タイトルを見て何かと思われたでしょうが、新田一郎『日本の歴史11 太平記の時代』(講談社学術文庫、2009年)の話です。 本書の中で「中世の人々がなぜ領主に毎年年貢を支払ったのか、その理由は本当のところ判っていない。」という一文があるのに思わず笑ってしまったわけです。 本書では一応有力な解釈として、領主が農業再生産の条件を整える見返りとして農民が年貢を納めるという契約的な関係として発生し、それが慣習として制度化していったという説を紹介してますが、どうにも煮え切らないものを感じます。年貢を払わなかったら怖い人たちが押しかけてきてボコボコにされるからという理由じゃダメなんでしょうか(^^;) そして後文でも、ヨーロッパ中世の封建諸侯が年貢の確保のためにエラい苦労をしたのに対し、日本の荘園領主が所領から遠く離れた畿内に暮らし、かつ自前の組織的な軍事力を持っていないにも関わらず、遠隔地の所領からち