→紀伊國屋書店で購入 本書最後の第6章には、「研究者に何ができるか」という見出しがある。本書を通読すれば、著者飯田卓がつねに「研究者に何ができるか」を自問自答しながらフィールドワークをおこなっている様子がよくわかる。本書の「目次」は、章と節のタイトルまでしか書かれていないが、項まで書かれていると、本書の全体像と著書の意図したことが、より具にわかったことだろう。 著者の姿勢は、「序章 漁民文化の潜在力」のつぎの文章からもわかる。「私は、フィールドの人たちからローカルな現実を学ぶと同時に、ローカルな生活感覚からかけはなれたグローバル化状況をも認識していかなくてはなるまい。現在のように専門化していく学術環境のなかで、それは容易でないだろう。しかし本書では、それを試みようと思う」。そのような学ぶ姿勢をもつ著者だから、「終章 グローバル化のなかの自然」は、「われわれ日本人は、経験に裏打ちされた知識を