このテキストは1990年代の日本のテクノの歴史を史料から辿ったものです。数年前に発売予定だった某音楽書籍に収録されるはずでしたが、結局出ないまま時間が過ぎました。お蔵入りさせるのももったいのでnoteに出してみます。文中で「本書」と言っているのは、その本のことです。「出る予定だったけど出なかった本を読んでるんだな……」という気持ちで読んでください。約2万字です。 見出しだけ先に抜き出します。2000年代以降は言及してません。 ■「日本のテクノ」とは何か ■1988年、テクノとセカンド・サマー・オブ・ラヴの誕生 ■日本におけるDJブームとデトロイト・テクノの輸入 ■メディア上の認知とDELICのテクノ化 ■ハードコア・テクノ旋風とジュリアナTOKYO開店 ■テクノポップ再評価からYMO再生へ ■90年代東京テクノ・シーンの胎動 ■ケン・イシイの登場による国内シーンの活性化 ■電気グルーヴの『
日本アニメ初の快挙!海外アニメ賞を受賞した『スキップとローファー』海外ライセンス部長&プロデューサーが語る、奮闘の舞台裏
■2005 大きな話からしましょう。2005年は「Web 2.0」の年でした。旧来からある送り手と受け手が固定化した一方通行の情報流通ではなく、誰もが情報を発信できる双方向の状況に移ったことを示す宣言です。 静的から動的へ。傍観者から参加者へ。2005年からの5年間は、インターネットの主役が「人々のコミュニケーションを促進するコンテンツ」であり、「それを支えるサービス」へ移った時代でした。 次に小さな話をすると、インターネットの風景を変えたのは2005年に登場したYouTubeです。 それまで動画を観る習慣は、おもしろFlashを除き、ネットユーザーにはありませんでした。初期の動画サイトは違法アップロードされたものも多かったですが、次第に企業はその広告力に注目し公式チャンネルで動画を配信するようになり、個人もオリジナルの動画でアクセス数を競い合う世の中へと変化していきました。ニコニコ動画/
ここに翻訳をお届けする『印刷という革命──ルネサンスの本と日常生活』は、西欧印刷史の泰斗アンドルー・ペティグリーが満を持して2010年に世に問うた、実にスリリングな初期近代メディア文化史の傑作である。 原著で400ページを超えるその浩瀚なヴォリュームと射程の広さ、扱うトピックの目くるめく多様性にもかかわらず、原題は『ルネサンスにおける本』(The Book in the Renaissance)と意外なほどシンプルで、そのややもするとぶっきらぼうにも見える骨太な表題のうちに、著者の自信のほどがうかがえる魅惑の一冊だ。邦題の選定にあたっては、そのあたりの含みをうまく伝えられないものかと苦心したが、結局は本書の内容を要約した『印刷という革命』に落ち着いた。 ペティグリーは現在、イギリスのセント・アンドルーズ大学歴史学講座で教鞭をとる気鋭
東京五輪のエンブレムをめぐる「パクリ疑惑」が今夏、国内外の関心を集めた。担当デザイナーに対して、ネットユーザーたちによる過去の作品を含めた「パクリ疑惑」指摘が続いた結果、「取り下げ」という異例の事態に発展した。 ネットユーザーたちがなぜ、これほどまでに「パクリ」追及に奔走したのか、そもそも「パクリ」とは社会的に見てどのようなものだったのか。文化的な生産物の「オリジナリティ」「模倣」について考えるため、学生たちに『完全な「パクリ」レポート作成』をあえて課題に出している大阪市立大学大学院文学研究科の増田聡准教授に、今回の問題の背景について分析してもらった。 東京五輪エンブレム問題については、すでに多くの議論・意見がある。私はそれに付け加える意見をもたないが、ひとつだけ気になっていることがある。それは「パクリ」という言葉の氾濫とその効力の増大だ。 私はここ数年、大学における授業で、特定のテーマに
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