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ブックマーク / ieei.or.jp (123)

  • 放射線と放射性物質(その4) 被ばくを防ぐ

    放射線にはいくつか種類がある。太陽から地球に降り注ぐ紫外線や可視光線、赤外線も広い意味で放射線である。人体への影響が少ないので紫外線を別にしてこれらが問題になることは少ない。問題なのは以下に述べる4種類、高エネルギー電磁波であるガンマ線およびX線と、電子や中性子、アルファ線など高エネルギーの粒子線である。それら様々な放射線の遮蔽方法を図に示す。 1) 放射線の種類 (1) ガンマ線(γ線)、X線 エネルギーの高い(波長の短い)光線のこと。波長が極めて短く目に見えない。エネルギーが高いほど透過性が強い。電子の状態の遷移によって発生する電磁波がX線、原子核の状態の遷移によって発生するのがγ線である。 遮蔽には鉛や鉄、コンクリートを用いる。下記の(2)以降に示すベータ崩壊、アルファ崩壊および中性子線放出の結果、原子核が励起状態(興奮状態)になるが、そこから基底状態(沈静化)に移る(遷移という)と

    放射線と放射性物質(その4) 被ばくを防ぐ
  • 放射線と放射性物質(その5) 放射線の利用と被ばくの管理

    (前回の解説は、「放射線と放射性物質(その4) 被ばくを防ぐ」をご覧ください) 9.放射線・放射性物質の利用 私たちが健康で豊かな生活を送るために、いかに数多くの放射線技術が利用されているかについて簡単に紹介する。健康診断などでおなじみの胸部X線撮影など、主なものは以下の通りである。 わが国の品衛生法では、ジャガイモの発芽止めを目的とする照射以外の放射線利用は認められていない。海外では50ヵ国以上で香辛料やハーブなど他の品の殺菌消毒にも放射線照射が利用されているが、わが国ではそれらの照射済品の輸入も認められていない。 腸管出血性大腸菌O-157汚染で起きるユッケやレバ刺しなどの生による中毒問題も、放射線照射による殺菌で解決すると言われており、米国ではハンバーグの中毒事故をきっかけに米国肉協会の申請を受けてFDA(Food and Drug Administration=アメリ

    放射線と放射性物質(その5) 放射線の利用と被ばくの管理
  • 放射線と放射性物質(その6) 現代文明と放射線

    前回の解説は、「放射線と放射性物質(その5) 放射線の利用と被ばくの管理」をご覧ください) 12.放射線との私的関わり 成長期に1950~65年(昭和25年~40年)を過ごした世代は、内部被ばくでみると、福島県内の帰還困難区域や居住制限区域を除く浜通りおよび中通り、会津地方や国内の他の全ての地域の今の被ばく量よりも、以下に述べるように桁違いに大きい被ばくをしており、私もその世代である。 1) 大気圏内核実験と事からの内部被ばく ビキニ環礁での第五福竜丸の被ばく事件が記憶に生々しい小学生のころ、核実験による放射能汚染がマスメディアで話題になっていた。ストロンチウム90やセシウム137という単語が新聞に出て、今考えると単位と数字の関係が混乱しているが、どこそこに降った雨からウン百万マイクロマイクロキュリーの放射能が検出された、というような報道があった。意味はほとんど分からなかったが、なにか恐

    放射線と放射性物質(その6) 現代文明と放射線
  • NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    WEB上での論考などの情報発信を通じ、国内外の政策や国際枠組みについての意見集約や提言を行い、環境と経済を両立させた持続可能な社会のあり方を考えます。

    NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
  • 急低下した海外の太陽光発電システム価格

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2017年3月号からの転載) 2012年から始まった固定価格買い取り制度(FIT)により、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー市場が急拡大しました。15年度の太陽光発電の累積導入量は33GWに達する見込みです。しかし、日太陽光発電のコストは世界的にも高く、コスト低減が課題です。一方、海外では太陽光発電システムの価格が急速に低下しています。 急速な価格低下の理由は? 国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEAPVPS)の「太陽光発電応用動向報告書(Trends 2016 in Photovoltaic Applications )」(第21 報)によると、15 年の世界の太陽光発電システムの新規導入量は前年比26.5%増の約50.7GWでした。国別導入量をみると、トップは中国の15.15GWで、日10.8GW、米国7.3GWと続きます

    急低下した海外の太陽光発電システム価格
  • 再エネ賦課金の抑制は可能か?

    (「環境管理」からの転載:2017年5月号) 再生可能エネルギー賦課金の増大が止まらない。先日公表された平成29年度の賦課金も、前年度比約2割の上昇である。1か月の電力使用量が300kWhとした場合の負担額は年額9,504円にもなる。より深刻なのは産業への影響だ。企業の電気料金はなかなかオープンにされることはないが、莫大な賦課金に驚き、自身の勤める会社の工場における電気料金を教えて下さった方がいた。その方によれば、年1月分の電気料金約5,600万円、そのうち実に約1,600万円がFIT賦課金であったという。 わが国の再エネ賦課金はなぜここまで膨れ上がってしまったのであろうか。こうなることは他国の経験から明らかであったし、採るべき対策もわかっていた。しかしそれを制度設計に活かすことができなかったのである。筆者が危惧するのは、特にこの制度設計をここまでゆがめたことに対する政治の反省が全くない

    再エネ賦課金の抑制は可能か?
  • カーボンプライシング(炭素価格付け)とは?

    温暖化対策を進めるためには、温室効果ガスの排出量を削減することが必要になります。そのための施策としては、「規制」「環境税-炭素税」「排出量取引」があります。温室効果ガスのうち最大の排出量を占める二酸化炭素の削減にこれらの施策が用いられることがあります。二酸化炭素を削減するためには、化石燃料の消費量を抑制することが必要になります。例えば、ガソリンの販売数量を割り当てにすれば、二酸化炭素の排出量も削減できる「規制策」の導入になりますが、実質的に生産活動を規制する策は非常時以外自由主義国での実施は困難です。 現実的に実施可能な政策は、「炭素税」「排出量取引」になります。炭素税は二酸化炭素に課税することにより、二酸化炭素を排出する化石燃料の価格を人為的に上昇させ、消費量を削減する政策ですが、必需品である化石燃料の場合には弾性値(価格の上昇率と上昇による数量減少率の比です。例えば、価格が10%上昇し

    カーボンプライシング(炭素価格付け)とは?
  • 再エネの現場を歩く

    3月25日(土)9:30からBSフジで放送される「再エネの実像〜エネルギー自給率とパリ協定が問う日の未来」注1) という番組のナビゲーターをさせていただくこととなり、2月から3月にかけて国内の再生可能エネルギー事業の現場をいくつか訪ね歩いた。数十年前から継続している事業もあれば、FIT導入を機に立ち上がった事業もあるが、いずれにしてもFIT導入後の約4年半でわが国の再生可能エネルギーの風景が大きく変わったことは間違いない。FIT導入から4年半が経過したわが国の再生可能エネルギーを巡る現状と課題を整理したい。 <総論> わが国の再エネは順調に増加している。設備容量でいえばFIT導入後平成28年9月時点で、新たに運転を開始した設備は約3,223万kWとなり、制度開始前の累積設備容量の約1.6倍になっている。それまでの普及政策での増加率と比べれば、FITの「効果」は一目瞭然である。 では電源構

    再エネの現場を歩く
  • 私的京都議定書始末記(その38)

    初日のステートメント 今、私の目の前にAWG-KP初日行ったステートメントの原稿がある。ここにその全文を掲載したい。 Thank you, Mr.Chairman, We are tackling global warming issues. Global issues need global solution. We should recognize that we are not living in the year 1997. When the Kyoto Protocol was crafted in 1997, it was supposed to cover 56% of global CO2 emissions under obligation. However, due to the withdrawal of the US from the Kyoto Protocol

    私的京都議定書始末記(その38)
  • 東電を反社会的企業と決めつける、<br>働く人たちへの視点を欠く経営者

    東電を反社会的企業と決めつける、 働く人たちへの視点を欠く経営者 吉原 毅 著 「原発ゼロで日経済は再生する」 2014/05/20 山隆三 ブログ「エネルギーの常識を疑う」 城南信用金庫の吉原理事長(以下敬称略)の著書「原発ゼロで日経済は再生する」(角川ONEテーマ21)は原発ゼロを主張する新書だが、エネルギー、電力問題に関する基礎データの間違いが多くある。一例を上げれば「遠隔地の原発の電気を東京に送れば半分ロスになる」「日には黒いダイヤ石炭がある」「温暖化は疑わしい」との記述だ。エネルギー・温暖化問題の基礎知識がある方であれば、こういう主張はしないだろう。 吉原が誤解とも思える主張をする理由は、原発ゼロが可能と訴えるためだ。日には石炭があるから火力で代替できる。石炭火力から排出される二酸化炭素は問題ではないと主張することは、世界の多くの科学者から笑われるだろうが、それでもよい

    東電を反社会的企業と決めつける、<br>働く人たちへの視点を欠く経営者
  • ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(前編)

    東日大震災をきっかけとした東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島原子力発電所事故)は、海を超え欧州・ドイツのエネルギー政策に大きな影響を与えた。事故発生直後の2011年3月15日、ドイツのメルケル首相は、ドイツ国内にある、1980年以前に稼働を開始した7基と火災事故により2007年から停止していた1基の計8基の原子力発電所を3ヶ月間一時停止させることを発表したのである。 その後、同年8月には原子力法を改正し、一時停止措置を受けていた8基の原子力発電所の再稼働禁止、残り9基の原子力発電所についてそれぞれ、最長でも2022年とする停止年限を決定した。この素早い動きを高く評価する報道は日でも多く見られる。しかし、度重なる政府の方針変更に対して電力事業者からの複数の訴訟が提起されている。 前編ではドイツにおける原子力政策の変遷をたどり、後編で現在提起されている訴訟の内容について整理する。

    ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(前編)
  • 「転向者」との会話

    「転向」という言葉を辞書でひくと「それまでの方向・方針・職業・好みなどを変えること」「政治的・思想的立場を変えること。特に共産主義者・社会主義者が弾圧によってその思想を放棄すること」とある。我が国で「転向」という言葉は、何となくネガティブな語感を持つことが多いが、それはこの2番目の意味があるからだろう。 環境保護運動の世界でも「転向」は存在する。最も顕著な例は原子力に対する立場である。例えば環境NGOの代表的存在であるグリーンピースは反核運動に起源を発するせいか、その後、地球温暖化防止もアジェンダに含めるようになっても反原発というスローガンを貫いている。しかしグリーンピースの中にも、これまでの主張を変え、地球温暖化防止のためには原子力オプションが必要だと考えるに至る人々もいる。例えばグリーンピース創設メンバーの一人で、15年間も会長をつとめたパトリック・ムーアは、のちに団体と袂を分かち、別

    「転向者」との会話
  • 石油から見た第二次世界大戦

    終戦記念日特集ではないが、前回に続き、戦争とエネルギーについて。第一次世界大戦を契機に兵器の燃料転換が生じ、石油が日の軍事上、国家安全保障上の大きなアキレス腱になったのだが、第二次世界大戦で同盟関係にあり、同じく石油資源を持たざる国であったドイツの状況はどうだったであろうか。 ドイツがとったオプションは人造石油であった。1923年にはカイザー・ヴィルヘルム研究所のフランツ・フィッシャーとハンス・トロプシュによるフィッシャー・トロプシュ法(FT法)と呼ばれる石炭液化技術が発明されている。高コストで、平時にはペイしない技術であったが、ヒトラーが1933年に政権の座につくと、戦争準備の一環として、採算を度外視してFT法に基づく人造石油生産を手厚く保護した。もともとドイツは潤沢な石炭資源を有し、化学において優れた実績を有している。人造石油の生産を担ったのは当時最大の化学メーカーであったIGファル

    石油から見た第二次世界大戦
  • NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    今回の震災が残した教訓を踏まえて電力システムの改革を行っていくことは重要であるが、エネルギー・電力は国の安全保障の根幹であることを忘れてはならない。今回の震災の結果、国の原子力政策は大きく揺らいでいる。日の原子力政策はいわゆる「国策民営」で進められてきたが、実際には事故賠償などについて国の法的な責任が明確ではないことが今回明らかになった。今後の原子力の進め方について、官民のリスクや責任分担について一定の方向性を出すことなしに、電力供給システム改革の議論を進めても意味はない。その点、現在の政府における議論の進め方は原子力とその他の問題が一括して扱われておらず、問題の検討体制として不十分かつ不適切ではないかと思料する。 当研究会では、電力システム改革を議論するにあたって、押さえるべきポイントを今後何回かに分けて整理してみたい。(電力改革研究会)

    NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
  • 世界と日本の人口問題:食料とエネルギーの需給の問題に関連して(その1)

    化石燃料が使える当分の間、料の供給が世界の人口を制約することはなさそうである 人類が農耕を始めてから産業革命以前までの世界人口は生存に必要な料の供給に左右される自然淘汰の原則で制御されていたのではないかと想像される。生存のために必要な料は、主として農作物として与えられたが、凶作時に備える貯蓄量は十分でなかったであろうから料供給が人口を制御する大きな因子にはなっていたと考えられる。 産業革命以降の人口の急増は、衛生状態の改善で、疫病による大量死の減少などに起因したと考えられる。一方で、産業革命の地、西欧で増え続けた人口をべさせるための農地面積の拡大は、植民地の拡大と新大陸(アメリカ)への移民政策で賄われた。料としての農作物は、三圃農業による生産方式を化学肥料に依存する方式に変換することで、生産性の増加が図られたが、増え続ける人口を賄うための料の供給が、19世紀末の西欧の最大の関

    世界と日本の人口問題:食料とエネルギーの需給の問題に関連して(その1)
  • 余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度

    地球温暖化対策として政治の要請により進められるようになった FIT 制度 この(2012年)7月から実施されるようになった再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度(以下、FIT制度と略記)を、最近、小野は、厳しく批判している(文献1)。ドイツスペインを真似てつくられたこの制度による再生可能エネルギーとしての電力の生産では、電力の生産が事業として成立するように決められる電力会社による買取価格が、現状の市販電力料金を押し上げることになり、国内の産業や国民生活に長期間にわたり経済的に大きな負担を背負わせることになるとして、できるだけ早期に、「抜的な制度改正」または「制度の廃止」を検討すべきであると訴えている。 このFIT 制度は、民主党が政権獲得のためのマニフェストに掲げた地球温暖化対策としての温室効果ガス(CO2)の排出削減のためにその法案化を図ろうとしてきた「地球温暖化対策基法案

    余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度
  • 再エネ全量固定価格買取制度の 回避可能費用をめぐる迷走

    (「WEDGE Infinity」からの転載) 2011年、当時の菅首相が「自然エネルギーを国として全力を挙げて支援していく上で、大きな役割を期待したい」注1)と強く主張、第177国会において、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」は成立した。再生可能エネルギー全量固定価格買取制度がスタートして2年余りが経過し、認定済みの再エネ設備6900万kWが全て運転開始した時の賦課金が年間約1.9兆円、買取期間全体を考えれば約38兆円にもなるとの指摘がなされる注2)など、国民負担の大きさなどが徐々に話題となってきている。電力問題について精力的な発言を続ける自民党の河野太郎議員は、このテーマについても様々な発信を行っておられるが、どうもその論旨がすっきりしない。 この制度については経済産業省が既に見直しを行い、おおむね議員の主張した方向となっている。その意味で、この問題は決

    再エネ全量固定価格買取制度の 回避可能費用をめぐる迷走
  • 再生可能エネルギーの普及策 抜本見直しを(前編)

    (会議所ニュース2014年10月21日号からの転載) 再生可能エネルギーの普及のために導入された全量固定価格買取制度(FIT)が導入からわずか2年で行き詰まっている。再エネ普及策の抜見直しに向けた課題と見通しなどについて、今号と次号(11月1日号)の2回にわたり、紹介する。 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(以下、FIT)を評して、スティーブン・スピルバーグ監督の映画に登場する怪獣「グレムリン」と表現された方がいる。最初はかわいらしい風貌をした珍獣であるが、人の家庭に入り込み、飼育方法の禁が破られたことで一気に凶暴な怪獣になる様を、最初は軽微な賦課金があっという間に膨張し国民経済に大きな影響を与える様に例えた表現である。なるほどイメージが伝わりやすいと感心したが、感心している場合ではなく、このイメージそのままに制度導入からわずか2年で、これまでに認定を受けた発電設備が全て運転開始

    再生可能エネルギーの普及策 抜本見直しを(前編)
  • 1%イコール1兆円

    数値目標を1%上積みするごとに、年間1兆円の費用がかかる。これは1トンCO2あたり10万円かかることを意味する。数値目標の当のコストは途方もなく大きいので、安易な深掘りは禁物である。 2015年のCOPに向けて、日は「約束草案」の提出を求められている。そこでは2025年ないし2030年のCO2の数値目標をどうするかということが焦点になっている(なお前回では数値目標と呼ばず参考数値とすべきだといったが、今のところ数値目標と呼ぶならわしなので、そうしておく)。 数値目標を決めるには、その費用を知りたい。これまでも、積み上げ計算やエネルギー経済モデル計算がなされた。もちろん、これらの試算は有用である。 しかしながら、重大な誤りもあった。何れの試算も、「政府は合理的で、コストが安い順に対策をする」と想定してきた。だがこれは全く違った。 政府の失敗 現実の政府は、わざわざ高コストの政策を選択する

    1%イコール1兆円
  • 混迷するエネルギー政策のなかで<br>安全な原発「高温ガス炉」が用いられる時代がくる?

    安全な原発として「高温ガス炉(HTGR)」を、国がその開発研究を支援し、2030年の実用化を目指すとしている(産経新聞、H24/8/26)。果たして、この安全な原発の実用化が可能となるであろうか? 現在、実用化されている軽水炉型の原発は、化石燃料枯渇後の夢のエネルギーとされてきたが、原子力エネルギーを電力にしか変換、利用できない。確かに、電力は、現代文明生活を支えるエネルギーの逓伝体として極めて重要な役割を担っており、今後も、その利用の拡大が期待されている。実は、いま、地球資源としての化石燃料消費の換算量で表される一次エネルギー消費量(通常石油換算量で表される)のなかの電力の比率、電力化率は、世界では約40 %、日では約50 %(筆者による2011年の値、最終エネルギー基準での値は、世界で19.8 %、日で25.7 % (文献1 参照))である。 この一次エネルギー換算の電力化率の値は

    混迷するエネルギー政策のなかで<br>安全な原発「高温ガス炉」が用いられる時代がくる?