九州北部でマサバの水揚量が急増している。対馬海域や東シナ海などで巻網漁を操業する西日本巻網の7~23日のマサバ(鮮魚・加工向けサイズ)水揚量は、前年同期比7倍と過去9年の同期間で最高を記録した。ただ、急激な水揚げ増加に、水揚げする産地市場の受け入れ作業がパンク。水揚げが遅れ、鮮度が低下したことから食用に回らず「養殖魚の餌向けに格落ちする事態が多発している」(産地市場関係者)。
1970年代ごろから漁獲量が大幅に減少し、2013年には絶滅危惧種にも指定されたニホンウナギ(関連記事)。ネット上では買い控えや禁漁を訴える声も多数あがっていますが、実際のところ食べてしまってもよいのでしょうか。水産庁と日本自然保護協会に話を聞きました。 ウナギの漁獲量は1970年代ごろから急激に減少しています(画像は水産庁から) 2018年の1月半ば、報道各社がウナギに関する衝撃的なニュースを伝えました。漁獲量が前年比で、なんと1%。大不漁により、ウナギの高騰が懸念されているというのです。 1月半ばに衝撃的なニュースが報じられた(画像は毎日新聞から) ネット上ではこの報道を受け、強い危機感を抱く人が続出。「絶滅危惧種に指定されたのだしウナギ漁自体をやめるべきでは」「このままでは本当に絶滅する」といった意見が多くみられます。また、特にここ最近多くあがっている意見が、「絶滅を防ぐため、購入自
■24都府県 密漁、無報告の疑い 昨年11月から今年4月にかけ、国内で採捕されたニホンウナギのシラス(稚魚)のうち、45・45%に密漁など違法取引の疑いがあることが21日までに共同通信の集計で分かった。ニホンウナギは環境省が指定する絶滅危惧種で、専門家からは資源管理の強化を求める声が上がっている。
今月から始まっている北海道の胆振地方沿岸の秋サケの定置網漁で、これまでにないほど大量のブリが水揚げされ、漁業関係者からは戸惑いの声が出ています。 しかし、これから最盛期を迎える秋サケの姿は少なく、その一方で大量のブリが揚がりました。 いぶり中央漁業協同組合によりますと、サケの水揚げ量は漁が始まった今月1日から11日までに15トンほどでしたが、ブリは130トンと去年1年間の15トンをはるかに上回っていて、過去にない水揚げ量だということです。 ブリは、もともと暖かい海流を好み、これまで北海道まで北上することはあまりありませんでしたが、近年、地球温暖化の影響などから北海道各地で水揚げ量が増えています。 漁業関係者からは、本来取れるべき取引価格の高い秋サケの水揚げが振るわず、価格の安いブリが揚がっていることに戸惑いの声が出ています。 漁業者の1人は「これから秋サケの時期なのにブリばかり取れて困って
「マグロの王様」と称されるクロマグロ。日本近海に生息する太平洋クロマグロは、初期資源量(漁獲がないと仮定した場合の資源量)比2・6%にまで減少した「絶滅危惧種」としても知られている。日本はこの資源の半分以上を漁獲しているが、資源管理に後ろ向きであることから、国際的批判が高まりつつある。 太平洋クロマグロは「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」という国際機関で管理され、この委員会が管轄する資源のうち、北太平洋に主として生息するものについては、「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」が資源評価を実施している。 このISCは2017年4月、内外の関係者が一堂に会した国際会議である「太平洋クロマグロ・ステークホルダー会合」を東京で開催した。今後どのような方策を取れば資源は将来どのようになるのかISCから報告を受けた後、内外の関係者が率直に意見を出し合い、前広(まえびろ)に話し合うためであ
国内でとれるイカのうち、そのおよそ8割を占めるスルメイカ。近年、記録的な不漁となっています。不漁の影響は漁業者だけでなく、水産加工業者や消費者の食卓へも広がり続けています。どうやってイカを確保するのか?イカのまちで、その最前線を取材しました。(青森放送局八戸支局 高橋謙吾記者) 5月中旬、イカの水揚量日本一を誇る青森県の八戸港では、イカ漁のシーズンを迎え、たくさんの中型イカ釣り船が太平洋の漁場に向けて出港しました。 ところが、漁業者にとっては、これまでにない不安を抱えながらの船出となりました。その理由は、ここ数年続いているスルメイカの水揚げ量の減少です。特に去年は記録的な不漁となりました。原因は、スルメイカの産卵場の海洋環境が悪く、資源量が減ってしまったためだと考えられています。 不漁の影響は広がり続けています。イカを扱う八戸市のある水産加工会社では、加工する原料が手に入らないため、従業員
2017年の初競りで「すしざんまい」を運営する喜代村が、212キロの青森県大間産のクロマグロを7,420万円で落札しました。1キロあたり35万円と破格ですが「すしざんまい」としてはテレビのニュースなどで取り上げられまくるので、広告宣伝費としては高くありません。通常よりも高く落札されたクロマグロですが、釣り上げた漁師にはいくら位が入るものなのでしょうか? 最高値マグロは奇跡の1匹 禁漁90分前に釣れたという記事に、7,420万円がどうやって分配されていくのかの内訳が解説されていました。 全体の5・5%(408万1000円)は漁師からマグロを預かった荷受業者、同4%(296万8000円)は大間漁協、同1・5%(111万3000円)が青森県漁連。 ということで11%が荷受業者、大間漁協、青森県漁連に入り、残りの89%が漁師のもとにいきます。ただし、約4割が大間町の地方所得税となるので、漁師に入る
今年の7月3日に境港を訪れた。面と向かい合い、建設的な意見交換ができたと思っている。 まき網関係者と水産庁は産卵期のまき網を強く擁護するが、俺はこれこそが資源崩壊の主因だと考えている。 まき網関係者「まき網は産卵期しか獲れないんです」 水産庁職員「まき網は産卵期しか獲れないので、その邪魔をしないでください」 水産庁トップ「産卵期に獲ろうが、産卵後に獲ろうが、同じ1匹である。資源への影響は同じ」 俺「境港に水揚げされるクロマグロのほとんどが初産卵。1回も産まずに獲るのと、1回産ませてから獲るのでは資源への影響は当然ある」 そして、産卵期しか獲れないと言っていたのだが、9月以降、12月上旬にかけて、何度もまき網による大量の水揚げが確認されている。 6月から7月は産卵期なので、キロ単価は激安(境港の最安値はキロ200円)だが、12月でもまき網のマグロは1000円前後だった。 一本釣りや、定置、は
世界有数の漁場、東シナ海での底引き網漁で、日本の漁船が、急増して漁場を占有する中国漁船に押されている。底引き網漁は環境への影響も指摘されるが、漁業の衰退は地域経済にも影響するため、水産庁は支援に乗り出す。 東シナ海での漁は主に、海底付近のキダイやアカムツ、練り物の材料となる魚を取る底引き網漁と、水面付近のサバやアジなどを取る巻き網漁だ。山口県以西の底引き網漁船は、1950年ごろには約800隻あったが、97年に100隻を割り、2001年からは10隻台に減少。今年は長崎市の2社、8隻のみとなった。 漁業就業者の後継ぎ不足は全国的な傾向だが、東シナ海での底引き網漁の衰退は、中国漁船の影響が大きい。中国では魚介類の需要が増え、中国近海だけでなく、日本近海にも漁船が進出するようになった。00年の中国との漁業協定で設定された日中両国が操業できる水域に、中国漁船が押し寄せている。 業界団体によると、中国
本コラム「日本の水産業は崖っぷち」の開始から2年半が経過しました。この間にも水産資源は減少し続け、今年の6月にはウナギが、そして11月17日には太平洋クロマグロが、国際資源保護連合(IUCN)により、絶滅危惧種(「レッドリスト」)に指定されました。「崖っぷち」の資源予備軍は、まだまだあります。 皮肉にも、日本が漁業の主体である太平洋クロマグロの親魚資源量は、歴史的低位置付近という深刻な減少を続ける一方で、大西洋クロマグロは資源が増加中。同じマグロなのに、なぜでしょうか。太平洋と大西洋で何か違うことが起こっているのか、というとそうではありません。これは環境の変化の問題ではなく、「人災」と言える結果です。魚を一網打尽にする大型巻き網船が問題かと言えば、それも違います。ノルウェーをはじめとする北欧では巨大な巻き網船の建造が進んでいます。それなのに水産資源は安定し、地方の水産都市は栄え(写真)、漁
23日、第3管区海上保安本部の航空機が小笠原諸島沖の日本の領海内と排他的経済水域内をパトロールしたところ、100隻を超える中国のさんご漁船とみられる船が航行しているのを確認しました。海上保安本部は日本のさんごが中国国内で高値で取り引きされていることが背景にあるとみて、取締りやパトロールを強化しています。 これは、第3管区海上保安本部の堀部健二本部長が24日定例の記者会見で明らかにしました。それによりますと、23日、海上保安本部の航空機が小笠原諸島沖をパトロールしたところ、不審な船が日本の領海内で4隻、排他的経済水域内で109隻航行しているのを確認しました。これらの船は船体の形などから、いずれも中国のさんご漁船とみられるということです。 小笠原諸島沖では今月に入って、中国のさんご漁船が日本の領海内で操業したり、排他的経済水域内で停船命令を無視したりして、船長が逮捕されるケースが相次いでいます
かば焼きで日本人になじみ深いニホンウナギについて、国際自然保護連合(IUCN)は、12日に発表する、生物の絶滅危機に関する情報を紹介する「レッドリスト」改訂版に掲載する方針を固めた。絶滅危惧種として指定する見通し。売買や食べることの禁止に直結するわけではないが今後、国際取引の制限などにつながる可能性が高まる。 日本で食べられているウナギの多くは、ニホンウナギの稚魚を国内で捕獲したり輸入したりして養殖したものと、中国などから輸入されるかば焼き。稚魚の国内漁獲量は今年、数年ぶりに回復しているが、長期的には激減傾向にある。半世紀前は日本で年間約200トンの稚魚の漁獲量があったが、2012年までの3年間は年間3~6トンにとどまっている。天然ウナギの漁獲量も激減傾向だ。 IUCNは、国家や自然保護団体が加盟する世界最大の国際的な自然保護組織。IUCNレッドリストは「絶滅」や「絶滅危惧」「情報不足」な
【台北=冨名腰隆】5月の日台漁業委員会で、日本側が、双方の操業を認める一方で日本による取り締まり権限を放棄していない「特別協力水域」で、具体的なルールがないままに操業する台湾漁船の拿捕(だほ)などを明言していた。協定締結後、台湾漁船が自由に操業する状態が続いており、日本が有効な対抗策を打てない現実が改めて浮き彫りになった。 日本政府は、中国と対立する尖閣諸島問題で優位に立つため、同諸島の領有権を主張する台湾に接近、大幅譲歩する形で漁業協定を結んだ。首相官邸主導で合意を急いだことが、現場の混乱を招いた。沖縄県の漁業関係者は反発している。 同委は4月の日台漁業協定で、具体的な操業ルールの設定を目指して設置された。5月7日、台北市内で開かれた初の会合で、水産庁の須藤徳之資源管理部長(当時)が特別協力水域について「具体的な事が決まるまで、(台湾漁船は)操業できない。拿捕は排除しない」と強調。海上保
海水温が上昇している影響で、北海道東部の釧路町では、秋サケ漁に使う網の中に、この時期にはあまり見られないマンボウが大量に入り込み、漁業者を困惑させています。 北海道釧路町にある老者舞漁港の沖合では、今月24日から秋サケの定置網漁が解禁となりました。しかし網には漁の初日から連日、サケに混じって大量のマンボウが入り込み、その数は漁が始まってからの4日間で800匹以上に上りました。 NHKの取材班が網の中に潜ったところ、体長1メートルほどのマンボウが悠然と泳いでいました。マンボウは、漁業者にとって商品価値が低いうえ、大きなものは網や船のスクリューを傷つけてしまうため、いわばやっかいものです。30年間、定置網漁を続ける伊畑智さんは「秋サケの姿よりもこの時期にはあまり見られないマンボウのほうが多く、これでは商売にならない」と話していました。 海水温の変化に詳しい、独立行政法人北海道区水産研究所の黒田
沖縄県の尖閣諸島周辺海域での日台間の操業ルールを定めた漁業協定が発効して10日で1か月。 同海域を伝統的な漁場とみなす台湾漁民は、日本の取り締まりを受けずに操業できることを歓迎するが、計4隻の台湾漁船が協定海域外で操業したとして日本側に拿捕(だほ)され、沖縄漁民からは不満が出ている。 約900隻が所属する蘇澳の漁港は早朝から活気に満ち、協定海域などで取れたマグロやシイラが次々と水揚げされた。海産物輸出業の王松徳氏(64)は「キハダマグロの半分は東京や名古屋などに輸出される。日本の食にも貢献している」と胸を張る。 漁協幹部によると、協定海域周辺には同港から約100隻が出漁。既に3回出漁した荘清吉氏(64)は「昨年までと違い(取り締まりの)プレッシャーがない」と喜ぶ。4月以降、同港で水揚げされたクロマグロは約280匹と去年並み。宜蘭県はえ縄漁業協会の林新川総幹事(63)は、円安で日本への輸出利
日本共産党の赤嶺政賢議員は10日の衆院内閣委員会で、同日、運用開始となった日台漁業協定について質問し、沖縄の漁業者の利益を切り捨てるもので撤回すべきだと求めました。 赤嶺氏は、沖縄側が譲れないとしていた先島諸島北側の水域で大幅に台湾側の操業を認め、「久米西」の好漁場まで譲り渡したと指摘。鈴木俊一外務副大臣が「漁業者の頭越しに協定を締結しない」と述べていたことにふれ、「漁業者の意向を全く無視して締結した責任は重い」と追及しました。鈴木副大臣は「最大限努力した結果だ」と釈明しました。 赤嶺氏は「沖縄側が最低限守りたいとしていた水域を守る方針が日本側にあったのか」と質問。水産庁の本川一善長官は「先島以南は守りたかった」と答えましたが、以北について明言しませんでした。 赤嶺氏は、県漁業者への説明会で水産庁幹部が「国益のために交渉しろ」「官房長官の責任で対応する」と官邸の圧力を受け早期に妥結したとす
日本共産党の赤嶺政賢議員は12日の衆院予算委員会分科会で、10日に日本と台湾間で合意した「民間漁業取り決め」について、沖縄県の漁業者の利益を大幅に譲り渡すもので、地元の意向を反映したものとは到底いえないと批判しました。 合意は、県や県漁連が交渉の基本線として繰り返し要請していた日台間の地理的中間線から大幅に後退し、先島諸島北方の広大な海域で台湾漁船の操業を認めるものです。 赤嶺氏は、同海域でこれまで漁具切断や盗難のトラブルが繰り返され、安心して操業できる漁業ルールの確立が切実な課題になっていたと指摘。しかし、今回の合意は漁業者の意向を反映しておらず、日本漁船の多くがトラブルを避けるために操業自粛を余儀なくされている現状を追認することになると強調しました。 城内実外務政務官は「漁業者の皆さんの声も反映した上で、取り決めがされた」と強弁。赤嶺氏は、県漁業者が「最大限の譲歩」ラインとしていた東経
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