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「変わった様子はなかった」。彼の家族や同僚はそう口をそろえた。事故前日、当日の朝についても。乗客106人が死亡し、493人が重軽傷を負った尼崎JR脱線事故で、死亡した男性運転士=当時(23)=は乗務中に何を思い、電車を暴走させたのか。25日で丸18年になるのを前に、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調委)の報告書などから直前の経緯を改めて振り返る。 ■〈8時9分 京橋駅、50秒の遅れ〉 午前8時9分50秒ごろ、男性運転士は京橋駅から当時44歳の男性車掌を乗せ、7両編成の尼崎駅行き普通電車を出発させる。既に定刻より50秒ほど遅れていた。 その2時間前の午前6時8分、森ノ宮電車区放出(はなてん)派出所で点呼した係長は、男性運転士の様子について「特に異常は感じなかった」と証言する。京橋駅からの出発遅れは、直前の松井山手駅発京橋駅行きの区間快速で、混雑による遅れが徐々に拡大したためだった。
31日投開票の衆院選、かつて政治の世界に身を置いていた豊田真由子が、選挙と政治のリアルを徹底解説する。今回は後編。選挙中、当選後に実際に受けたいじめや脅迫、そして2017年週刊誌に報道され、世間からバッシングを受けた秘書への「このハゲ~」暴言騒動。「生きていることも、今も本当にしんどい」と赤裸々に語った。 ◇ ◇ ■松葉杖をついて早朝の駅に立った3か月 初対面でガン無視されたり、怒鳴られたり、その後もずっと悪評を立てられたり、駅で演説中に石を投げられて流血したり、2012年6月には、階段から突き落とされて骨折したりもしました。それでも、松葉杖をついて、3か月間毎日早朝の駅に立っていました。 でも、逃げ出そうとは全く思いませんでした。むしろ、こんなことに負けちゃいけない、これがまかり通るんだったら、この地域や日本が良くなるわけがない、変えなくちゃいけないと、奮い立ってしまった。政治というの
旧統一教会の名称変更について、文科審議官だった当時を振り返る前川喜平さん=神戸市中央区、神戸新聞社(撮影・吉田敦史) 安倍晋三元首相の銃撃事件から間もなく2カ月。現行犯逮捕された山上徹也容疑者(41)の供述をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家、特に自民党国会議員との関係に注目が集まる。2015年、文部科学省が旧統一教会の団体名改称を認めたことで、「教団の正体が隠れ、関係が疑われる政治家に逃げ口上を与えてしまった」と話すのは、元文部科学事務次官の前川喜平さん(67)だ。自身も当時、文科省ナンバー3の文科審議官の職にあった。あらためてこれまでの経緯や背景、そして問題点について、聞いてみた。(津谷治英)
自身への殺害予告について会見する泉房穂・明石市長=27日午前、明石市中崎1、明石市役所(撮影・長嶺麻子) 兵庫県明石市の泉房穂市長は27日、記者会見を開き、自身に対して危害を加える内容のメールが届いていたことを明らかにした。兵庫県警はすでに捜査を始めているといい、泉市長は刑事告訴も視野に対応する。 市によると、メールは26日早朝、近隣市に届き、県警を通じて同日夕に明石市へ連絡があった。 メールでは泉市長に対して「こいつが市長やってるとか兵庫の恥だぞ」と指摘し、辞職を要求。辞職しなかった場合は、安倍晋三元首相の銃撃事件と関連づけて「(容疑者の)山上徹也を参考にして自作銃を作った。こいつで頭や胸を何発も撃って殺す」と記していた。「8月末までに考えを決めてくれ。もし9月になっても辞職しなかったらその時は戦争だ」とあった。 27日午前11時に開いた会見で泉市長は「適正な捜査をお願いしたい」と述べた
全国の政令指定都市でつくる指定都市市長会は10日、政令市の権限を強化する「特別自治市」制度の法制化を目指す「多様な大都市制度実現プロジェクト」の最終報告を公表した。ただ、松井一郎大阪市長が異論を述べ、市長会としての提言案採択は先送りされた。 特別自治市は政令市が道府県の役割を担う制度で、同プロジェクト(札幌、新潟、大阪、堺の各市長は不参加)は昨年11月に発足。久元喜造神戸市長がリーダーを務め、今年5月に中間報告をまとめていた。 最終報告では、特別自治市に移行した場合の利点として、二重行政解消による市民サービスの向上▽近隣市町村との連携による圏域の活性化▽大都市の国際競争力強化による国全体の発展-などを挙げた。久元市長は「東京一極集中を是正する上で、大都市が力を付ける必要がある」とした。 一方、特別自治市の法制化を国などに求める提言案の採択を巡り、松井大阪市長が久元市長に対し、「神戸市は兵庫
男性用は青色、女性用が赤色って当たり前?-。兵庫県明石市が公園に整備するトイレについて外装の色を市民投票で決めたところ、「性的少数者への配慮が足りない」と指摘され、男性用を青、女性用を赤とした最多票の案を撤回した。最近は街中で、利用者の性を特定しなかったり、男女で色分けしなかったりするトイレを見かけるが、どんな「配慮」が求められるのだろうか。(小西隆久) 市民から最多の票を得た配色案が覆ったのは、同市大久保町松陰、石ケ谷公園にある「あそびの丘」に設置するトイレ。市は「利用者の声を反映させたい」として配色が異なる5種類のデザイン案を用意。7月17日から約2週間、公園に投票箱を置き、親子ら743人が投票した。 開票の結果、男性用が淡い青色、女性用が淡い赤色の案が最多の208票を獲得した。次点は8票差で、全体を落ち着いた茶系色で統一し、性別の色分けがない案だった。 明石市の担当課は最多の配色案を
兵庫県姫路市立城陽小の特別支援学級での体罰・暴言問題は、男性教諭による児童への言動を同僚の女性職員が3年前から記録し、再三にわたり管理職に伝えたが、校長らは過小に捉えて適切に対応せず、事実上放置してきた。 県教委によると、女性職員の記録などで確認した暴言や体罰は2018年度16件、19年度1件、20年度8件、21年度8件、年度不明1件-で計34件。ほかに、記録していない暴言も多数あるとみられる。 女性は18年度から上司に報告してきたが、当時の校長(定年退職)は口頭注意にとどめ、市教委に報告しなかった。今年4月にも2回伝えたが、現校長は「行き過ぎた指導だが報告するほどではない」と判断し、男性教諭を担当から外すなどの対応をとらなかったという。 県教委は「こうした事案を1件でも把握すれば、担任から外すべきだった」と指摘。校長について「管理職として不適切だ」とし、処分対象に加えた。
コロナ禍で賛否が渦巻く中、1年の延期を経て開催された東京五輪が閉幕した。東京五輪・パラリンピック組織委員会の40代職員が神戸新聞の取材に応じ、相次ぐ方針転換に翻弄された現場の様子や、組織内から見た開閉会式の評価、膨れあがった開催費などについて明らかにした。 -開閉会式の周囲の評判は。 組織委内でも特に閉会式はひどすぎると話になった。演出は残念だった。多くの人に忖度しすぎた結果、子ども、若者、高齢者、被災地、医療従事者などいろいろ盛り込んでいったように感じた。 開会式もドローンがなかったら厳しいものになっていた。しかし、ひとつ気になったのは、リハでは流れていた曲の歌詞をドローンで夜空に描き出す演出のようだったが、本番にはなぜかなかった。うまくいかなかったからやめたのか、失敗する可能性があったから安全策をとったのか。 -ネットでは担当者の相次ぐ辞任・解任を受け、大ヒットした「マツケンサンバ」待
1941(昭和16)年12月8日のハワイ・真珠湾攻撃で戦死認定された航空兵55人には、冷徹なまでの「死後の選別」があった--。79年前のきょう、太平洋戦争の戦端を開いた戦果を受け、攻撃に加わって亡くなった彼らに対し、軍部は異例の「2階級特進」を適用した。だが、この処遇から6人だけが除かれ、1階級の進級にとどまっていたことが分かった。敵前逃亡など、あからさまな咎(とが)があったわけではない。同じ作戦に基づいて、同じ戦闘に、同じ航空部隊から参加して命を落とした兵士に、なぜ明確な格差が生じたのか。(小川 晶) 神戸新聞社の神戸本社11階、文化部フロアの片隅に、年季の入った1台のコンピューターがある。1990年代のデスクトップパソコンのような、厚みのある外観。社内では「マイクロフィルム」の名で通る。過去の新聞記事が焼き付けられたフィルムを、コマ送りで見ることができる装置だ。 航空機事故を取材する新
「だから新聞社はダメなんだ」「ユーザー目線がない」…。1カ月ほど前に書いた「新聞社のネット記事って、英数字はなぜ全角?」への反響は、それは厳しいものだった。取材に応じた神戸新聞ネクスト編集部もさぞ傷ついているだろうと、近寄らないようにしていたのだが、先日、向こうから声を掛けてきた。「15日から半角にするわ」。な、なんやて?(黒川裕生) 前回記事(https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201903/0012161890.shtml)では、新聞社のネット記事で英数字の全角表記が多い理由について、電子版「神戸新聞NEXT」を担当するネクスト編集部に尋ねた。全角が主流になっている事情を説明する中で、「ユーザーから直接要望がこない」ことを理由の一つに挙げたくだりが良くなかったのかもしれない。「言われないからやってません、ということか」などと、ネットユーザーを刺激
ある有名婚活ブログについての記事を書き、2月上旬、神戸新聞の夕刊に掲載した。同時に電子版「神戸新聞NEXT」にアップしたところ、数多くあった反響の中に、記事の末尾で紹介したブログのアドレスが全角表記であることを面白がる書き込みが散見された。多くの新聞社が、自社サイトの記事で英数字を全角表記する傾向にあることは、ネット界隈ではよく知られた事実。例えば2014年には、朝日新聞がマララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞会見の全文を全角で掲載し、あまりの読みにくさで注目を集めるという「珍事」もあったほどだ。このご時世、なぜ新聞社は頑なに全角スタイルを崩さないのか。「ネクスト編集部」の担当者に理由を教えてもらった。(黒川裕生) まず大前提として、これは神戸新聞社のケースであり、他社はまた事情が異なるかもしれないことにはご留意いただきたい。 さて、私たち記者は基本的に、貸与されるノートパソコンの編集
職員「(立ち退き対象だった建物の)オーナーの所に行ってきた。概算で提示したが、金額が不満」 市長「そんなもん6年前から分かっていること。時間は戻らんけど、この間何をしとったん。遊んでたん。意味分からんけど」 職員「金額の提示はしていない」 市長「7年間、何しとってん。ふざけんな。何もしてへんやないか7年間。平成22(2010)年から何しとってん7年間。金の提示もせんと。楽な商売じゃお前ら。あほちゃうか」 職員「すいません」 市長「すまんですむか。立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい。燃やしてしまえ。ふざけんな。今から建物壊してこい。損害賠償を個人で負え。安全対策でしょうが。はよせーよ。誰や、現場の責任者は」 職員「担当はおります。課長が待機していますが」 市長「上は意識もしてなかったやろ。分かって放置したわけやないでしょ。任せとっただけでしょ。何考えて仕事しとんねん。ごめんです
政府がきのう「働き方改革」関連法案を閣議決定した。今国会での成立を目指している。 当初掲げた裁量労働制の対象拡大は削除した。安倍晋三首相は国会で「裁量制の労働時間は一般労働者より短い」と答弁したが、裏付けとなる統計資料に大量の錯誤が判明し、答弁自体を撤回したためだ。 一方、残業時間の上限設定は盛り込んだ。それでも「働かせ過ぎ」を招く懸念は拭えない。一部専門職の労働時間規制を外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の創設が含まれるからだ。 政府は「時間ではなく成果で評価される働き方」と説明する。対象は高年収の金融ディーラーなどに限定し、本人の同意や労使決議、健康確保措置を義務づける。しかし一度導入されれば、対象者がなし崩しに拡大する可能性は否めない。 法案では、残業時間に最長で月100時間未満、年720時間の上限を初めて設けた。事実上の青天井だった残業に歯止めをかける効果は期待できる。た
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