4630万円誤送金問題 町の実名公表、警察の逮捕、メディアの犯罪視報道の「異常」 「ケシカラン輩は処罰されるのが当然」では罪刑法定主義は成立しない 郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤って1世帯に振り込んだ問題は、2月23日のロシアのウクライナ侵攻以来、テレビのニュース、ワイドショーを埋め尽くしていたウクライナ関連の話題を凌ぐほど注目され、連日、報道され続けた。そして、常識的な法解釈からは犯罪が成立しないと思える「電子計算機使用詐欺罪」で誤振込口座名義人の町民が逮捕されるという異常事態まで引き起こした。 4300万円は返金されたが…… 4月15日、花田憲彦阿武町長が記者会見を開いて公金誤振込の事実を明らかにし、4月22日に、誤振込を受けた町民から返還を拒否されていることが公表された時点から、全国紙での