国立国会図書館は、大正時代から戦後まもなくまでの間に録音されたレコードやラジオの音源のデジタル化、公開を進めている。2011年から、一部を東京本館(東京都千代田区)と関西館(京都府精華町)、インターネット上で公開、今年7月からは、全国の提携自治体図書館への配信も本格的に始めた。落語や浪曲、政治家の演説から英語の教材まで、貴重な音の記録だ。音源が劣化と散逸の危機にある中、「音による文化」の保存と継承を目指した国家プロジェクトは重要度を高めている。 ■ ■ 収集対象は、1900年代初頭から50年代ごろまでに国内で製造されたSP盤や、NHKの放送など約5万点。落語▽長唄▽浄瑠璃▽歌謡曲▽浪曲▽楽曲(ギター、琴、尺八など)▽歌劇−−と広範にわたる。古くは能楽シテ方十六世宝生九郎知栄が謡った「謡曲 羽衣」(10年ごろ)、比較的最近では有名な南極犬を歌った「タロー・ジローのカラフト犬」(58年)など
今月で開館から10年を迎えた国立国会図書館関西館(精華町精華台)で1日、記念展「関西の図書館100年 関西館の10年」が始まった。1904(明治37)年に一般向けの近代図書館のさきがけとして開館した大阪図書館(現在の府立中之島図書館)以降の図書館の歴史や、図書館を巡る活動を示す資料93点と写真パネルを展示。無料。31日まで(日祝日、第3水曜休)。 明治初期に京都に集書院というわが国初の公共図書館が開館したが、10年で閉鎖。日露戦争前後に、地域の図書館設置の機運が高まり、大阪に続いて、京都、奈良でも現在の府県立図書館につながる図書館が設立された。 昭和初期に、大阪で図書館用品の販売会社を営んだ間宮不二雄を中心に青年図書館員連盟が設立され、図書館用語や目録の規格統一が進んだことや、戦後の1950年に公布された「図書館法」で、司書職が規定され、利用無料の原則が定められたことを紹介した。 82年に
100万タイトルの電子書籍を作ることができれば、さまざまなビジネスができる。誰もが参加できる共通基盤の整備が私たち出版デジタル機構の役目だ。今年4月にはネット上の検索サービス「e読書・jp」の提供が始まった。書誌情報はもちろん、紙、電子にかかわらず、購入できる書店のサイトに簡単に飛べるのが特徴だ。いずれはこのサイトをあらゆる出版物のポータルサイトにしたい。 米国のグーグルが日本でも実施しようとした全文検索は、読者の立場から見れば便利なサービスだ。将来的には、出版社から預かった本のデータを活用し、電子、新刊、品切れ問わず、すべての本の全文検索ができるようにしたい。 もう一つの夢は、街の書店と読者をつなぐ試みだ。書店に電子書籍リーダーを持って行けば、立ち読みのように全部読める仕組みを作るのはどうか。気に入れば紙の本を買ってもいいし、電子書籍を注文してもいい。品切れならば、書店に据え付けたオンデ
県立図書館は今月、明治から昭和にかけてレコードや金属原盤に記録された落語や長唄、演説など「歴史的音源」の試聴サービスを始めた。中国地方で初の取り組みで、岡山出身の政治家、犬養毅の首相時の演説もある。 国立国会図書館がインターネットで配信する1900年から50年にかけての音源2万6000点が試聴できる。NHKや日本音楽著作権協会などが劣化で聞けなくなる可能性があるレコードや原盤のコンピューター保存を進めており、音源は2年後には5万点まで増える見込みだ。 音源には、犬養毅が32年2月に行った演説「新内閣の責務」、「岡山市歌」(30年)、「岡山行進曲」(32年)などがある。同館は「当時の肉声を聞いて時代を感じてほしい」と話している。【井上元宏】
6日にフジテレビが中継した日本シリーズ「中日-ロッテ」第6戦は、シリーズ史上最長試合となり、日付けが変わった7日午前0時2分まで放送した。6日午後6時の放送開始から6時間2分。日本シリーズでは最長時間の中継となり、午後11時からはCMが入らない珍状態となった。 6日のテレビ欄で、中継時間を「試合終了まで」と明記していることに加え、日本野球機構(NPB)との間で、中継を担当する各局はプレーボールから試合終了後の監督インタビューまでを必ず中継する取り決めとなっており、最後まで放送しなければならなかった。 同局は5時間以内での試合終了を想定。午後11時までしかシリーズ中継のCMを販売しておらず、午後11時から午前0時までの約1時間はCMが一切ない、民放としては珍しい放送となった。 野球中継の後に予定していた映画「バブルへGO!!」は3時間10分遅れの7日午前0時10分から放送。その後の放送も繰り
電子書籍の普及に向けた著作権などの課題を検討するための総務、文部科学、経済産業の3省合同の懇談会が17日、発足した。作家の阿刀田高氏や漫画家の里中満智子氏ら著作者をはじめ、出版業界や情報通信産業など幅広い関係者で構成。座長には末松安晴・東京工業大学名誉教授が就任。6月をめどに、業界内の役割分担や著作権制度の在り方などについて報告をまとめることを確認した。 会合では、国立国会図書館の長尾真館長が同館が所有する書籍の電子データを活用した有料貸出制度を提案。これに対して、里中氏らが「(無料で貸し出しをしてきた)図書館は著作者の権利を制限してきた」と不信感を述べるなど、初回から荒れ模様。利害調整は難航必至だ。【望月麻紀】
◇12年春、新ディスプレー展示 貴重な民俗、考古資料を経年劣化から守ろうと県立博物館(宇都宮市睦町)が、「県内文化資源のデジタルコンテンツ化事業」を進めている。文化資源のデジタル化事業は県内初で、新たに消滅の危機にある有形無形の文化財も映像として記録。12年春には一般公開される予定で、博物館のディスプレー展示が大きく様変わりする。【松本晃】 祭事や民話の読み語りなどを保存した、既存の16ミリフィルムやカセットテープなどの資料約100点の劣化に悩んでいた同博物館は、昨年10月デジタル化事業を開始。DVDに映像、音声を取り込みデータとして保存する。 さらに同博物館は、失われつつある県の伝統工芸品の制作風景や民舞、郷土料理「しもつかれ」の作り方などを撮影し、新たなデジタルコンテンツ製作も手がける。民俗部門では11種類のデジタル動画を製作予定。昨年12月と今年2月に工芸品「箕(み)」の制作風景を撮
本や雑誌、新聞などを電子機器の画面で読む「電子書籍」が注目されている。米国では、ネット通販大手、アマゾン・ドット・コムの専用端末「キンドル」のヒットをきっかけに、各社が電子書籍市場に参入。今年は「電子書籍元年」になると予想されている。さらに、米国で発生したその波は日本の出版界もいや応なしに巻き込みつつある。一気に加速し始めた電子書籍を巡る動きを報告する。【佐々本浩材】 ◇キンドルの衝撃 キンドルがデビューしたのは07年11月。電子書籍端末はそれ以前も多くのメーカーが挑戦してきたが、いずれも期待外れに終わっていたため、当初はあまり注目されていなかった。風向きが大きく変わり始めたのは昨年。2月に新機種「キンドル2」を発売すると、その後値下げを繰り返し、10月には日本を含む100カ国以上で英語版の販売を開始。7~9月期の業績発表の際には「キンドルがアマゾンの売り上げトップ商品になった」とアピール
中川正春副文部科学相は6日の会見で、書籍デジタル化に絡む著作権の問題について「政治判断で権利を調整していく」との考えを示した。国立国会図書館が蔵書をデジタル化してインターネット配信する構想を打ち出し、出版業界から慎重論が出ていることなども踏まえ、補償制度などを関係団体と協議する。 中川副文科相は、既に関係者のヒアリングを進めていることを明らかにした上で、「(国会図書館の蔵書データを)公開するとなると(著作権者に)それなりの補償をしていくのは当然。一番大きな影響が出るのは出版社関連(会社)で、どういう措置を取れるか工夫しないといけない」と述べた。 内藤正光副総務相にも連携を打診しているとし、「総務省にはメーカーや情報関連企業などの意見の整理をしてほしい」と述べた。
国立国会図書館が所蔵する「電子書籍」を利用してインターネットで有料配信するという構想が浮上している。ネット時代の新たな書籍の流通システムは、同図書館と作家、出版社の3者が協力し、早期の稼働を目指すという。しかし、出版界には「ますます本が売れなくなる」と懸念する声が強い。新システムの内容と課題を探ってみた。【合田月美、臺宏士】 ネットでの有料配信構想を発表したのは、国立国会図書館(長尾真館長)と、出版462社でつくる「日本書籍出版協会」(小峰紀雄理事長、書協)、作家らで組織する「日本文芸家協会」(坂上弘理事長)。長尾館長や小峰理事長、三田誠広・文芸家協会副理事長らが今月4日に東京都内で会見した。3者が「日本書籍検索制度提言協議会」(座長・松田政行弁護士)を設立、国会図書館蔵書のデジタル化や有料配信システムづくりについて、来年4月に具体的な提言を公表するという。 長尾館長は会見で、「これまでは
<NEWS NAVIGATOR> ◆グーグルの書籍データベース化って? ◇図書閲覧、ネットで可能に 著作権で問題、先行き不透明 なるほドリ 最近、グーグルの書籍データベース化についての記事をよく見るけど、一体どういうことなのかな。 記者 米検索大手のグーグル社は全世界の知識を一手に集めようと「図書館プロジェクト」という構想を打ち出しました。スタンフォード大学図書館など、大量の書籍を保有している欧米の図書館と提携し、蔵書の全文をデジタル化する計画です。作業は進行中で、その成果の一部はすでに生かされています。 Q どんなふうに? A パソコンでグーグルの「ブック検索」にアクセスすれば、私たちも無料でデータベースを活用することができます。例えば「Soseki Natsume」とキーワードを打ち込めば、「Botchan」などの関連項目が出てきて、本の一部も読めるんですよ。 Q すごく便利なようだけ
川端達夫文部科学相は22日、アニメーションやマンガなどを展示・保存する施設として09年度補正予算に建設費117億円が盛り込まれた「国立メディア芸術総合センター(仮称)」について「新たに建物は建てない」と明言したうえで、「メディア芸術を支える人やクリエーターの育成にウエートを置きたい」と述べた。 文科省の全部局から補正予算についてヒアリングを実施後、記者団に語った。川端文科相は「日本の優れたメディア芸術をしっかり育て、発信していくことが極めて大事だという点では(事務方と)認識を共有した」とし、建物新築以外の方法でこの分野の振興策を改めて提案するよう文化庁の事務方に求めたことを明らかにした。建設費をソフト面の振興費に振り向けることや10年度以降の予算として組み直すことなども検討する。 川端文科相は「アニメ番組1本にスポンサーは数千万円払うが、現場の一番下で請け負う人たちには数百万円しか渡らない
奈良県で来年開かれる平城遷都1300年祭を巡り、自民党の衆参両院議員でつくる「平城遷都1300年記念事業推進議員連盟」(会長・森喜朗元首相)メンバーが、衆院選の大敗で91人から約6割の54人に減った。記念事業は、同議連の後押しもあって、国家的事業として閣議了解された経緯があり、政権交代による事業への影響を懸念する声が関係者からあがっている。 議連は06年11月、当時の柿本善也知事らが働きかけ、有志の自民党国会議員が結成。副会長に古賀誠選対本部長代理▽伊吹文明元幹事長▽津島雄二元厚相▽山崎拓前副総裁ら党の重鎮が顔をそろえ、顧問にも中川秀直元幹事長▽丹羽雄哉元厚相▽青木幹雄前参院議員会長ら実力者が並ぶ。 昨年10月の閣議了解も、議連が中心となって後押ししたが、71人の衆院議員のうち37人が落選するか引退し、メンバーは激減した。 今年1月に設立された「平城遷都1300年記念事業推進委員会」(会長
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く