今、都内に65%という原価率ながら、売り上げを伸ばしている話題のフレンチ料理店がある。 平日の午後3時。東京・銀座。一カ所だけ人だかりができていた。立ち飲みフランス料理店「俺のフレンチGINZA」だ。開店1時間ほど前から約50人が列を作る。フォワグラコンフィ980円、穴子とウニクリームのテリーヌ680円など、高級料理を低価格で食べられることが話題で、系列の「俺のイタリアン」を含め、今もっとも予約が取れない店になった。 社長の坂本孝(72)は、とにかく飲食業界の“常識の逆張り”を追求した。長引く飲食不況で、業界では料理の原価を抑えて利益を上げる常識が定着していた。しかし「俺の」では、原価率は65%。坂本の口癖はこうだ。 「料理の質を追求するために、食材にはカネをジャブジャブ使え!」 銀座周辺に系列店が7店という集中出店も業界の非常識だ。通常なら客の取り合いになるから避けるが、はしごで