日本の理系研究者の「海外流出」が問題となっているが、文系研究者も海外に活路を見出しつつある。その理由は、日本の大学の教員ポストがあまりにも少ないからだ。東京の大学で日本政治思想史を専攻して博士号を取得した後、中国で5年間「外教専家」(外国人教員)として働いた神谷昌史氏はこう語る。 「中国行きを決めた大きな理由は、日本に研究者のポストがなくて生活が不安だったからです。それまで出身大学で研究補助員をしていたのですが、任期切れ直前でした。塾講師でもして生計を立てるつもりでいた矢先、指導教員から中国の大学を紹介されたんです」 日本語教員と言っても、神谷氏の研究対象は明治・大正時代の日本の思想家だ。日本語教育の経験もなければ、教育法を研究したこともない。中国語も大学院受験のために独学で勉強した程度。文章は何とか読めるが、全く話せない状態で中国に向かったという。果してそれでやっていけたのだろうか? 「