―皆さん。ここからリヒャルト・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」の序奏を脳内再生してください― パソコンもデジタル録音機材もなかった1960年代初頭。人類はすでにサンプリングキーボードの量産体制を整え、来るべき時代の準備をしていた。 そのキーボードの名をMellotron(メロトロン)と言う。 テーププレイバック式キーボードとも言われるその中身には、磁気テープと再生ヘッドが、まるでピアノのハンマーと弦のように並んでいた。キーボードを押すとテープが引き出され、再生が始まる。この楽器が奏でるのは磁気テープに入った音であり、磁気テープに録音できるものなら何でもキーボードで弾けた。 ザ・ビートルズの「ストリベリー・フィールズ・フォーエバー」、キング・クリムゾンの「エピタフ」、ローリング・ストーンズの「2000光年のかなたに」……。この楽器による名演、名曲は枚挙に暇がない。特に独特の陰影を
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