以前執筆していただいた二歩博士から、再び玉稿を頂いた。長編のため、前後遍として掲載することにする。ご味読いただきたい。 ********** 【提要】 史記』の先秦諸子に関する列伝には、その文献・学術・学派に対する「序」の性質がある。 司馬遷は、司馬氏の史官としての仕事を諸子にも劣らない、一つの学術分野と自負した。 そこで、司馬氏の学術の発祥と、『史記』に結実するまでの来歴を、「自序」に記した(そのために「自序」がまるで司馬談・司馬遷の列伝のようになった)。 というのが、本稿の主旨である。 ********** 先日の記事 あとがき6 あとがきはなぜ必要なのか: 小熊英二『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年) - あとがき愛読党ブログ で、 人文系学術書の、長くて、情緒纏綿で、多分に私事に渉るあとがき という言葉が登場した。この言葉を見ると、『史記』のあとがき、「太史公自序」が思い浮