CA1883 – 動向レビュー:デジタル時代における国立図書館の蔵書構築―欧米国立図書館を対象とした調査報告― / 吉家あかね 英国の国立公文書館・大英図書館における私文書の閲覧体制―利用者の視点から― 京都大学大学院法学研究科・法学部:奈良岡聰智(ならおか そうち) はじめに 近代日本の政治外交史研究において、私文書(政治家、外交官など個人が残した日記、書簡、書類、写真など)が果たす役割は極めて大きい。戦後日本で、私文書の収集・保存・公開を先駆けて行ってきたのは国立国会図書館憲政資料室で、コレクションの量や多様性、文書の収集・保存のためのノウハウの蓄積、研究者とのネットワークの深さなどの点において、他を圧倒する存在である(1)。現在では、国立公文書館、衆議院憲政記念館、宮内庁宮内公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所戦史研究センターなどの公的機関の他、大学、図書館、文書館、博物館