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2023年4月21日のブックマーク (3件)

  • 生涯に一度の夜(レイ・ブラッドベリ)

    1, 2週間ほど前,HTTPのステータスコード451が話題になった. 政府の検閲で消されたページを表わす「451エラー」がスタート - GIGAZINE http://gigazine.net/news/20151222-http-status-code-451/ このステイタスコードは,レイ・ブラッドベリの「華氏451度」に因んでいるという.それで,ブラッドベリの作品について書いてみたくなった.内容的に,クリスマス前にエントリにしたかったのだが,この時期になったのは残念だ(いつものことであるけれども). ブラッドベリは,一言で言えば,SF作家,小説家ということになるだろうか (Wikipedia の記事).普段私があまり読まないジャンルの作家で,私も数冊くらいしか読んだことがないのだが,今回のエントリで対象とする短編集「二人がここにいる不思議」は,ブラッドベリの最高傑作の一つではないかと

  • 僕に踏まれた町と僕が踏まれた町(中島らも)

    先日,生涯に一度の夜という記事を書き,それから連想して,中島らもによる「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」のことを書いてみたくなった.なおこの作品については,以前,をあまり読まない中高生に薦めたい10作品(その2)でも言及した. 中島らもは,ほぼ団塊の世代であり,70年代のヒッピー文化や安保闘争の時代に青春を送っている.酒やドラッグによる破滅的な人生を送った人だった.このあたりはらも自身がエッセイなどに度々書いているが,特に,らも夫人である中島美代子による「らも ― 中島らもとの三十五年」を読むと,凄まじい.そもそも70年代の日の若者文化は,アメリカ文化を薄っぺらになぞったものであり,そういう時代背景の極北に,らもの人生もあるのかもしれない. しかしそれでも,中島らもの人生には,私を惹きつける何かがある.特に,らもが作家活動を格的に始めた当初の作品の中の,「僕に踏まれた町と僕が踏まれた

  • 文人悪食 (嵐山光三郎)

    今年最初のエントリは,嵐山光三郎の「文人悪」について書いてみたい.なお,このについては以前このブログで少しだけ触れたことがある(参照: 嵐山光三郎の). 「文人悪」は,37人の小説家について,それぞれの人生や作品と,とのかかわりをまとめたものである.そしてそれは,私自身の品性下劣を自覚したうえで言うと,とてつもなく面白い. そもそもとは,肉であれ植物であれ,生き物(あるいは生きていた物)を,かみ砕き消化して,自らの栄養とする行為である.そして人間以外のほとんどの種は,また別の生物の直接的な物となる(もちろん,人間も死ねば微生物によって分解されるだろうが).つまり,という営みは,特に人間にとって,業(ごう)のようなものといえるだろう. その一方で,小説家は,人間の業を描くものである.その業は,闇とも深淵ともなるだろう.そこで小説家が,性格や人生の破綻者となることは必然的でもあ