土地総合研究 2017年春号 98 土地所有権の放棄は可能か� � � � 早稲田大学大学院法務研究科教授� � 吉田� 克己� よしだ� かつみ� � � Ⅰ� 問題の所在� 1� 土地所有権の放棄が問題になる文脈� 土地所有権の放棄は可能であろうか。�� 年前で あれば問題があるとはほとんど認識すらされてい なかったこの論点が、近年では、重要な論点とし て多くの関心を集めるに至っている。� その背景には、土地の負財化がある。財の中に は、物に内在する危険性あるいはその維持管理や 処理に必要なコストのゆえに、財産的価値を喪失 しているものがある。 私は、 かつてこれを 「負財」 と呼ぶことを提案した(�) 。 とりわけ地方部に存在 する土地には、過疎化現象そして急速な人口減少 現象に伴って、 負財化しているものが少なくない。 利用価値もなく、 売ろうとしても買い手がつかず、 それにもかか