数年前の夏に川越の氷川神社を訪れて、風車の群れに遭遇した。 普段はここに風鈴のトンネルがあるそうだ。 薄紫と白を交互にあしらった羽根が、昼間の熱気を運ぶ弱い風を横から受けて、これまた億劫そうに回転していたのが印象的だったのを思い出す。境内に彩りを添える彼らも、その変わり映えしない日々や、存在の仕方に倦むことがあるだろうか。 氷川神社は、以前も当ブログに訪問記録を残した日本郵船 氷川丸にゆかりがある。そもそも船の名前がこの神社から拝借されているのだ。 神社webサイト内のページにも説明が載っており、一般公開されている船内で八雲神紋を見られる場所や、船の略歴を知ることができた。近代産業遺産やアール・デコ風の室内装飾に興味があるなら、ぜひ氷川丸の方も訪れてみてほしい。 そこから鳥居を出てしばらく西へ歩けば、散見される建物が徐々に「それらしい」ものへと変わっていく。小江戸と称されて栄えた川越は今も