つい先日、日本の人口は8年連続で減少しているという発表があったばかりだ。労働力不足の解決が喫緊の課題と言われながら、いったん弱者に転落するとなかなか労働力として復帰しづらい仕組みは改善されないまま。ライターの森鷹久氏が、生活保護受給者から働く社会人として自立する難しさについてレポートする。 * * * 渋谷区内の喫茶店に現れたのは、ブカブカの着慣れないスーツに身を包み、コンビニのレジ袋をぶら下げた・水田伸介さん(27歳・仮名)。27歳にして昨年12月に晴れて社会人デビューしたという男性だが、新卒者のようなキラキラした”フレッシュさ”は感じられない。財布や携帯をビジネスバッグではなく、レジ袋に入れているあたりからも、一般的な社会常識から逸脱した、彼の感覚をうかがわせる。 そのズレた感じの出所をたどろうと彼のこれまでの生活について話を聞くと、昨年の10月までは神奈川県横浜市内の就労支援施設で働