千葉大大学院融合科学研究科の山田豊和特任准教授(35)と独、仏の共同研究チームが、インクに使われている有機分子1個で世界最小の磁気センサーを作ることに成功した。磁気センサーはパソコンなどに記録された磁気情報の読み取りに使われており、国内で手に入らないレアアース(希土類)などを用いた従来のセンサーに代わるものとして期待される。 研究論文が21日付の英科学誌ネイチャーナノテクノロジー電子版に掲載された。使用された有機分子は「フタロシアニン」と呼ばれ、1個の大きさは1ナノメートル(100万分の1ミリ)。開発されたセンサーの大きさは従来の100分の1、感度は10倍で、パソコンの省エネ化や性能向上が図れるという。 山田特任准教授は「日本はレアアースなどの資源に乏しい。有機分子は炭素などから簡単に合成でき、材料費が安くすむ」と話している。【斎藤有香】