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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (116)

  • 中国思想における「絶対悪」と米中対立 - 梶ピエールのブログ

    vimeo.com 四連休の間、少し思うところがあって、4年前に講談社学術文庫に収録されたフランソワ・ジュリアンの『道徳を基礎づける』について、同書の訳者で、中国思想史の専門家である中島隆博と批評家の東浩紀が語り合ったゲンロンカフェのイベント映像(「カントと孟子が語り合うーー『道徳を基礎づける』講談社学術文庫版刊行記念トークイベント」)を視聴した(公開時には見逃していた)。 そして、その内容は現在のいわゆる「中国問題」を考える上でも示唆に富んでいると思ったので、そこで語られたことをベースに自分なりの考えをまとめてみたい。 bookclub.kodansha.co.jp 論じられた内容は多岐に上るが、個人的に現代の中国問題を考える上でとても重要だと感じたのが、後半部分で東によって提起された、中国思想における「超越性」と、そこで提起される「悪」の問題である。そこでの問題提起を僕なりに理解するな

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    nagaichi
    nagaichi 2021/07/27
    王朝交代(易姓革命)を思想化したのが孟子だと考えると、趣深い。
  • 理性としての「反緊縮」 - 梶ピエールのブログ

    黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層 作者: ヤニスバルファキス,朴勝俊,山崎一郎,加志村拓,青木嵩,長谷川羽衣子,松尾匡出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2019/04/19メディア: 単行この商品を含むブログを見る 果たして、どれだけの日人が、2015年1月から7月までの間に、ギリシャで起こったことを記憶しているだろうか。このとき、ギリシャではチプラス左派政権が成立し、トロイカ―欧州委員会、ヨーロッパ中央銀行、IMF―が政府に要求する緊縮的な「救済策」の受け入れを拒否する姿勢を鮮明にした。さらには7月には国民投票によってトロイカ案の受け入れが否決されたことで、事態は国際的なニュースとなり、その是非をめぐって活発な議論が繰り広げられた。 その「ギリシャの春」のキーパーソンが、チプラス政権の財務大臣を務めたヤニ

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  • 中国版「一匹と九十九匹と」−安田峰俊『八九六四』を論ず - 梶ピエールのブログ

    八九六四 「天安門事件」は再び起きるか [ 安田 峰俊 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 歴史 > 世界史ショップ: 楽天ブックス価格: 1,836円 いっけなーい🔪殺意殺意💦私、中国ライター!天安門事件のルポを書いたの✨でもある日、海外中国語媒体が「安田氏は書の中国語版出版を希望」とかヨタ話を報じてもう大変💦中華圏各社が裏取りせず転載しまくるのもマジやめろ💣💥次回!「かくごしろ。それなら習近平体制を礼賛してやる」お楽しみに💕— 安田峰俊|『八九六四』増刷御礼|日首家80后亲党亲华共产主义战士,日杰出红色青年作家🇨🇳 (@YSD0118) 2018年6月18日 現在活躍する中国もののライターの中でも最も文才豊かな一人として知られる安田峰俊は、これまで硬軟取り混ぜ様々な仕事を手掛けているが、中でも角川書店からは『和僑』『境界の人』とかな

  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    6月22日付のシンガポールの華字新聞『聯合早報』に、「米中貿易摩擦の背景」と題する論評を寄稿しました。 https://www.zaobao.com.sg/forum/views/opinion/story20180622-869237 ただ、これは中国語の会員限定の記事なので、以下に元の日語の原稿を公開します。 - 2018年3月22日、トランプ米大統領は中国の政府・企業による知的財産権の侵害により米企業に損害が出ているとして、米通商法301条に基づき、中国製品を対象に最大600億ドル相当の輸入品に25%の追加関税を課すと宣言した。また、米国政府は、それに先立ち通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムの輸入制限にも踏み切っている。事態の早期解決を図るため両国間では貿易協議が頻繁に行われ、6月2〜3日に北京で行われた第3回の貿易協議では、中国側は米国から農産物やエネルギーの輸入を年間

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  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ

    実質GDPが過大評価されるということはどういうことか (承前)さて、書の59ページ図表9では、中国経済の公式統計が様々な「疑惑」を抱えていることをもって、「中国の実質GDP成長率が1985年以降の30年間、毎年3%水増しされている」という「控えめな」仮定をおいたとしても、実際のGDPは公式統計の3分の1であり、日を下回ってGDPは世界第3位になる、と述べている。言うまでもなく、この主張は書のタイトルの根拠にもなっている。ただ悪いけど、これは典型的な「ダメな議論」だと思う。 「中国のGDP統計に怪しいところがある」というのは事実だし、「年によっては実質成長率が数%過大に評価されている」ことも十分あり得る話だ。だからといってそこから「30年もの長期にわたって3%過小評価され続けている」という結論は、どうやったって出てこない。 そもそも、「実質GDP成長率の水増しが少しずつ重なって、最終的

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  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(上) - 梶ピエールのブログ

    先日、中国共産党の第19回党大会が開かれ、その後の一中全会で新たな政治局常務委員の顔ぶれが発表されたが、それとはあまり関係なく、このところ、「中国崩壊論」がらみの記事で2回ほど取材を受ける機会があった。野嶋剛氏によるNewsPickの記事「中国経済崩壊論の問題点」(有料記事)および、高口康太氏によるNewsWeekの記事「中国崩壊の崩壊カウントダウン」である。 ただ、私は狭義の「中国崩壊」すなわち、何らかのリスクが顕在することによって近いうちに共産党政権が倒れることを予言する書籍にはあまり関心を持っていない。むしろ最近注目してきたのは、より新しいタイプの、GDPの水増しが深刻なレベルであり、実際のGDPは公式統計の3分の1程度である、といった主張を展開する、いわば「中国経済成長まぼろし」ともいうべき一連の著作である。私がこれらの著作に関心を持つのは、いわば自分の守備範囲内なので、より

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  • 「私には敵はいない」と語った劉暁波は、「私利私欲」を捨てた人だったのか、それとも「私利私欲」を貫いた人だったのか - 梶ピエールのブログ

    今年7月に劉暁波が多臓器不全で亡くなった後は、日でも数多くの追悼文や、中国共産党を非難する文章が書かれた。一方で、劉の死については、SNS上も含め、それについて積極的に語ろうとする者と決して語らない者がはっきりと別れるという意味では、中国に関心を持つものにとってもある種の「分断」をもたらすものだった。私は、劉暁波の問題について、そのような「分断」を含め、表立っては語られることがない、いわば「隠された」問題の方が実は重要である、という漠然とした思いを抱いていた。ただ、どのようにしてその問題について語ればよいのか、言葉を探しあぐねてきた。 そんな中、たまたま目にした『週刊読書人』に掲載された「劉暁波の死をきっかけに」と題された羽根次郎氏の一文は、上に述べたような「隠れた問題」を明るみに出すという点では格好のテキストだった。発表後、それほど話題になっているとは言えないテキストだが、あえてここで

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  • 共和主義ってなんだ?―稲葉振一郎『政治の理論』について− - 梶ピエールのブログ

    先週、京都でこの読書会があり、著者ご人も参加されるというので参加してきました。その後、このに関する考えや疑問点が徐々にまとまって来たので、ブログ記事の形で公表したいと思います。主催者並びに質問に誠実に答えていただいた稲葉氏に感謝します。 政治の理論 (中公叢書) 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/01/17メディア: 単行この商品を含むブログ (16件) を見る ・・考えてみれば「共和主義」とは不思議な概念である。リベラリズムや「自由」に関するはたくさん出ているが、「共和主義」に関する書籍は専門書以外ではほとんどお目にかかることはない。「民主主義ってなんだ」、「立憲主義を守れ」という掛け声がデモで叫ばれることはあっても、「共和主義ってなんだ」という掛け声を私たち耳にすることはない。後で見るように、キャス・サンスティーンのような現代的な共和主義

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  • 岡本隆司『中国の誕生』 - 梶ピエールのブログ

    中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成― 作者: 岡隆司出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2017/01/06メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る 沖縄(琉球)の問題とチベットの問題は実はつながっている!このご時世に不用意にこんなことを言おうものなら、ただちにネトウヨ認定されてしまうかもしれない。確かにグーグルで「沖縄」+「チベット」で検索すると、「米軍基地の問題で沖縄に自己決定権なんて認めたら、チベットみたいに中国に侵略されてしまう!」などといったネトウヨの主張がわんさかとヒットしてくる。しかし、もちろんここではそんな主張がしたいわけではない。 既に近代中国外交史、経済史の分野で数多くの著作を著してきた岡隆司の近著『中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成―』は、近代中国が周辺部との関係を変化させていく中で、その「境界」を確定し、認識していく過程を中

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  • 文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ

    今年は文革50周年ということもあって、文革をテーマにしたシンポジウムや雑誌の特集、書籍など、地味ではあるが様々な再検証の試みが行われてきた。その中でも、12月23日にNHKBSで放送されたドキュメンタリー「文化大革命50年 知られざる“負の連鎖”〜語り始めた在米中国人」は画期的な内容だった。番組のベースになっているのは、徐友漁らアメリカ在住の「文革世代」のリベラル派知識人の証言と、スタンフォード大のアンドリュー・ウォルダー教授による、中国の地方誌に記された情報を丹念にデータベース化する中で得られた研究成果である。近年の文革研究は、明らかにアメリカを中心に進められてきた。彼ら在米の研究者たちによって、従来の常識を覆す新事実が次々に明らかにされてきたからである。日でも、ウォルダー教授の研究チームに加わっていた神戸大学の谷川真一氏らが近年精力的に研究成果を発表しており、その内容は研究者の間では

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  • 交錯する「山寨のメッカ」と「メイカーの天国」 - 梶ピエールのブログ

    先月下旬(10月22日から25日にかけて)、僕は深圳で行われたメイカー・フェア、それに合わせて行われた著名なメイカー、およびIT企業やベンチャーキャピタルの関係者によるトークショー、HAXのオープンセミナー、および半日しか参加できなかったがニコ技観察会でのNROBOTおよびSeeedなどの企業訪問に参加してきた。詳細な観察記は他の参加者の方に任せるとして、ここでは深センの電子産業の一大集積地と、メイカーズのスタートアップを支援する街という二つの顔を持つ深セン華強北のユニークさについて、改めて考えてみたい。 さて、このブログの読者であればご存知のように、僕は実際にモノづくりを行っているわけではなく、中国経済のどちらかというとマクロの財政や金融についてみてきた研究者だが、数年前から「山寨携帯」の生産のメッカとしての華強北には関心を持っていた。そこには「中国式イノベーション」の可能性を示すような

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  • 中国の経済統計は本当にデタラメなのか?(下) - 梶ピエールのブログ

    承前。 4.サービス部門の推計 すでに述べたように、中国の統計制度が国際水準にのっとったSNA体系に移行する過程で、最大の懸案はサービス部門の統計をどのように整備するか、という問題であった。その後サービス部門の付加価値額の統計に関してはセンサス調査などを通じてたびたび改訂が重ねられてきた。中でも最大の修正が行われたのが2004年に実施された第1次経済センサスであり、2004年の第三次産業の付加価値はセンサスの実施後48.7%上方に修正され、GDPの名目値は16.8%上方に修正された。その後、2008年の第2次経済センサス、2013年の第3次経済センサスでもGDPの値はそれぞれ4.4%、3.4%上方に修正された。 また、サービス部門の統計をめぐっては現在でも議論が続けられている。評価が分かれるのは、サービス部門では付加価値額を生産面から直接把握するのがが難しいため、収入の側から、すなわちサー

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  • Voice12月号のケント・ギルバート氏の論説について - 梶ピエールのブログ

    2月10日発売の『Voice』3月号の「中国経済をどう見るのか」という特集に、他の識者とともに中国経済の見通しについての短い一文を寄稿しました。中国経済はデフレからの脱却を図るべきだが、為替制度がその足かせになっている、というこれまで繰り返してきた論点を述べています。他の方々がそろって国有企業改革などの供給側の要因を重視されているのに対し、私一人だけ金融政策と需要サイドの問題点を強調して「浮いている」感がありますが、日の失われた20年の経験を考えればデフレ状態のまま供給サイドの改革を急激に進めることのリスクは明らかだと思います。 さて、上記の一文を寄稿した後に気が付いたのですが(IRONNAに転載されていたためエゴサーチで引っかかった)、同じ『Voice』の12月号にケント・ギルバート氏が寄稿した一文の冒頭に、私が全く言ったり書いたりしていない内容のことをあたかも私の主張であるかのように

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    nagaichi
    nagaichi 2016/02/12
  • 人民元の切り下げをどうみるか。 - 梶ピエールのブログ

    さて、ここにきて世界の関心を集めているこの件について。 「人民元、連日の切り下げ 習政権の政策転換鮮明に」日経新聞8月12日付より。 中国人民銀行(中央銀行)は12日、対ドルの為替レートの目安となる基準値を前日より1.6%引き下げた。2%近く下げた11日に続く措置で、人民元相場は一時、約4年ぶりの安値水準をつけた。一定の範囲内で緩やかな元高の方向へ動く管理変動制を2005年7月に採用してから、ここまで急激な元安誘導は初めてだ。 12日はアジア株が全面安となったほか、欧州でドイツのDAX指数が約3%下落し、米国ではダウ工業株30種平均が一時300ドル近く下げた。 今の世界の市場心理を象徴する銘柄が、12日の東京株式市場にある。JFEホールディングスだ。株価の下落率は日経平均株価(1.6%)を大きく上回る7%に達し、年初来安値を更新した。同社は「中国関連株」だ。鋼材の大消費国である中国の景気減

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  • 青木昌彦氏と日中経済の比較分析 - 梶ピエールのブログ

    遅ればせながら、ご冥福をお祈りいたします。 『日経新聞』2015年7月17日の記事より 【シリコンバレー=兼松雄一郎】米スタンフォード大学名誉教授で国際的な経済学者の青木昌彦(あおき・まさひこ)氏が15日、米カリフォルニア州パロアルトの病院で死去した。大学関係者が明らかにした。77歳だった。ゲーム理論を土台にした日経済の比較制度分析で国際的な評価を受けた。年功序列や企業系列など日独特の経済システムに対する海外での理解が進むきっかけを作り、日人初のノーベル経済学賞の有力候補とされていた。 青木氏とは直接お会いしたことはないのですが、昨年の5月頃、拙著『日中国「脱近代」の誘惑』の元になったウェブ連載を読んだ(與那覇潤さんが拙稿を紹介して下さったようです)、とメールをお送り頂いたことがありました。ちょうど、台湾のひまわり学生運動について論じた回で(拙著第4章)、60年代安保の学生運動と

  • 中国の成長率とTFPの予測について(前編) - 梶ピエールのブログ

    少し前のことだが、津上俊哉さんが、丸川さんと僕の共著『超大国中国のゆくえ4:経済大国化の軋みとインパクト』(東京大学出版会)の、序章についてブログで批判を書かれている。 http://www.tsugami-workshop.jp/blog/index.php?categ=1&year=2015&month=5&id=1430811575 http://www.tsugami-workshop.jp/blog/index.php?categ=1&year=2015&month=5&id=1430811076 http://www.tsugami-workshop.jp/blog/index.php?categ=1&year=2015&month=5&id=1430810602 http://www.tsugami-workshop.jp/blog/index.php?categ=1&yea

    中国の成長率とTFPの予測について(前編) - 梶ピエールのブログ
  • 中国の成長率とTFPの予測について(後編) - 梶ピエールのブログ

    承前。 過剰投資のリバランスとその処方箋―清算主義かリフレか― 先ほど、「生産性の低い方から高い方へ生産要素を移動させることでTFPの上昇は十分見込める」と述べた。とはいっても、労働力の移動によってそれが実現できる今後は労働ではなく資による調整が必要になってくるだろう。しかし資は労働とは異なり生産性の低いところの資を高いところに持ってきて使う、という訳にはいかない。せいぜい生産性の低いところに行われている投資を減らして、当に必要な投資に資金が回るようにする、といったことしかできない。これが津上さんの著作でも強調されていた「過剰投資からのリバランス」である。 このことは、当然のことながら経済全体の投資が適正な水準まで抑制されることを必要とする。その際どの程度まで抑制するのが「適正」なのか、という点が問題だが、前述の三浦有史氏のレポートにあるように、日その他の「中所得国の罠」を抜け出

    中国の成長率とTFPの予測について(後編) - 梶ピエールのブログ
  • 再論・フローの格差とストックの格差 - 梶ピエールのブログ

    十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争 作者: 峯村健司出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/02/26メディア: 単行この商品を含むブログ (11件) を見る 習近平政権に関しては誕生した時、日ではその権力基盤はそれほど強くないのではないか、あるいは政権が10年もつのかどうか疑問、という見解が結構見られたのに対し、アメリカの政府関係者や専門家の間では、その権力基盤の強固さを指摘する声がほとんどで、日米の間でその見方がかなり分かれていたようです。 今となっては、「習近平=弱い指導者」説は全くの誤りだったことは誰の目にも明らかになりました。アジアインフラ投資銀行に代表されるこのところの中国の国際的な舞台での発言力の強化、およびそこで習近平が示している明確なリーダーシップを見ても、習近平政権が国内において非常に強い求心力を得ていることが対外的な発言力の強さにつながってい

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  • 台湾のひまわり運動と柄谷行人の「無節操」、あるいは実体化される「アジア」 - 梶ピエールのブログ

    もう1か月前に出た出版物に関するものですが、ブログ「路上の人」の連載に書いたこととも関連するので、とりあえず公開しておきます。 社会運動2014.11 No.415 作者: 柄谷行人、津島佑子、小熊英二、青木理,-出版社/メーカー: インスクリプト発売日: 2014/11/17メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る タイトル通り市民運動関連の原稿を集めたムック『社会運動』最新号で、「新しい対抗運動の可能性」と題した台湾のひまわり学生運動(学運)の特集が組まれている。特集は、今年の夏にひまわり学運―「ひまわり革命」という用語は感心しない―を支持してきた台湾の知識人二人を迎えて行われたシンポジウムの抄録と、丸川哲史による論考からなっている。ちなみに、シンポジウムの参加者である港千尋は、学生達による立法院選挙に関する豊富な写真をあしらったルポルタージュ『革命のつくりかた』の著者

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  • 戸籍改革における「噛み合わせ」の重要性 - 梶ピエールのブログ

    NHKBSドキュメンタリーWAVEの番組「1億人が漂流する〜中国・都市大改造の波紋〜」の再放送をビデオでみた。 先日四川省の農村と地方都市の都市化に着いて調査をしてきたところなので、非常に興味深かった。番組では河南省鄭州市における農民工に居住証を与える代わりにスラムから追い出して再開発を行うという改革を扱っていた。農民工にとっては、居住証を手に入れることは社会保障や教育などの権利を手にする一歩になるが、同時に保険料の負担も大きくなるのであえて居住証を取らない者も多い、という状況を番組は描いていた。 番組を見ながら、僕はこれは農民工の送り出しを行う地域と、受け入れを行う地域の改革が噛み合わないために生じている現象だな、と思った。どういうことか。農民と都市住民の間の社会保障や住宅に関する差別をなくすための戸籍改革は、四川省の農村のような農民工の送り出し地域でも同様に行われている。そして農民工に

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