アメリカでいま、学校の図書館から本が次々と撤去されています。 去年1年間に“禁書”となった本は実に1835作品。 「アンネの日記」やノーベル文学賞作家の作品なども対象になりました。 来年の大統領選挙に向けても争点の1つとなっているこの問題。 背景にあるのは“文化戦争”と呼ばれる価値観の激しいぶつかり合いです。 アメリカでいったい何が起きているのでしょうか。 (ワシントン支局記者 辻浩平) 教育委員会が“文化戦争”の最前線に 「こんな気持ち悪い本を子どもが手にする理由など1つもない」 「子どもにポルノを読ませる気なのか」 テキサス州ケラー市教育委員会 2023年1月 それは教育委員会の会合で耳にするような言葉ではありませんでした。 ふだんはほとんど傍聴者がいないというテキサス州ケラー市の教育委員会の会合。 この日は多くの保護者が出席し「学校の図書館に子どもにふさわしくない内容の本が置いてある
「Getty Images」より 東京都教育委員会は、都立高校・学校図書館の民間委託を来年度から見直す方針を固めたことが、このほど関係者への取材でわかった。 まだ予算案発表前のため詳細は不明だが、関係者によれば来年度からは新たに都立高校学校図書館の民間委託への転換は行わず、その部分については、学校司書を直接雇用とするための予算要求を盛り込むものとみられている(民間との契約も残しつつ、直接雇用で司書を補充する方針)。 役所のあらゆる業務の民間委託が急速に進むなか、なぜ都教委は、たとえ一部分とはいえ学校図書館を直接雇用に戻す決断を下したのだろうか。 「現時点で違法性を完全に排除できないため、都立高校の学校図書館をこれ以上、民間に任せられないということです」 そう話すのは、9月の東京都議会でこの問題を追及した都民ファーストの会の米川大二郎都議会議員(都市整備委員会委員長)だ。米川都議が問題視した
「お前、ふざけるな!」 バーンと言うドアを開ける大きな音が館内に響いた。 アルバイト先の先輩有田さんがちょっと目を離した隙だった。テーブルの手前側に座っていた学生はカウンターの上にあった自分のバッグを鷲掴みにして、片手で入り口のドアを叩き開けた。そして脱兎のごとく走り去って行った。 有田さんがその後を一目散に追った。 数分後、上気した顔の有田さん戻ってきて「逃げられた」とぽつりと言った。「残念です。レベル2ですね」と他のアルバイトが彼をねぎらった。有田さんはまだ肩で息をしていて体から白い湯気が立っていた。開いたままのドアから外の冷気が静かに入って来た。 それは私が大学の図書館でアルバイトを始めて三日目の事だった。大学のテスト期間中は「気をつけろ」と言われていたが、何に「気をつけるのか」は全く分からなかった。ただその時は「レベル2」という言葉が頭に残った。 通っていた大学の図書館でアルバイト
図書館司書の仕事は人工知能(AI)で代替可能になる―。そんな意見が先の国会で取り沙汰された。蔵書管理や貸し借りという司書の業務からの指摘とみられるが、学校の図書館は子どもにとっての居心地の良さから「第二の保健室」と呼ばれる側面がある。「あの場所に命を救われた」。話に耳を傾け、寄り添ってくれる司書がいる図書館は、生きづらさを感じる子の切実なよりどころとなっている。 「男にこびを売っている」。A子さん(16)が学級を息苦しく感じ始めたのは、根も葉もないうわさを流された2年前だった。 当時は福岡県内の中学の2年生。うのみにした級友もいたらしく、ノリの良い生徒を中心に陰口が広がった。3年に進級すると、親しい友人とクラスが離れ事態は悪化。近づくと避けられるなど、なぜか級友から攻撃の標的にされた。 心の安らぎを得られたのが図書館だった。集う生徒は学年もばらばら。一斉行動や結束も求められず、誰かに趣味や
東京メトロ千代田線の根津駅にある「根津メトロ文庫」が近々姿を消すようです。文庫の形は6000系電車をかたどったもの。蔵書が増えるなかで、2号車の連結やライトなどの取り付けが行われ、今の姿になったといいます。 元々は記念乗車券の販売ボックス 東京メトロ千代田線から最後の「6000系」が姿を消すようです。おや、6000系電車は1年前の2018年11月に引退したはずでは。いいえ、本物の車両の話ではありません。根津駅(東京都文京区)の不忍池方面改札内にある、6000系電車の形をした地下鉄文庫「根津メトロ文庫」です。 「地下鉄文庫」は誰でも自由に本を借りられる無人の図書室です。ルールは読み終えたら本棚に返すだけ。本棚に並ぶ書籍はどれも利用者から寄贈されたものです。その代表的な存在である根津メトロ文庫に2019年10月末、「老朽化や維持管理コストの増大に伴い、近々撤去することになりました」という告知が
台風19号による浸水により東京都内で少なくとも4カ所の大学図書館が被害を受け、一時閉鎖や利用制限などを強いられている。数万冊の書籍に被害が出たとみられる施設もあり、関係者は復旧作業に追われている。 東京都市大(世田谷区)は学生と教職員約5100人が所属する世田谷キャンパスが広い範囲で浸水。復旧作業などのため入構禁止とし、19日まで全授業を休講とした。同キャンパスは区作成のハザードマップで浸水想定域に入っている。 図書館は13日午前8時時点で地階が水没、1階が足首のあたりまで浸水、全館が停電するなどした。18日時点でポンプによる排水作業が続いている。蔵書約29万冊のうち約9万冊が、水没した地階に収蔵されていた。 同大では図書館の相互利用協定を結んでいる区内の他の5大学などに利用者を振り分けたり、返却期限を延長したりするなどの措置をとっている。企画広報室の外智晃係長は「できるだけ早く再開したい
関西の大学が学生に本を読んでもらおうとデジタル技術を駆使した取り組みに工夫を凝らしている。書店の協力を得て電子書籍を無料配信したり、人工知能(AI)で性格分析した本を紹介したり。ポイントは若者に身近なスマートフォンの活用だ。全国大学生活協同組合連合会による2017年の学生生活実態調査では、1日の読書時間が「ゼロ」という大学生が半数以上の53.1%に達した中、学生の活字離れを食い止める一手になるか--。 関西大(大阪府吹田市)は今月から半年限定で、約4万タイトルの電子書籍を無料配信している。書店大手の「紀伊國屋書店」と「丸善雄松堂」が展開する電子書籍サービスを在学生約3万人に提供。スマホやパソコンで閲覧できる。ラインアップは教養書や学術書が中心だが、就職活動関連の実用書などもそろう。
近畿大が整備を進めている図書館(中央の2階建ての建物群)と24時間対応の自習棟(左)(2016年12月、大阪府東大阪市で) 近畿大(大阪府東大阪市)は4月、蔵書約7万冊のうち、漫画が30%以上の約2万2000冊に上る図書館を新設する。 学術書が主体の大学図書館では珍しい。24時間利用できる自習棟も併設。近大は「若者の読書離れが進む中、漫画を入り口に学生の知的好奇心を刺激したい」としている。 2013年度から進める総事業費400億円のキャンパス整備計画の一環で、学内の中央図書館分室(2階建て)として建設。学生らが集まって議論できる25の小部屋を様々な向きに配置し、それらを結ぶ放射状の廊下に書棚を並べる。 編集工学研究所(東京)所長の松岡正剛さんが蔵書を選び、1階に学術書など約3万冊、2階に世相を映す漫画や新書、文庫本約4万冊を置く。著者やジャンルで分類せず、棚ごとに「文学をマンガする」「近大
岡山県高梁市は11月1日、レンタル大手TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とし、管理・運営を任せた図書館を、来年2月4日にオープンすると正式発表した。 駅前に完成した4階建ての複合ビルに、賑わい創出の目玉としてCCCがプロデュースするカフェや書店を併設する滞在型の新図書館がオープンする計画で、佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀城市に続いて、全国で4例目となる“ツタヤ図書館”だけに、かねてより注目を集めていたのだが、驚いたのがその人事である。 新聞報道等で、新図書館の館長として名前が挙がったのは、高梁市教育委員会の委員長だった藤井勇氏だ。教育委員としての任期は、2013年11月16日~17年11月15日までとなっていたが、任期を1年以上残して今年9月30日付で退任していた。 さらに取材してみると、10年3月に同市内の小学校校長を定年退職した
「事前の説明なんか何もないですよ。卒業式前日の3月17日お昼頃でした。突然、『職員室に取りにきてください』と校内放送があって、バタバタと生徒に配っただけです。生徒には1枚の案内がついていましたが、担任の教師にはそれすら渡されませんでした」 そう憤慨するのは、宮城県・多賀城市内にある小学校の女性教師である。生徒に配布されたのは、「読書通帳」なるシロモノ。最近各地の公共図書館で導入され始めている読書推進ツールなのだが、“ツタヤ図書館”で配布されたとなると、話は少しややこしくなってくる。 それにしても、小学校の教室で生徒全員に配布されるのに、担任の教師がその内容について一切知らされないということがあっていいのか――。 読書通帳で子供の読書習慣向上に寄与 レンタル店「TSUTAYA」を全国展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する公共図書館、通称・ツタヤ図書館。宮城県多賀城市立
佐賀県武雄市、神奈川県海老名市に続いて、2016年3月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「第三のツタヤ図書館」がリニューアルオープンする宮城県多賀城市。人口6万人のこの小さな町の議会が、最近、全国の図書館フリークたちの注目を集めた。そのやりとりには、全国各地で噴出している「ツタヤ図書館問題」が凝縮されていたからだ。 「わかっているのに、はぐらかすのやめてくださいよ。もう多賀城は買ったんですか?(略)CCCが、武雄図書館をリニューアルオープンする際に買った図書の購入リストを見て、どう思ったのかということを聞いているんです。在庫一掃であってはだめでしょう。だから、どう思いましたかと聞いているんです。このリストを見て。見ているんですか」 語気が荒くなっているのが、会議録からもひしひしと伝わってくる。今年10月14日に開かれた多賀城市議会定例会の1シーンである。共産党の藤原益
作家の村上春樹さん(66)が兵庫県立神戸高校(神戸市)在学中に図書室で借りた本の書名を、神戸新聞が本人の承諾をとらずに報じた。この記事について調査した日本図書館協会は30日に報告書を公表し、「プライバシーの侵害となる」との見解を示した。 同紙が10月5日付夕刊に掲載した記事は、同校元教諭が廃棄予定だった図書室の蔵書を整理中に村上さんの名前が書かれた帯出者カードを発見したという内容。村上さんを含む3人の生徒の氏名や学級、貸出日などが読み取れるカードの写真も掲載された。電子版では10人以上の氏名が識別できる3枚のカードの写真も公開された。当時は本の表紙裏に付いたポケットに入ったカードに、氏名などを記入し、カードを預けて本を借りていた。 同協会は「図書館の自由に関する宣言」で、令状を確認した場合を除き、貸し出しや入退館などの記録を外部に漏らさないと定めている。今回の記事はこの宣言に抵触するとして
2014年3月20日、バチカン市国の公式プレスルーム「サラ・スタンパ」で記者会見が開かれ、同国がある契約に調印したことが発表された(写真1)。契約書の署名者は、ジャン=ルイ・ブルーゲス バチカンローマカトリック教会記録・図書担当大司教とNTTデータの岩本敏男代表取締役社長だ(写真2)。会見には、バチカン図書館のチェーザレ・パッシーニ館長、NTTデータの岩井利夫常務執行役員公共システム事業本部長などが列席した。 右から、チェーザレ・パッシーニバチカン図書館長、フェデリコ・ロンバルディバチカン市国公式プレスルーム担当、ジャン=ルイ・ブルーゲスバチカンローマカトリック教会記録・図書担当大司教、NTTデータの岩本敏男代表取締役社長、NTT DATA EMEAのパトリツィオ・マペリCEO(最高経営責任者)、NTTデータの岩井利夫常務執行役員公共システム事業本部長。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く