本を読みたいのについスマホを眺めてしまう。仕事や家事、育児に追われて積読が増えていく——。「読書」にまつわるそんな悩みを抱えてはいないでしょうか。 文芸評論家として活躍する三宅香帆さんも、会社員時代は「本が読めなくなった」といいます。そんな当時の経験をSNSで発信したところ、多くの共感の声が集まり、2024年4月には『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を出版しました。 今回は、仕事に家事・育児と目まぐるしい毎日の中で、読書を楽しむヒントをうかがいました。 働いていると本が読めなくなるのは、普通のこと 本が大好きな三宅さんも、多忙な会社員時代に本が読めなくなったとのこと。改めて、当時の状況を教えていただけますか。 三宅香帆さん(以下、三宅):仕事に関係のある本は読めても、好きだったはずの古典文学や海外文学などが読めなくなりました。仕事はすごく楽しくて充実していた一方で、本を読む時間が取れ