被災資料を救う:阪神・淡路大震災からの歴史資料ネットワークの活動 1. はじめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災により、東北・関東地方を中心とする東日本各地は甚大な被害を受けた。地震発生から1か月以上が経過した現段階(2011年4月26日現在)においても、1万人以上の行方不明者があり、今後の被災地の復旧・復興には困難を伴うことも予想される。そうした中、今回の震災では地震発生直後より日本国内外において文化領域に関わる復旧支援活動が広範な拡がりの中で展開され、すでに様々な取り組みがなされているが(1)、被災地である宮城や福島、岩手などでは、被災した資料や文化財の滅失の危機から救うべく、被災資料・文化財の救出活動が行われている。2011年4月1日には文化庁による「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)」が開始され、阪神・淡路大震災以来はじめて「被災文化財等