本日は音声の話である。前半は一般論だが、後半はマニアックな話である。 音声工学の歴史はわりと浅い。長く見積もっても百年であり、短く見積もると五十年くらいである。その五十年の歴史をさかのぼると、最初に手作業で試行錯誤していた時代があり、徐々にコンピュータが威力を発揮し始め、そして二十年ほど前に機械によるパラメータの自動学習が本格的に始動した。つまり、現在の技術の原型は二十年ほど前からあまり変わっていない。この話は先日Ustで中継された音響学会のプレイベントでも触れられた。 そこから先の論調は大抵「これからどこに行けばよいのか」という問いかけになるのだが、それはおそらく歴史を振り返るという罠にはまっている。確かにそれぞれの年代によって研究のメインの課題は変わっていっただろうが、古い年代にあった研究課題は決して時代遅れになったわけではなく、もしもその頃の問題がまだ解決されていないのなら、当然現在