東京電力福島第一原発の放射能汚染水。政府は「もう先送りできない」と海洋放出に踏み切る方向だ。だからといって、安全や風評被害対策を先送りしていい理由にはならない。 福島第一原発の敷地の中には、千基のタンクがひしめき合って立ち並ぶ。中身は構内で発生した放射能汚染水。その量は百二十三万立方メートル。東京ドーム一杯分に相当する量だ。 地下水のくみ上げや凍土壁の設置によって、発生量は、五年前の四割弱にまで減った。それでも一日平均約百八十トンの割合で増えており、再来年には、敷地内にタンクを増設する場所がなくなってしまうという。最新の多核種除去設備(ALPS)を使っても、水にそっくりのトリチウム(三重水素)は取り除くことが難しい。ほかにも残るものがある。