経済問題は複雑だ。それは事実であり、認めざるを得ない。どのような経済現象や経済政策であっても、良い効果、悪い効果のどちらもが存在する。とは言っても、それぞれの効果の程度には違いがあり、1円を拾う程度の好影響と洪水に巻き込まれるような悪影響のような違いが出ることもある。だから、経済現象や経済政策を語る上では、効果の列挙よりも一番影響の大きいのはどの効果なのかが重要となる。 政策を売り込む経済学者は、しばしばこの影響の程度を歪めて伝える。自説に合った効果は強く喧伝し、その他の効果は語らず無視する。過去にインフレ目標を設定することがハイパーインフレに繋がったことは一度もないのに、「理論的には」ハイパーインフレになる可能性を否定出来ないと真顔で語る本職の経済学者は何人もいた(彼らは、私よりも遥かに頭が良い正統的な経済学者である)。 今日紹介する「経済政策で人は死ぬか?」の中でも、不況が死者を減少さ
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