「クレヨンしんちゃん」野原ひろし役、「交響詩篇エウレカセブン」ホランド・ノヴァク役、映画『アベンジャーズ』シリーズのアイアンマン=トニー・スターク役の吹替などで知られる声優の藤原啓治さんが4月12日に死去したことが所属事務所より発表された。 筆者は何度か藤原さんに「クレヨンしんちゃん」について話をうかがう機会をいただいたことがある。ここでは、他の媒体に掲載されたインタビューも含め、藤原さんがどのように「理想の父親」とも言われるようになった野原ひろしを作り上げていったかを紐解いてみたい。(大山くまお) 27歳で射止めた野原ひろし役と試行錯誤 藤原啓治さん(2015年撮影) 1992年にスタートしたアニメ「クレヨンしんちゃん」。藤原さんがオーディションに合格して野原ひろし役を得たのは、声優としてのキャリアを歩みはじめて2年目だった27歳の頃。もちろん、父親を演じるのは初めて。35歳という設定の