫日記

    満額回答 第一回の公式な日米首脳会談が終了し、安倍総理が帰国しました。トランプ政権については、選挙戦のさ中には様々な問題発言がありましたし、予測可能性の極めて低い政権であるだけに、まずは一安心というところでしょう。日米同盟に対する当座のリスクが取り除かれたというだけでも、喜ばしいことです。 トランプ大統領は、安保については、間接的な表現ながら尖閣諸島への日米安保の適用を明言し、南シナ海の航行の自由や北朝鮮問題が米国にとっても優先課題であると述べました。在日米軍駐留の負担増をめぐる発言は行われず、在日米軍を受け入れてくれている日国民に感謝の言葉を述べるというリップサービスまでついてきました。 経済については、懸念されていた自動車産業をめぐる暴言もなく、為替操作国認定をされるような場面もありませんでした。現時点で期待し得るものとしては、満額回答であったと言えるでしょう。週末に出演した報道番組

    日米首脳会談の総括 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2017/02/13
    “対話と圧力は、「融和と軍拡」に格上げし、双方の方向で踏み込むべき/国交正常化交渉を進める/経済制裁には見切りをつけて、的を絞ってこちら側も軍拡を行い、かつ軍事的圧力の強化を行うべきです。”
  • トランプ政権誕生12日目 - 山猫日記

    衝撃と畏怖 トランプ政権の誕生から12日が経過しました。営業日ということでいくといまだ10日にも満たないわけですが、同政権が発する大統領令に世界中が振り回されています。歴代の新大統領も、政権発足100日プランを作成し、一気呵成に懸案の処理にあたってきました。しかし、トランプ政権のアプローチはそれでは説明できないレベルでしょう。 既に、一つ一つが大論争を引き起こすような大統領令を乱発しています。TPPからの永久離脱、メキシコ国境との間の「壁」の建設の開始、キーストーン・パイプランの建設容認、75%の規制撤廃を目指す宣言、そして、イスラム7か国から入国の一時停止などです。それらの大統領令に加えて、閣僚の人事案が上院で審議中であり、米国内政上は最大級のイベントである最高裁判事の推薦も行われる予定です。 これらの大統領令に対しては、気まぐれな大統領と経験の浅いチームによる「無茶」であるとの批判があ

    トランプ政権誕生12日目 - 山猫日記
  • トランプ大統領就任✔ - 山猫日記

    合法的な革命 トランプ氏が米国の第45代大統領に就任しました。立場の差を超えて「歴史」が我々の前で展開しているという感覚を持った方も多かったでしょう。選挙を通じた合法的な革命であるという言葉がしっくりくる一日だったように思います。8年前、若者に熱狂的に支持され、多様性を象徴する大統領が就任したのが、合法的な革命であったのと同様に、米国が大きく変わろうとしています。 就任演説について、全体的な印象はシンプルであったこと。そして、闘いの演説であったということです。黒人初の大統領として就任したオバマ大統領には、自身の当選そのものに大きな象徴性があり、その象徴性を格調高く表現することに力点が置かれました。対するトランプ大統領は、闘いに突入しようとする部隊を鼓舞する部隊長のような演説という印象を持ちました。簡単な言葉が選ばれ、仕事をするための演説であったと。 ケネディー大統領の就任演説のように、名演

    トランプ大統領就任✔ - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2017/01/21
    "米国は、もはや価値観を他国に押し付けるようなことはしない。他国の模範となるようにはするから、真似するなら勝手にしろと/トランプ大統領が示すのは、黒人も、ヒスパニックも、白人も、それぞれのエスニシティー
  • 「トランプ大統領」誕生 - 山猫日記

    時代の転換点 トランプ大統領が誕生しました。ほとんどのメディアも、識者も、クリントン氏有利を予想していたこともあり、歴史的な事件であるとの論調が世界中を駆け巡りました。米国大統領が持っている権力と、時代の雰囲気を作り出す能力は今なお絶大ですから、我々が時代の一つの転換点に立っていることは間違いありません。それは、かつてニクソン大統領がニクソンショックを通じて国際経済のあり方や冷戦構造に風穴をあけ、レーガン大統領が資主義を再定義して冷戦を終わらせたことに匹敵する新たな時代が始まろうとしているのだろうと思います。 世界中の専門家が選挙戦の予想をしていたのに、ここまで大きな読み違えがあったのは、いくつかの要因が重なったからです。第一は、北部の民主党支持と思われていた州における人口動態や投票率を読み間違えたこと。第二は、世論調査が人々の音を反映していなかったこと。そして、最大の第三は、偏見にと

    「トランプ大統領」誕生 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/11/10
    “他国の大統領の暴言を気にしている場合ではありません。日本は、難民を排斥する以前にほとんど受け入れていない国ですし、女性蔑視の発言が平気で横行する国なのですから。”
  • 新都知事に求められるもの - 山猫日記

    政界を代表する主要3陣営 都知事選の総括は、各方面で行われています。小池氏の圧勝という結果を解釈すること自体はそれほど難しいことではないでしょう。今般の都知事選の主要三候補は、過去20年ほどの日政治の典型的な3つの陣営を代表していたように思います。 鳥越氏は、退潮傾向の左翼陣営を代表していました。分配重視の経済政策と、改憲、原発などの政治性を帯びる論点では一様に政権の反対を唱える政策スタンスです。それでも、参議院選挙の野党4党の得票数を見れば、左翼陣営にも200万票を超える「基礎票」があったはずなのだけれど、候補者人の資質の部分があまりにお粗末でした。女性の人権をめぐる点について、事実はともかく、説明責任を果たさなかったことでリベラルな価値観を持つ有権者は離れてしまいました。左側を代表する識者の多くが、この点をあいまいにして、政権と対峙することを優先したことも、日のリベラリズムに

    新都知事に求められるもの - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/08/03
    “投票先を決める以前に、価値観の根本に、現実主義的で、個人主義的な発想を持つ層です。人口の半分はこの区分に入るのではないでしょうか。”
  • 参議院選挙総括―誰が負けたのか? - 山猫日記

    勝ったのは与党 参議院選挙が終わりました。自公で過半数を大きく上回る143議席を確保し、いわゆる改憲勢力で2/3の162議席を確保しました。公明党を改憲勢力と形容するのが適切かどうかはともかく、憲法審査会が動かされ、改憲が具体的な政治日程に上ってくることになるでしょう。政権は、アベノミクスが信任されたと高らかに宣言しているし、勝ったのは明らかに与党です。 ところが、野党からもそれほどの悲壮感は伝わってきません。客観的には惨敗なのですが、一人区では野党共闘の効果もあって野党の11勝22敗と、少なくとも3年前よりは善戦しました。被災地3県と沖縄で勝利したことに一定の大義を主張する者もあり、敗戦をきっかけとした自浄作用さえ期待できない状況です。 負けたのは誰かというのが重要な問いです。結論めいたことを言うとすると、負けたのは、日が進んでいく方向性に変化を望んでいる層です。選挙戦が盛り上がらない

    参議院選挙総括―誰が負けたのか? - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/07/12
    日本社会にはあらゆる変化に対する拒否感が存在します。あらゆる改革は当初から完璧でなければならず、変化に対して不利益を被る層が存在してはならない、との前提を置くことで、改革は始まる前から頓挫してしまいま
  • 自民党の憲法改正草案について - 山猫日記

    日は憲法改正について取り上げたいと思います。言うまでもなく、憲法をめぐる問題は、戦後日政治対立を象徴する論点です。改憲、護憲、加憲、創憲などの政治的立場に色分けされた戦後日ほど、憲法が政治対立の中心にあって国民を分断し続けてきた国はないでしょう。政治評論の世界でも、憲法はまさにイデオロギー対立の主戦場です。そして、衆議院で2/3の議席を有し、2016年夏の参議院選挙でも2/3の議席を窺う与党によって、憲法改正は初めて現実的な政治カレンダーにのってきました。 私は憲法学者ではありませんし、その筋の議論は展開することもできません。またするつもりもありません。とはいえ憲法学者と対話ができないとは思いません。こちらから見た風景を申し上げることには一定の価値があると思います。憲法学者への非礼はお許しいただくとして、いきなり否定的なことを申し上げると、実は、日の憲法をめぐる議論自体に相当の違

    自民党の憲法改正草案について - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/07/07
    “憲法がそもそも論争的であるという戦後日本的な政治空間が不健全/安全保障の世界は法律論に席巻されて本来行われるべき論争が行われず、この分野の日本の民主主義を歪めてきてしまった。”
  • 参議院選挙論点シリーズ(4)――都市型政党が生きるスペース - 山猫日記

    経済論議の主戦場 参議院選挙が公示されました。参議院選挙の論定シリーズ、日取り上げたいのは構造改革についてです。私は、今懐かしい絶望感を覚えています。アベノミクスによって少なくとも日経済と政治の雰囲気が変わる前の八方塞がりの感覚です。海外から日に向けられる視線は、無関心であり、その先にはかすかな哀れみさえ感じられます。サミットでも際立ったのは、日の経済論議の世界からの圧倒的なズレっぷりでした。なんで、構造改革もせずに財政出動なのと。 主戦場は構造改革ではなかったのでしょうか。アベノミクスの一丁目一番地は規制改革ではなかったのでしょうか。岩盤規制に穴をあける総理の「ドリル」はどこにいってしまったのでしょうか。第一の矢の金融政策と第二の矢の財政政策で時間稼ぎをしている間に、第三の矢の構造改革を進めるのが心ある識者のコンセンサスかと思いきや、全くそんなことはないのです。与党は、開き直って

    参議院選挙論点シリーズ(4)――都市型政党が生きるスペース - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/06/23
    「アベノミクスに反対ということは、金融は引き締めるのでしょうか。財政は緊縮なのか、もっと大盤振る舞いするのかさっぱりわかりません。」
  • 「トランプ大統領」の世界―語られた孤立と平和 - 山猫日記

    初の格的な政策演説 アメリカ大統領選挙における共和党の予備選が事実上終わりました。焦点となっていたインディアナ州の予備選でトランプ氏が圧勝し、クルーズ、ケーシック両候補は選挙戦から離脱、トランプ氏が共和党の指名を得るのはほぼ確実な情勢となったのです。民主党側のヒラリー氏有利と並び、選の構図はトランプ対ヒラリーということになります。夏に行われる党大会や選に向けてまだまだ話題を提供してくれそうですが、日は、4月27日に行われたトランプの初の格的な政策演説について考えたいと思います。 同演説についての日での受け止め方は、ゴールデンウィーク直前ということもあって、初めてプロンプターを使ったとか、日を含む同盟国の負担増が求められたとか、表面的な分析に終始しているきらいがあります。しかし、「トランプ大統領」が実現すればもちろんのこと、仮にしなかったとしても、米国と世界の未来にとってとても

    「トランプ大統領」の世界―語られた孤立と平和 - 山猫日記
  • トランプ現象解題(2)ー意気揚々と撤退する米国 - 山猫日記

    笑えない課題 米大統領選の共和党予備選においてトランプ氏の快進撃が続いています。山場と言われた予備選を次々に制し、代議員レースにおいても他候補を大きく引き離しています。トランプ氏と共に、茶会党系のクルーズ上院議員と、穏健派のケーシック知事が予備選を継続していますから、まだ確定とまではいきませんが、トランプ氏の優勢はゆるぎないものになりつつあります。米メディアにおいて発せられる問いも、トランプ氏を止めるにはどうすればいいかというものから、トランプ氏が選の候補者となり、大統領になることの意味は何かというものへと変わって来ています。 米大統領が国際社会に与える影響は絶大ですから、日を含む世界中の外交官や研究者が、「トランプ大統領」が意味するところについて考え始めています。これにはちょっとしたブラック・ユーモアを感じずにはいられません。反エリート主義を原動力とし、大衆の暴力的な能に訴えること

    トランプ現象解題(2)ー意気揚々と撤退する米国 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/03/29
  • トランプ現象解題ースーパーチューズデー決戦前夜 - 山猫日記

    決戦前夜 米国大統領選は決戦を迎えようとしています。これまで、民主・共和両党の候補者を決めるために4つの州で予備選挙が行われました。民主党はヒラリー・クリントン候補、共和党はドナルド・トランプ候補がそれぞれ3勝しています。現地時間の3月1日(火)は、これまでで最大の13州において投票が行われるスーパー・チューズデーです。大いに盛り上がってきた大統領選も前半最大の山場を迎えます。成り行きによっては両党の候補者が決定的となる可能性があります。 トランプ氏については日のメディアでも大きな関心をもって報じられてきました。ところが、トランプ現象に対する理解は表面的なものに留まっています。同氏の傍若無人な振る舞いや暴言の数々が取り上げられることはあっても、有識者のほとんどは「困ったものです」というのみでした。ポピュリズムや排外主義という言葉をあてがって批判することはあっても、その質と向き合おうとす

    トランプ現象解題ースーパーチューズデー決戦前夜 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/03/02
    “デモクラシーの国における民の声はいつまでも無視できるものではないとすれば、我々にもトランプ現象と真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。”
  • 2016-02-16 - 山猫日記

    における言論の自由に対する懸念が強まっています。実際に、言論の自由やそれを支える報道の自由がより不自由になっているのかについては諸説あるでしょう。国会でも論戦になっています。国際的なランキングが万能とは思いませんが、国境なき記者団が発表する「報道の自由度」への評価が下がっていることは何らかの傾向値を示していると見るべきです。少なくとも、言論がより不自由になっていると「感じる人」が増えていることは間違いありません。そう感じる人が多いということは、結果的に、言論の自由は後退しているのと同じです。 そんな中、放送行政をつかさどる高市総務相の放送法をめぐる発言が飛び出しました。2月8日の衆議院予算委員会において、「政治的な公平性を欠く」放送に対して、放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性に言及したのです。「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の

    2016-02-16 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/02/17
    “法の原理に対する表層的な理解をもった政治家が現れ、法律を字句どおりに解釈することで影響力を発揮しようとした、というのが一連の発言の本質です。”
  • 難民問題の教訓 - 山猫日記

    2015年は世界中のメディアが難民とテロのニュースで溢れた年でした。この二つのキーワードには深い関係があります。テロも難民も、横暴な政府や統治の崩壊といった国内の病弊から生まれ、周辺国の安定や安全に影響を及ぼします。テロは国家ほど強くない集団が恐怖を呼び起こすための戦略であり、起きてしまえば妥協は不可能です。 対して、難民は豊かな生活を送っている社会に対して突き付けられる具体的な悲劇を体現する存在です。そこで、人道的見地からは難民に対して援助の手を差し伸べることが求められるわけですが、十分な準備なしに場当たり的に対応してしまうと悲惨な結果を招くこともしばしばです。 なぜなら、難民に対する人道的見地を強調すればするほど、かえって社会の中に反発を生む構造が存在するからです。ある者は、既得権を害されたとして狭量さを剥き出しにし、またある者は政治的な利害計算のために当たり前の正義に目をつむるように

    難民問題の教訓 - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2016/02/13
    “多様性を尊重するためには最低限の、的を絞った同化政策が必要だ”
  • 米大統領選のニューハンプシャー州予備選を終えて - 山猫日記

    アイオワ州の党員集会に続き、はじめての予備選がニューハンプシャー州で行われました。民主党の勝者はバーニー・サンダース氏、共和党の勝者はドナルド・トランプ氏です。両党の勝者に共通するのは、もっとも主流派から遠いところにいると自らを位置づけていることです。既存エリート=エスタブリッシュメントに対する支持が崩壊しつつあるのです。しかも、エスタブリッシュメントに対する支持離れが、アメリカの厳しい二大政党の対立を中和するどころか、むしろ二極化を促進しているのです。 なぜ非主流派が強いのか 非主流派=アウトサイダーの原動力は、アメリカの経済力ではなく「経済の分け前」に対する不満と不安です。サンダースもトランプも、外交上の能力はまるでといっていいほど未知数です。世界で最も影響力のあるリーダーたる米大統領の職責を担うというのに、外交能力をほとんど重視していない層が両候補に投票しているのです。 サンダースは

    米大統領選のニューハンプシャー州予備選を終えて - 山猫日記
  • 安保法制ーー何が選択されたのか - 山猫日記

    安保法案が参議院で可決され、成立しました。戦後の安全保障政策にとって大きな転換の日であり、日政治全体にとって大きな転換の日であったのだと思います。国会内で見られた歌舞伎的な物理的抵抗も、国会外で繰り広げられた現代日にしては粘り強いデモの存在も、今日という日が歴史に記憶されることを示唆しています。ただ、何故に記憶されるに値するのかということについて、コンセンサスはありません。それは、我々が何を選択したのかを問うことだからです。私は大きく三つのことがあるのではないかと思っています。 安保論議の作法の変化 安保法制の議論の中でもっとも盛り上がったのは憲法論でした。国会において憲法学者が違憲との陳述を行って以降、潮目が変わりました。安全保障論議として始まった議論は、法律論に傾斜していきました。 私は、安保論議を法律論に押し込めて語ることで、問題の質が見失われてしまうと思っています。戦後日

    安保法制ーー何が選択されたのか - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2015/09/19
    “安保法制の成立を受けて、国民は大きく分断されました。与党の側にも勝利のファンファーレは鳴り響いていないでしょう。”
  • 戦後70年の総理談話に想う - 山猫日記

    争われたのは「歴史」ではなく「政治」 第二次世界大戦の終結と日の敗戦から日で70年を迎えます。歴史書に記述され、祖母から伝え聞いたことからすると、70年前の8月15日も、とても暑い日だったそうです。今日も、まだ昼前だというのに庭の蝉が力の限りを振り絞って鳴いています。 終戦の日は、歴史の日であり、記憶の日ではあるけれど、何よりも政治の日なのです。今年ほど、そのことを思い知らされた年は近年なかったのではないでしょうか。70年前に国民が雑音交じりの玉音放送に耳を傾けていた日は、時が止まり、国中が沈黙していたかのようだったと聞きます。70年の月日が流れ、我々はずいぶんと違うところに立っています。 日中で自由な言論が戦わされ、今日感じられているのは、敗戦の絶望感と、虚脱感と、ちょっとした安堵感ではありません。そこには、自由で豊かな国における、自由で豊かな社会なりの悩みがあります。国際社会に7

    戦後70年の総理談話に想う - 山猫日記
  • 安保法制(4)―不思議の国の潮目を読む - 山猫日記

    不思議の国 潮目が変わった、という意見が増えているようです。憲法審査会の場で与党推薦の参考人を含む三人の憲法学者が安保法制について違憲との見解を示したことがきっかけです。左派勢力からは違憲論が、与党内からは不手際論が、メディアから思惑含みの政局論が飛び出してきました。1960年に、岸首相が安保条約と刺し違えて退陣した故事を引いて、安倍首相に対する因縁論まで出てきています。この種の議論には、予言の自己実現性という要素がありますから、永田町で緊張感が高まっているのは事実でしょう。 私としては、三人の憲法学者の意見は、特段の驚きということではありませんでした。代表的な憲法学者の発言や著作に触れてきた方であれば、そうだろうと思います。憲法秩序の安定性を何よりも重視し、現実世界を法解釈にひきつけて線引きしようとする姿勢は法律家にとっては自然なものでしょう。しかし、三人の憲法学者の意見が、社会にこれだ

    安保法制(4)―不思議の国の潮目を読む - 山猫日記
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2015/06/13
    “米国が「帝国」的な存在から、多極的な世界における大国へと変化していく時代にあるということです。この変化は、過去の帝国の権力移行と異なり、米国が民主主義国であるという点が際立っています。”
  • 安保法制について(3)―国会で議論されるべきこと - 山猫日記

    建前と誤魔化しを廃した安保論議 安保法制の国会論議が始まります。先般の党首討論を見る限り、日が直面する安全保障環境をどのように捉え、それにどのように対処していくべきかという根において与野党間の認識がい違っているようです。戦後日の大きな転換点ですから、根の部分を議論するのはいいと思うのですが、同時に、今日の安全保障をめぐる実質についても、かみ合った議論を期待しています。 これまで申し上げてきたとおり、山日記は、今般の安保法制の整備について基的には賛成の立場です。だからと言って、それは政府への白紙委任を意味しませんし、今般の安保論議そのものには危うさも感じています。 今般の安保法制の特徴は、日の安全保障に関連した様々な「事態」を切れ目なく扱っているということです。 日にとって最も厳しい状況が「存立危機事態」です。このような状況において日の安全保障を担保するためには、米軍との

    安保法制について(3)―国会で議論されるべきこと - 山猫日記
  • テロと自由と日本社会 - 山猫日記

    人2名がイスラーム国の人質となるテロが発生しました。テロリスト達は、安倍政権の中東政策を反イスラーム国的であると断じた上で、2億ドル(=約238億円)の資金を支払わなければ、人質を殺害すると予告しています。今般のテロ行為は、総理の中東歴訪のタイミングに合わせ、日国民と世界の注目がもっとも集まるタイミングを狙ったものです。イラクやシリアでの戦闘で力をつけ、欧米人の殺害を繰り返してきたイスラーム国のテロリスト集団としての錬度を見せ付けています。 事態に対処する政府担当者からすれば、人質の一人である湯川さんの拘束から既に数ヶ月が経過しており、危機対処のマニュアルは整備されているはずです。まずは、従来からの方針に基づいた対処を進める以外にないのだろうと思います。 日国内の反応は、これまでも人質事件に際して繰り返されてきた構図を踏襲しています。一方には、テロリストとは絶対に交渉してはいけない

    テロと自由と日本社会 - 山猫日記
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