厚生労働省は21日、原爆症認定申請の個々の却下理由を初めて公表した。対象は4〜6月に審査した1611件(認定248件、却下1363件)。2008年4月以降の国の基準緩和で「積極認定する」とされたはずの白内障や心筋梗塞(こうそく)、甲状腺機能低下症の申請は、原爆放射線と発病との因果関係が認められないことを理由にほとんど却下されていることが判明した。 却下理由は「原爆放射線と発病との因果関係(放射線起因性)が認められない」が大多数だった。 被爆者の病気を原爆症と認めるかどうかは、専門家でつくる同省の「原子爆弾被爆者医療分科会」が審査している。同省は従来、分科会開催後に疾病別の認定・却下の件数のみを公表し、却下理由は申請者にしか知らせていなかった。 だが被爆者から「却下の全体状況がわからず、審査実態が不透明」との批判が相次いだため、1月に長妻昭厚労相(当時)が却下理由を公表する方針を示して