明治日本における西洋の教育・学問制度の導入は、それまでの知のあり方との融合・折衷・対立・拮抗を経つつ、現在につながる学問環境を作り出してきた。 しかし、科学的・客観的とされるいまのわれわれの学問の枠組みは、果たしてニュートラルな存在としてあるものなのか―。 近代学問の歴史的変遷を起源・基底から捉えなおすことによって、「近代」以降という時間の中で形成された学問のフィルター/バイアスを顕在化させ、われわれをめぐる「知」の環境を明らかにする。 序言 井田太郎 ◆総説 近代学問の起源と編成 藤巻和宏 ◆第一章 近代学問の起源と展開 近代国学と人文諸学の形成 藤田大誠 明治期における学問編成と図書館 長尾宗典 近代学術と漢字翻訳語―日本と中国における「合衆国」の展開― 千葉謙悟 近代日本のフランス語教育の起源と編成―宣教師の果たした役割― 西岡亜紀 神話学の「発生」をめぐって―学説史という神話― 平