【ワシントン和田浩明】米国でイスラム教徒を標的にした憎悪犯罪(ヘイトクライム)が急増している。パリ同時多発テロが発生した11月13日以降の1カ月では例年の3倍近くに達していることが、米連邦捜査局(FBI)のデータを分析した研究者の調査で分かった。 米カリフォルニア州立大学「憎悪・過激主義研究センター」のブライアン・レビン所長がFBIのデータを調べたところ、11月13日〜12月13日の間に米国で37件のイスラム教徒に対する憎悪犯罪が起きていた。2010〜14年の月平均発生件数である12・6件の約3倍だ。具体的には、ヘジャブ(スカーフ)をつけた女性に対する暴力行為やモスク(イスラム礼拝所)への放火、発砲などが発生した。 レビン氏は背景として、米大統領選挙の候補者らによる反イスラム発言に言及。「憎悪犯罪の急増は、イスラム教徒の社会参加に対する敵意拡大の症状かもしれない」と指摘している。