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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (4)

  • 死ぬときに思い出す傑作『イギリス人の患者』

    死ぬときに思い出す小説の一つ。 あれを読めば良かったとか、これがまだ途中だったとか、未練は必ずあるはずだ。どんなに読んでも足りることはないから。そんな後悔の中で、エピソードや描写を思い出し、読んでよかったと言える作品の一つが、『イギリス人の患者』だ。 映画が公開されたときだから、20年以上前に読んだのだが、いま再読しても美しい。詩的で情緒豊かに紡がれる、四人の男女の破壊された人生の物語だ。 あらすじはシンプルだ。 第二次世界大戦の終わり、イタリア北部の半ば廃墟となった修道院が舞台となる。そこで生活を共にするのは、看護婦のハナ、泥棒のカラヴァッジョ、インド人の工兵のキップ、そしてイギリス人の患者となる。人生のわずかな期間にすれ違う男女が、自身の半生を思い出す。 ただし、けっして読みやすい、ストレートなお話ではない。 時系列は無警告で前後するし、エピソードの粒度や解像度はバラバラだ。後になって

    死ぬときに思い出す傑作『イギリス人の患者』
    mullen
    mullen 2024/06/24
  • 自炊の味方『小林カツ代のお料理入門』

    料理をおいしくするコツが、やさしく伝わる一冊。 我が家で最も信頼されているレシピは、小林カツ代シリーズになる。料理一年生ではないけれど、味付けの勘所だとか、おいしくなるひと工夫を、ピンポイントで教えてくれるから。3~4人ぐらいだと、彼女のレシピが一番いい。 ところが書は、趣が違う。わたし+誰かのための料理ではなく、わたしだけの美味、ひとりごはんを目指してるところ。いつもの家族向けというより、一人暮らしの自炊の味方となっている。ひとりだと、節約+満腹に目が行きがちだが、彼女のポリシーだと、「ひとりのご飯こそ贅沢においしく」になる。結果、料理のラインナップは、かなりユニークだ。 たとえば一品目、すき焼き。ひとりすき焼き!? 鍋物って大人数で囲むイメージが崩れさる。しかも、ポイントがシンプルだ。すき焼きで大事なのは、「葱は必ず焼きつける」だそうな。一以上、斜めに切って、びっしり鍋底に敷きつ

    自炊の味方『小林カツ代のお料理入門』
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる

    の探し方についてのエントリ「を探すのではなく、人を探す」において、「目的を持って読む」と書いたが、具体的に何をどうすりゃいいのか、書いてない。を選ぶまでが前回のエントリなら、ここでは、選んだをどうやって読んでいるかについて、書く。 最初に やはり長くなりすぎたこのエントリのまとめ↓ 読書は他人にものを考えてもらった結果をなぞるだけだから、自分のアタマでものを考えなくなる。そうした受動的な読書を打ち破るために、オキテを作って実践している。 オキテ1:読むだけの読書にしない、オキテ2:読んだら表現する、オキテ3:読んだらフィードバックする、の3つ。その結果、読書の対象に広がりと奥行きと深みが増した。特にオキテ2を強力にオススメする。 まとめ終わり。文どぞ。 ばかり読んでるとバカになる ショウペンハウエルが「読書について」でいいこと言っている。読書は他人にものを考えてもらうこと。だか

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: プログラマになれなかったわたし

    今は昔、ひとりの駆け出しプログラマがいた。 その頃はCOBOLばかりで、しかも保守ばかりだった。そこで、独学で身に付けたCをやらせてもらえる仕事を奪ってきては書いた。スクラッチプロジェクトを見つける嗅覚だけは抜群だった。たいていは人手が足りず、新人でも歓迎されたからだ。 そこには優れた先達がいた。「スーパープログラマ」と呼ばれていた。 なぜ「スーパー」なんて修飾子がついたかというと、速いプログラムを早く書いたから。もちろん、「速い」とは少ないメモリ・小さいプログラムのことを指し、「早く」とは実装が早いこと。実際、彼らが書いたプログラムはサクサク動き、バグは簡単に見つけられた。 教えを請うと、先達たちは、おしなべてこういった。 最初に学ぶべきは、コンピュータサイエンス。特にアルゴリズムとデータ構造だ。実践的なコーディングテクニックよりも、まず基礎だ。これはコードを書きながらではなく、文献から

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: プログラマになれなかったわたし
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