● 書体の違いを規定する常用漢字表「明朝体活字と筆写の楷書との関係について」 前回は漢字字体の歴史をさかのぼることで、『議員氏名の正確な表記』(以下『正確な表記』)が「書体の違い」を無視してしまっていることを指摘した。しかし、このような事細かな漢字字体の歴史を、誰もが知っているはずもない。そのような中で衆議院事務局が書体の違いを無視してしまったとしても、それは仕方のないことではないだろうか? それが違うのだ。もう27年も昔から、これは数ページの簡単なルールにまとめられている。それが他ならぬ常用漢字表の「字体についての解説」だ。この中の一節「明朝体活字と筆写の楷書との関係について」では、以下のように書かれている。 字体としては同じであっても、明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には、いろいろな点で違いがある。それらは、印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差
● どのようにして文字使用の実態を把握するのか 前回、常用漢字表の目的は〈一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安〉だと書いた。よく誤解されるが、常用漢字表は手紙や日記、メモなどの個人的な文書、小説や歌などの芸術表現、アカデミックな専門分野などは対象外だ。では何が対象かというと、よく説明に使われるのが「広場の言葉」という言い方。外からは見えない建物の中などでなく、人々が集まるオープンな「広場」、そんな場所でコミュニケーションをする際に使う共通の漢字。私なりに言えば「最大公約数」という言い方になろうが、その「目安」を規定したのが常用漢字表だ。 前回で述べたような「書記環境の大きな変化」とは、まさにこの「広場」の質的な変化を意味するからこそ常用漢字表は改定されようとしている。では具体的にどのように変化したのか? それを科学的なデータとして把握できなければ、どのように改定
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く