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ブックマーク / blog.tatsuru.com (64)

  • キャラ化する世界 - 内田樹の研究室

    教授会のさいちゅうに携帯が鳴って、廊下で出たら、某新聞から電話取材。 日、菅新首相の所信表明演説があったけれど、新内閣についての感想は・・・というご下問である。 こちらは授業と会議で、演説聴いてないので、なんとも言いようがないけれど、とにかく直前の内閣支持率20%が3倍にはねあがるというのは「異常」だと申し上げる。 菅首相自身は前内閣の副総理。主要閣僚もほとんど留任であり、政策の整合性を考えるなら、前政権から大きく変化するということはありえないし、あるべきでもない。 もし、首相がかわったせいで政権の性格が一変するというのなら、それは副総理であったときの菅直人の政治的影響力が「かぎりなくゼロに近い」ものだったということを意味する。 副総理のときに政策決定にまったく関与できなかった政治家が、1ランク上がったせいで、圧倒的な指導力を発揮するという説明を私は信じない。 菅新首相は前内閣の枢要の地

  • 北方領土について考える

    大学院のゼミでは北方領土問題が論じられた。 ゼミでこの問題を論じるのは、20 年間大学にいてはじめてである。 沖縄基地問題についての論及回数とは比較にならない。 南島とくらべてそれだけ扱いにくい論件だということなのかもしれない。 学生たちがこの論件を忌避する理由の一つは、たぶんこの問題をリアルかつクールに分析することに対して、きわめてパセティックな「抑圧」がかかるせいである。 領土問題になると、国民国家の成員たちはどの国でもすぐに熱くなる。 「国境線については絶対譲歩するな」という言説が幅をきかすのはどの国でも同じである。 「国境線を譲歩しても、隣国との友好関係を構築するほうが国益にかなう」というタイプの議論をする人間は袋だたきに遭い、うっかりするとテロリストの標的になる。 国境線を少しでも拡げた政治家は「英雄」ともてはやされ、国境線を少しでも失った政治家は「売国奴」と罵られる。 それは古

    namnchichi
    namnchichi 2010/06/09
    内田先生の沖縄に対するご意見を拝見して、北方領土と同じ領土問題という認識をもった。
  • もうひとことだけ (内田樹の研究室)

    朝刊を読んだら、菅直人新首相について「期待する」という社説が掲げてあった。 その理由として市民運動出身であり、ポリティカル・ファミリーの出身でなく、自民党員だったことがないことが挙げてあった。 そして、新首相に課せられた最優先の政治課題は「小沢一郎の影響力を払拭すること」だと書かれていた。 私はこの説明を読んで、考え込んでしまった。 こういうことを「統治者としてのアドバンテージ」としてよろしいのであろうか。 「市民運動をしたことがなくて、ポリティカル・ファミリーの出身で、自民党員だったことがある」前首相との対比で、そのアドバンテージを強調したかった論説委員の気持ちは理解できるが、私はこの記事を読んで深い徒労感を覚えた。 もう何度も書いていることだが、私たちの国が陥っている窮状は構造的なものであり、つよい惰性をもっている。 日の不調を統治者個人の属人的な能力で説明することには限界があるし、

    namnchichi
    namnchichi 2010/06/05
    日米安保という不平等条約を何とかしようと意見するマスメディアが無いことについて
  • 首相辞任について (内田樹の研究室)

    鳩山首相が辞任した。 テレビニュースで辞意表明会見があったらしいが、他出していて見逃したので、正午少し前に朝日新聞からの電話取材でニュースを知らされた。 コメントを求められたので、次のようなことを答えた。 民主党政権は8ヶ月のあいだに、自民党政権下では前景化しなかった日の「エスタブリッシュメント」を露呈させた。 結果的にはそれに潰されたわけだが、そのような強固な「変化を嫌う抵抗勢力」が存在していることを明らかにしたことが鳩山政権の最大の功績だろう。 エスタブリッシュメントとは「米軍・霞ヶ関・マスメディア」である。 米軍は東アジアの現状維持を望み、霞ヶ関は国内諸制度の現状維持を望み、マスメディアは世論の形成プロセスの現状維持を望んでいる。 誰も変化を求めていない。 鳩山=小沢ラインというのは、政治スタイルはまったく違うが、短期的な政治目標として「東アジアにおけるアメリカのプレザンスの減殺と

    namnchichi
    namnchichi 2010/06/03
    感慨深い。マスコミがこぞって抵抗したのは何故だろう。
  • 普天間 「それ」の抑止力 (内田樹の研究室)

    共同通信の取材。参院選についての見通しを訊かれる。 月曜にAERAのみなさんともその話をしたばかりである。 民主党は議席を減らすが、「大敗」というほどではないだろう。自民党はさらに議席を減らし、谷垣総裁の責任問題に発展し、党の分裂が進む。公明党も政権与党という条件がなくなったので議席減。「みんなの党」に多少議席をふやす可能性があるが、投票率が低いだろうから、「風が吹く」というような現象には達しないだろう。 というあまりぱっとしない見通しを語る。 見通しがぱっとしない理由は民主党政権が「期待したほどではなかった」という思いはあるが、「じゃあ、何を『期待』していたんだ?」と訊き返されると、有権者も政治家もだれもが明確な中長期的構想を語れないからである。 民主党だって「やろう」としたのだが、うまくできなかったのである。 それを民主党の政治家たちがとりわけ無能であったと見るか、「やれる」と思って取

    namnchichi
    namnchichi 2010/05/29
    実にわかりやすい話だが、説の根拠となる事実にどの程度の信憑性があるのだろう。
  • アメリカから見る普天間問題 (内田樹の研究室)

    普天間基地問題について、アメリカの人はどう考えているのだろうと思っていたら、知人から次のようなテクストがあることを教えていただいた。 しゃべっているのは、チャルマーズ・ジョンソンさん(カリフォルニア大学教授、政治学部長、中国研究センター所長などを歴任。その後、日および環太平洋地域の国際関係を研究する民間シンクタンク “日政策研究所”(JPRI)を設立)。 記事は http://diamond.jp/articles/-/8060 で配信されたもの。その一部を採録する。 ―鳩山政権は普天間問題で窮地に立たされているが、これまでの日米両政府の対応をどう見るか。 まったく悲劇的だ。両政府は 1995 年の米兵少女暴行事件以来ずっと交渉を続けてきたが、いまだに解決していない。実を言えば、米国には普天間飛行場は必要なく、無条件で閉鎖すべきだ。在日米軍はすでに嘉手納、岩国、横須賀など広大な基地を多

  • 非実在有害図書 - 内田樹の研究室

    東京都青少年健全育成条例について基礎ゼミの発表がある。 「表現に対する法的規制」というものについて私は原理的に反対である。 ふつうは「表現の自由」という大義名分が立てられるけれど、それ以前に、私はここで言われる「有害な表現」という概念そのものがうまく理解できないからである。 まず原理的なことを確認しておきたい。 それは表現そのものに「有害性」というものはないということである。 それ自体有害であるような表現というものはこの世に存在しない。 マリアナ海溝の奥底の岩や、ゴビ砂漠の砂丘に、あるいは何光年か地球から隔たった星の洞窟の壁にどのようなエロティックな図画が描かれていようと、どれほど残酷な描写が刻まれていようと、それはいかなる有害性も発揮することができない。 「有害」なのはモノではなく、「有害な行為」をなす人間だからである。 全米ライフル協会は「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」と主

    namnchichi
    namnchichi 2010/04/24
    「人間だけが有害であり得る。」論理的に
  • ああ、疲れた - 内田樹の研究室

    ああ、疲れた。 センター入試が終わって、家に戻って、焼きそばを作ってべて、ビールで流し込んだら、猛烈に眠くなって、10時半にベッドに潜り込んで寝てしまった。 さすがに疲れます。 センター入試のミスは翌日には新聞報道され、ひろく天下の知るところとなる。 そして、「ミスの種子」にはそれこそもう天文学的な数のパターンがあるのである。 昨日は「汚損答案」の処理について、ひとしきり議論がなされた。 汚損答案というのは、問題を解答しているうちに、なんらかの理由でマークシートが汚れて、読み取りに支障が出そうな場合、解答用紙を交換することである。 試験終了10分前までなら用紙を交換して、転記してもらう。試験終了後は受験生はもう用紙には触れないので、「汚損答案」というものは発生しないはずなのだが・・・ 「たとえば、そのとき鼻血がブッと出て、答案にこぼれた場合」とか「興奮のあまり、答案用紙にゲロを吐いてしま

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    namnchichi 2010/01/18
    あぁ、疲れた。もう嫌だが来年もある。
  • みんな知ってる「密約」って何? - 内田樹の研究室

    1969年11月、沖縄返還の交渉過程で、当時の佐藤栄作首相とニクソンアメリカ大統領のあいだで交わされた沖縄への有事の際の核持ち込みを認める密約文書を、元首相の遺族が公開した。 沖縄返還は公式には「核抜き」での合意であったが、同時に密約で沖縄への核兵器再持ち込みが許容されていた。 核持ち込みは事前協議の対象案件だが、これについても「遅滞なく必要を満たす」とあり、事前協議が事実上空洞化していたことが明らかになった。 という新聞記事を読んで「びっくりした」という日人が何人いるであろう。 佐藤元首相は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」といういわゆる「非核三原則」を掲げて世界平和に貢献したという理由で1974年にノーベル平和賞を受賞した。 私はそのニュースのときの方がよほど「びっくり」した。 55歳以上のおおかたの日人も私と同じような反応を示したのではないかと思う。 ノーベル賞のときにはび

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    namnchichi 2009/12/26
    何となく
  • デモクラシーのコスト - 内田樹の研究室

    鳩山由紀夫内閣が成立した。 新閣僚の所信表明の記者会見を遅くまで見る。 これまでの三代の自民党内閣では、新閣僚の所信表明なんか、一度も見たことがなかったのだが、やはり政権交代ということになると、何を言うのか興味がわく。 閣僚名簿を見て、世の中大きく変わったなあと思う。 会ったことのある人が二人(仙谷由人さんと福島瑞穂さん)閣僚に入っているからである。 お二人とも、わりと長時間、政治についてお話しした。 仙谷さんとは松井孝治、松剛明、細野剛志という四人の民主党代議士のみなさんと、福島さんとは差し向かいで。 「ウチダと会って話がしたい」というような奇特な人が大臣になってしまうご時世なのだと思うと、まことに時代が変わったことが実感されるのである。 And the first one now will later be last For the times they are a-changin'

    namnchichi
    namnchichi 2009/09/18
    「「官僚」たちは自説に固執するが、「民衆」はころころ意見を変える」
  • 夏の終わりに - 内田樹の研究室

    夏休みらしいことが何も起こらないうちに、夏が終わってしまった。 切ない。 温泉に二回ゆき、麻雀を14半荘やった。 試写会で『サブウェイ123』を観た。 演武会をやり、うちで宴会をやった。 歯を13抜いた。 特記事項はそれくらい。歯を抜いたのは「休み中じゃないと無理」だからで、その意味で「いかにも夏休みらしい」イベントとしてここに記したのであって、別に「楽しかった」という意味ではない(楽しいわけないよね)。 あとは講演と原稿書きで明け暮れた。 『日辺境論』初稿を書きあげて、ただいま推敲中。 この「推敲」という仕事はわりと楽しい。 もう原稿は書き上がっていて、締め切りまで一週間残しているから、その点ではいらいらしたり、不安になったりということはない。 これならにして世に問うてもよろしいであろうという程度のクオリティには達している。 あとは、できうるかぎり「リーダーフレンドリー」に書き直す

    namnchichi
    namnchichi 2009/09/02
    「げんなりしたのである。だから「チャンネルを換えた」のである。」概ね同意するが、私はもう少しポジティブに捉えている。
  • マニフェスト - 内田樹の研究室

    総選挙の公示があり、選挙カーが走り回り始めた。 去年の秋にほんとうは選挙があるはずで、候補者たちはそれからずっと選挙運動をしているわけだから、資金的にも体力的にも、もう限界なのであろう。 攻める民主にも守る自民にも、何かを成し遂げようという勢いがない。 党首以下同じことを呪文のように繰り返すだけ。 知的パフォーマンスが底なしに劣化しているという感じがするのは、あまりに長く続いた選挙運動に疲れすぎて、頭が回らなくなってしまったせいなのかも知れない。 世間は政権交代で多少は盛り上がっているが、私にはなんとなく「史上もっとも頭の悪い選挙」という印象がする。 選挙運動自体が21世紀のあるべき国家像とそれに向かう道筋を示し、それに向けての国民的合意を形成してゆくというものではまるでなく、ひたすらおたがいの政策のどうでもいいような瑕疵をあげつらうだけ。 これでは、やればやるほど、人品骨柄の悪さと志の低

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    namnchichi 2009/08/20
    マニフェストに、ごめんなさいと書くわけにはいかないのよね
  • 株式会社立大学の末路 - 内田樹の研究室

    株式会社が設立した LEC リーガルマインド大学が、入学者の減少などから、来年度以降の学部生の募集を停止すると発表した。 LEC 大学は、資格試験対策の予備校「東京リーガルマインド」が2004年に設立した。 全国に14キャンパスあったが、志願者減少に伴い募集停止や統廃合を行い、今年度は千代田キャンパスのみの募集であった。 今年度の入学者は、定員160人に対して18人。累積赤字は30億円に達していたという。 2007年1月には、専任教師の大半に勤務実態がない、ビデオを流すだけの授業を行っていたなどとして、文部科学省から改善勧告を受けていた。 株式会社立の大学については、これは高等教育機関としては機能しないと私は最初から言い続けてきた。 「教育はビジネスではない」からである。 「教育はビジネスだ」と信じた人たちが構造改革特区制度を利用して、わらわらと大学経営に参加してきたのが、2004年のこと

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    namnchichi 2009/06/20
    「グローバリズム教育論の醜悪な集大成であるところの「教育再生会議」が鳴り物入りで登場」のあたり
  • 福島みずほさんと会う - 内田樹の研究室

    福島みずほさんと対談したはずなのだが、ブログに何も書いていないのは「何か」あったのでしょうか、というお訊ねメールが届いた。 このメールの背後には「事変」を望む無意識的欲望が何となく感じられるのであるが、福島さんとの対談はたいへん愉快なものでありました。 昨日のブログは小田嶋さんの話だけで長くなりすぎたので、「続きは明日」だったのである。 それにしても、赤プリで小田嶋さんと会ったあとに、永田町で福島さんと会うというのは、かなりストレンジな取り合わせではある。 ともあれ、私のふだん出入りするところではない参院議員会館に行って、「月刊社会民主」というコアな(と申し上げてよろしいであろう)刊行物のために社民党党首と対談をすることになった。 ご存じの通り、私は「異業種の人」と話をするのが大好きである。 その話のコンテンツよりは、その「語り口」から学ぶところが多いからである。 ウィキペディアの福島さん

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    namnchichi 2009/05/26
    多様性という視点に合意
  • ゾンビの教訓 - 内田樹の研究室

    新型インフルエンザについて三紙からコメントを求められる。 私なんかにインフルエンザについて訊いてどうするのかと思うのだが、感染地域の真ん中に住んでいる人間の「市民目線」の感想を聞きたいと思ったのかも知れない(木によって魚を求むるの類だが)。 疫学についても医学についても何も知らない人間に訊く以上、それはインフルエンザそのものについてではなく、インフルエンザ禍の「人間的意味」についてのコメントなのであろうと判断して、それについて述べる。 メディアの一昨日あたりからの論調は「それほど毒性の強いインフルエンザでもないらしいのだから、あまり騒ぎ立てずに、柔軟に対応するほうがいい」というものである。 休校やイベントの中止が続くと市民生活に影響が出るから、「自粛するのを自粛せよ」というものである。 大阪府知事は「都市機能に影響が出る」と言った。 だが、感染地区がパニックに陥っているとか、都市機能が麻痺

    namnchichi
    namnchichi 2009/05/22
    「自粛するのを自粛せよ」たしかにそう言う圧力を感じる
  • 壁と卵(つづき) - 内田樹の研究室

    村上春樹のエルサレム・スピーチについて二件の電話取材を受けたと書いた。 電話取材というのはむずかしい。 30分ほどしゃべったことを5行くらいにまとめられているコメントの場合には、「言いたいこと」が活字になっているということはほとんどない。 私が「言いたいこと」というよりは記者が「理解できたこと」が書いてある。 場合によっては記者が「言いたいこと」が私の名前で書いてあるということもある。 たぶん読む方もそれくらいに割り引いて読んでくれるだろうから、あまり硬いことは言わないつもりである。 それでも、わずかな字数では意を尽くせないことがある。 私がそのとき言いたかったことをここに書きとめておきたい。 それは「壁」というメタファーについてである。 もっとも一般的な解釈は「壁」を政治的な暴力装置、「卵」をその犠牲者と見立てることである。 もちろん、村上春樹自身もその解釈を否定しているわけではない。

  • 大学はどうなるのか - 内田樹の研究室

    バリ島から帰ってきてそのまま会議。 ほんとうは午前中にも会議があり、それにも出席しなければならなかったのであるが、その頃はまだ家にたどりついていなかったのでご無礼。 30分ほど前に教務部長のデスクにつくや、教務課長が「ちょっとご相談が・・・」とおいでになっていろいろ相談ごと。 むむむ、それは困ったことですな。 ま、ナントカしましょう。 その後学長を囲んでややコンフィデンシャルな会議。 むむむ、それは困ったことですな。 ま、ナントカなるでしょう。 その後合否判定教授会。 一般入試の志願者数は全学平均で前年比98%(総合文化学科は前年比103%)。 「100年に一度」の経済危機で、志願者が志望校の絞り込みに入っている今年は、私学はどこも軒並み志願者数を下げて、苦戦している。 新学部新学科は「ご祝儀」で、初年度には必ず志願者が殺到するのだが、それもうまくゆかない大学が多い。 受験生たちも「こうや

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    namnchichi 2009/02/08
    FDと評価
  • 入試「改革」のご提言について - 内田樹の研究室

    センター入試の日に新聞の社説に入試改革の提言が載せられている。 毎日新聞の社説子はこう書いている。 「少子化や規制緩和の大学増設なので大学の学生獲得競争が次第に強まり、科目を減らしたり独自学力試験をしないなど、試験を安易にする傾向が現れた。 時間をかけ多角的に審査するはずのAO(アドミッション・オフィス)入試や従来の推薦入試も形骸化が指摘される。4割以上が学力検査をくぐらず入学するまでになっている。 一方で大学生の深刻な学力低下が報告される。6割の大学が高校レベルの補習をするなど基礎学力の補完をしている。そうしないととても専門教育ができないという。基的な教養の欠落も指摘されている。」 ご指摘の通りである。 そのことに私たち大学人も深く苦しんでいる。たぶん、日でいちばんそのことに苦しんでいるのは、「基礎的な学力」のない学生たちと現場で向き合っている私たちである。 そのわれわれに向かって論

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    namnchichi 2009/01/20
    「けれども、教育危機を生み出したのはまさにこの「こうすれば『いいこと』があるよ」という利益誘導によって子供たちを学習に導くという教育観そのものなのである。」
  • あれから40年 - 内田樹の研究室

    修士のクロダくんが論文について相談に来る。 修論のテーマは「学生運動」だそうである。 40年前の学生運動のことについて調べたいという。 私が彼女の年齢のとき(1973年)、その40年前というと、1933年である。 ヒトラーが政権を執り、松岡洋右が国際連盟の会議場から歩き去り、滝川事件が起きた年である。 どれも、私にとっては「ジュラ紀ほど大昔の話」である。 だから、ナチスが政権を執ったときのことをリアルタイムで知っている人なんかの話を聴くと、「生きる現代史」みたいな古老だと思っていた。 けれども、よくよく考えてみたら、私自身がもう彼女たちの世代から見たら「歴史事件を語り継ぐ」古老の立場にいたのである。 69年の全国学園闘争とは何であったのか、お嬢さん、それをこの老人に聴きたい、と。 ほうほう、それは奇特な心がけだのう。 だが、あの話を若い方にご理解いただくためには、明治維新から説き起こさね

    namnchichi
    namnchichi 2009/01/10
    私の父の世代
  • 仕事納めはラジオ - 内田樹の研究室

    今年は早手回しに煤払いも終わり、年賀状も出し終えたので、今年最後のお仕事に出かける。 元旦に放送する「時事放談」みたいな番組の収録のために NHK に伺ったのである。 収録済み識者諸氏の時事についてのコメントを伺ったあと、解説委員の五十嵐公利さん(うっかり「アナウンサーの」と書いてしまいましたが、一昨日はたまたまアナウンサー役を私相手にやってくださったのでした。肩書き間違えてすみません)を相手に私が1時間半にわたって勝手なことぺらぺらしゃべるのを元旦に全国放送するという大胆な番組である。 最初はこれを元旦に渋谷から生放送でやるという企画だったのである。 企画した人々の度量の大きさというか見境のなさに驚嘆するのであるが、さいわい私は「お正月はお雑煮べたり、娘にお年玉あげたり、いろいろ忙しいのでダメです」とお断りすることでことなきを得た。 それで済んだと思っていたら、じゃあ生放送は諦めて、年