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ブックマーク / researchmap.jp (12)

  • ロシア史研究者のダブル・スタンダード

    開戦以来ロシア軍はずっとウクライナの破壊を続けている。そのことを鑑みると、ロシアにとってウクライナ、とくにキエフは故地であり、それを失うことはナショナル・アイデンティティにとって考え難いことなのである、というこれまで自分を含むロシア史研究者がしばしば行なってきた説明が当に正しいのかどうか疑わしくなってくる。ロシア政府もロシア軍も、およそウクライナの土地を、その歴史的建築物も含めて、尊重しているようには見えないのである。ただひたすら破壊と殺戮を行なっている。ナショナル・アイデンティティ上大事な土地だから手放したくないということではなく、ただ単にあそこは自分の勢力圏であると決めつけて、勢力圏である以上自分たちが支配するのだという考えのもとに侵略行為を繰り広げているだけなのではないだろうか。支配欲、権力欲を満たすということだけが、それ自体として目的なのである。 このことはさらに、ロシア史研究者

  • 2023年オランダ総選挙について

    2023年11月22日にオランダで総選挙が実施された。7月7日に第4次リュテ政権が崩壊し、早期の解散総選挙となった。このブログを書いている時点で開票は終了していない。結果はオランダ放送協会の以下のサイトで閲覧できる。 https://app.nos.nl/nieuws/tk2023/ この総選挙で着目すべき点は以下の5点である。 1.13年続いたリュテ政権の終焉 2.新党の成立と浮動票の増加 3.凋落傾向にあった左派政党が合併し、持ち直したこと 4.右翼ポピュリスト政党PVVが最大政党となったこと 5.政党間関係のドラスティックな転換が予想されること 詳細は以下の通り。 1.リュテ政権 ~解散総選挙の背景 マルク・リュテは2010年から13年間4次にわたり首相を務めてきた、自由民主人民党(VVD)の首相である。今回の政権崩壊をうけて、政界引退を表明している。 リュテは政党間の調整に長けてお

  • ロシアのウクライナ侵攻と今後のロシア史研究について

    2022年2月24日にロシアウクライナ戦争が始まって1週間がたった。暗い気持ちで毎日を送っているのだが、それはひとつには戦争の情景を見ることによるものであり、ひとつには私の知っているロシアが崩れていくことによるものであり、ひとつには研究の展望がどうなるのか分からないことによる。戦争の情景を見るのが辛いことについては、どうしようもない。ウクライナ以外にも戦争はあったという指摘もあるが、自分はロシアウクライナに関心が深いのだから、とくに辛いのである。現地の人が悲惨であることはいうまでもない。その上で、自分の感慨として、ここに思ったことを書いておきたい。 私の知っているロシアが崩れていくこと。ロシアはもう30年以上関心がある世界である。最初はソ連に関心があったのだが、90年代半ばに現地を徐々に知るようになってから、ロシアへの関心が大きくなっていった。いつもロシアのことを考えているので、それが

  • 『漢文法基礎』存疑 - researchmap

    序 加地伸行氏の著『漢文法基礎:当にわかる漢文入門』(以下「書」)は、当初二畳庵主人の筆名で受験指導大手Z会の機関誌に連載され、1977年に増進会出版社から単行された『漢文法基礎』に基づいて、2010年10月に講談社学術文庫の一冊として復刊された漢文の指南書である。稿は、私の手元にある(2012年4月第10刷)に基づいて記述している。 私は教師業を始めた2012年ころに、学生に推奨できる手ごろな指南書を探すなかで、多くの大学の漢文講読の授業のシラバスに参考図書として挙げられているのを見て、書を入手して読みはじめたが、その内容に疑問を覚えるところがあった。以来、私は自信をもって学生に書を推奨することができなかったが、2021年現在、書はやはり多くの大学のシラバスに参考図書として挙げられている。 そのような状況からして、私が推奨せずとも、学生が書を読んで知識を得ている可能性があ

  • 東大情報学環大澤昇平氏の差別発言について - researchmap

    東京大学大学院情報学環特任准教授の大澤昇平氏(@Ohsaworks)が、11月20日にtwitter上で行った差別発言について書きます。この件については、11月24日に情報学環長名ですでに以下のような文書が出されています。 しかし残念ながら、上記の文書からは誰がどのような言動を行い、それがなぜ問題なのかということがわかりません。筆者(明戸)は現在同じ大学、同じ部局の特任助教であり(ただしプロジェクト雇用なので部局そのものの運営等には関わっていません)、また差別やヘイトスピーチにかかわる研究者でもあります。こうしたことをふまえて、ここでは明戸個人の立場から、今回の経緯および論点を整理し、自身の立場を明らかにしておこうと思います。

  • 最後の更新?『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブと著作権問題 - researchmap

    このたび『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブの更新を行いました。2013年2月以来、約3年ぶりの更新となります。 今回の更新で、デジタルアーカイブの規模は7万ページを越えました。ページ数という規模だけを見るなら、これは取り立てて大きなデジタルアーカイブとは言えません。むしろ規模ではなく学術的な価値を優先させ、価値の高いだけを選書して丁寧に撮影した「厳選型」である点に最大の特徴があります。最初のバージョンを公開したのは2004年でしたが、それ以来約12年の間にページ数も約12倍に増えました。以下のページにこれまでの経緯をまとめていますので、どうぞご覧下さい。ニュースディジタル・シルクロード (DSR)DSRプロジェクトとは?さて、このタイミングで新しいを公開した理由には、実は著作権問題がからんでいます。実は新年とは、著作権保護期間が満了する時期でもあるのです。例えば青空文庫でも、毎年

  • 帝国興亡方程式と歴史の枢軸 - researchmap

    歴史を見渡すと、諸民族の興亡や王朝の交代が頻繁で、人の世の移り変わりは諸行無常、定めなきことが定めであるようにも見える。それでも歴史書を紐解き、国々の変遷をやや仔細に見るならば、定めなき定めには、定めないなりの何か、定めとまでは言わずとも、類型や典型といったものがあることに、気付かざるをえない。 国は起こり国は滅ぶ。その間200年300年、通常長くて500年。歴史に名を残すほどの民族は大をなしてのち、一度傾きかけた国を再興させ大帝国を築いてから、やがて黄昏の夕陽のごとく緩やかに傾いていく。 なぜ栄えた国が永続することなく傾いていくのかというのは、古来からの多くの史書の議論の的であって、これは当然歴史家に限らず、歴史に学んで自らの行く末を考えようとする万人の関心事である。 個々の事象の連鎖を超えた、国家興亡の必然のダイナミクスが存在するのではないか、ということを初めてめて明快に論じたのは、1

  • http://researchmap.jp/jobgrj5e1-1820559/

  • 中世ヨーロッパのあだ名文化 - researchmap

    獅子公だの熊公だのとブログに書いていたら、 中世ヨーロッパ史専門の先輩から 中世ヨーロッパのあだ名文化についての論文を紹介されました。 岡地稔「ピピンはいつから短躯王と呼ばれたか: ヨーロッパ中世における「渾名文化」の始まり ―プリュム修道院所領明細帳カエサリウス写・挿画の構想年代について―」 『アカデミア』人文・社会科学編 南山大学 2007年1月 この論文はプリュム修道院所領明細帳のある写の挿画が いつ頃描かれたか(あるいは現存写が複製画を載せているなら原画が作成された年代) を論じるための前提の前提として、 Ⅱ節 ヨーロッパ中世における「渾名文化」の始まり を論じているのですが、 当該節の内容を短くまとめてしまうと、 もともと個人名のみで姓ないし家族名のなかったゲルマン社会の流れの中、 カロリング期に貴族たちは一族で限られた個人名を使用することで、 カールやルートヴィヒと聞けば

  • 【朗報】クリスマスの東方三博士ごっこ、2人から可能に - researchmap

    例年クリスマスに仲間と東方三博士ごっこを企画しながら 博士号取得者を3人集めるのに苦労していたPh.D保持者に朗報だ。 日学術振興会特別研究員の大谷哲博士(文学:初期キリスト教史)が ふと思いついて新約聖書『マタイ福音書』2章1-13節を確認したところ、 生まれたばかりの幼子イエスを祝福しにやってきたのは 「占星術の学者μάγοι(マゴイ)」とのみ記してあり、 彼らの人数を3人と明記する箇所は無かった。 μάγοιとはペルシアやバビロニアの占星や夢占いなどをしていた 学者(賢人)件祭司を指すμάγοςの複数形。 この場合、ベツレヘムに現れた星を目指してやってきたことから、 占星術学者とするのが妥当であろう。 聖書中には根拠の無い「三博士」(三賢人、三人の王とよぶことも) という伝承はおそらく、このマゴスたちがもたらした三種の贈物、 「金、乳香、没薬」から発生したものであろう。 「三賢人」

    nagaichi
    nagaichi 2014/12/24
    三博士の固有名詞は、エヴァのマギシステムで覚えた…というのは秘密です。
  • 人工知能学会関係者の皆様へ - researchmap

    私自身は社会学の大学院生ではありますが、ジェンダー論は聞きかじった程度で専門ではありません。しかし、友人にたまたま人工知能学会会員の研究者がおり、今回問題になった表紙が選定された意図や経緯などを聞いて議論することができたため、今後の参考になることをまとめたほうが良いのではないかと思いました。 人工知能学会の関係者の方向けに書いておりますので、社会学や関連分野の方が読んでもこれでは足りないと感じるかもしれません。しかし、この件を巡る議論を見ていて、基的な事項を確認することこそ重要なのではないかと思いました。また、この文章が意図していることは、相手の言い分を逐一論破したり謝罪を要求したりするものではありません。なぜ批判されたのか?どうすればよかったのか?という疑問に多少なりとも答えるためのものです。 1.ジェンダー論の基的テーゼ 今回の件についての質的なすれ違いとして、「問題が何かが共有

    人工知能学会関係者の皆様へ - researchmap
  • 全卓樹 - 南国雑記帳 - researchmap

    全卓樹 - 南国雑記帳 - 京都生まれの東京育ち、米国ワシントンが第三の故郷。東京大学理学部物理学科卒、東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了、博士論文は原子核反応の微視的理論についての研究...

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