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ブックマーク / kokoro.kyoto-u.ac.jp (19)

  • こころ学 - 指と科学とお相撲と(1)

    皆さん「科学」というものに、どのようなイメージをお持ちでしょうか。 これは科学者の側の被害妄想かも知れませんが、しばしば「科学的」というと「ゼッタイに正しい」「ゼッタイとは言わないまでも、かなり正しい」と思われていたり、そこから逆に「こんな妙な話を”正しい”というのだから、科学は怪しい」とか思われることがあるように感じます。被害妄想かも知れませんが。 「科学の定義」については、色々な意見があることと思います。ただ一つ言えることは、「一人の天才科学者によって、世紀の大発見がなされる」という科学へのイメージは、しばしば誤りである、ということです。 もちろん、天才的な科学者、すごい研究者という人々は存在します。ヒライシが憧れる研究者も多くいます。それらの方々の研究を学会で聴いたり、論文で読んだりして、新たな発見に感動したり、目からウロコがボロボロ落ちることも多くあります(注1)。しかし「科学的発

    neko73
    neko73 2011/12/06
    性的志向との関連が部分的に認められているのか。
  • こころ学 - 怖い顔の目的、あるいは楳図かずおについての一考察

    楳図かずおでも何でも良いので、ホラーやサスペンスの漫画映画で、恐怖に襲われて叫んでいる被害者の顔を想像してください。感情の心理学という研究領域では、それを「恐怖顔」 fearful face とか「恐怖表情」fearful facial expression などと呼びます。人類学的な調査に基づいて、この「恐怖表情」をはじめ、「怒り」、「嫌悪」、「幸福」、「悲しみ」、「驚き」といった表情は、文化や民族によらず人間一般に共通していると考えられており、「基6感情」と呼ばれることもあります。 さて、仮にこうした顔表情がヒト一般、すなわちホモ・サピエンス Homo sapiens という種一般に見られるとすると、そこには何らかの進化的背景がありそうだ、という気がしてきます。事実、進化理論を最初に唱えたチャールズ・ダーウィン Charles Darwin も、既にこの点に気付いていたようで、『人

    neko73
    neko73 2011/12/03
    "恐怖表情の機能とは、「身の回りにある危険をいち早く察知すること」であり、嫌悪表情の機能とは、「病原菌や毒などが体内に入るのを防ぐこと」ではないか"で始まり楳図かずおで終わる。
  • こころ学 - 能面の笑み、能面の憂い

    子どもの頃のある冬の晩、ふと見上げた夜空に三つの明るい星が並んでいることに気が付きました。きれいな星を見つけたことを親に得意げに伝えたら「あれはオリオン座だよ」と簡単に返されました。その時に「ああ、みんな思うことは同じなんだな」と感じたことを覚えています。 オリオン座という名前は知っていました。でも、それがどんな星座かは知りませんでした。それでも、あの三つ星は「特別なもの」としてヒライシの目に映ったのです。20世紀のアジアの片隅に住む少年にも、古代ギリシャの人々にも、あの三つ星は特別に見える。古代のシュメール文化、エジプト、中国などでも、オリオンの三つ星は特別なものと考えられていたそうです(Wikipeida; オリオン座)。時代も言葉も文化も違う人々が、同じものをみて同じように感じる。人間にはさまざまな違いがあるけれど、同じ「こころ」もあるのだと思うと、ちょっと嬉しくなります。今回はそん

    neko73
    neko73 2011/02/18
    能面の方向が表すとされる感情と実験結果が違っていたという面白い話。日本の伝統芸能に理解のある考察も素晴らしい。
  • こころ学 - 上目遣いと女っぽさ

    皆さん、写真うつりを良くするために、どんなことを気をつけていますか? にっこり笑うとか、目力を込めるとか、人によりさまざまな戦略があることと思います。今回は、どんなポーズで写真を撮ると魅力的にみえるか?という研究を紹介してみましょう。 ただし、効果は女性限定です。 と、もったいつけてみましたが、おそらく大半の女性はすでにご存知のことかも知れません。 「うつむき加減から上目遣い」 だそうです。 心理学の研究を見ていると「そんなこと、知ってた」という現象が報告されていることが少なくありません。「別に大真面目な顔して"研究"とか言わなくても、そんなの分かってた」という研究。今回のも、そういうものと言えば、そうかも知れません。 しかし一方で、心理学の歴史は、人間の"直感"とか"常識"が、いかに間違いやすいものであるかも、繰り返し示してきました。だから「そんなん知ってる」という話であっても、やっぱり

    neko73
    neko73 2011/01/27
    "165枚×2(男女)=330枚の写真"これだけ使っても結果は微妙なのがまぁ研究って大変だよなぁ。
  • こころ学 - 気になる他人の目

    皆さん、ご無沙汰しております。 お元気でしたか? 「こころ学」担当の田村です。 今回は、人間は「他人の目」がとっても気になるというお話をしたいと思います。 皆さんはよくファーストフード店や学校のカフェテリアで、ランチやお茶をすると思います。 こうしたお店の多くではセルフサービス方式を取っているため、べ終わった後に器を自分で片付けなければいけません。 このとき皆さんは、きちんと器類を片付けるでしょうか。 それとも、たまには片付けを面倒に思って、つい器類をテーブルの上においたまま、席を離れたりしませんでしょうか。 お店の人にとって、器類を片付けてくれないのはとても困ります。 それではどうしたら、利用者に器類を片付けてもらえるのでしょうか。 レジでの会計の際に片付けてもらうようにお願いする? それとも時々店内を見回って、片付けない人がいたら注意する? どちらも、効果が見込めない、ある

  • こころ学 - 全ては孫のために。

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    neko73 2010/12/03
    "大きさはだいたい0.6㎜くらい。その体のほとんどが、家族を守るのための武器-分泌物-で一杯なっている姿には脅威を覚えます。"アブラムシの生存戦略の話。
  • こころ学 - オオカワウソは敬老の夢を見るか

    大変な暑さの夏でしたが、皆さま、無事に乗り切られましたでしょうか。そうこうしているうちに、ふと気がついたら敬老の日をすでに過ぎてしまっていました。時期を逸した観が大きいですが、敬老の日用に準備しておいた話を、いまさらご紹介しようと思います。 「敬老の日」を持ち出すまでもなく、日の社会には、年老いた人々への敬意を奨励する文化があります。ここには儒教の影響などもあるでしょうが、それだけなのでしょうか?例えば他の社会でも敬老の精神は見られるのでしょうか?はたまた、人間以外の動物でも、敬老の精神(に通ずる行動)が見られたりするのでしょうか? そんな疑問にたいして、Duke大学のDavenportさんが、老母をいたわるカワウソの研究を報告しています(注1)。 Davenportさんが調査したのは、南米はペールのCOCHA SALVADOR(サルバドール湖)にすむオオカワウソ(Giant Otter

    neko73
    neko73 2010/10/02
    "安易に動物の行動を擬人化して理解してはならないということがあります。しかし仮に擬人化を許したとしても、あまり「いたわって」いるようには思えないのです。"
  • こころ学 - 施しだったらごめんだぜ

    みなさんこんにちは。 朝晩はずいぶん寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。 今日は、つい最近まで日経済新聞の「やさしい経済学」というコラム欄で取り上げられていた「ゲーム理論」に関連するお話をしたいと思います。 少し抽象的な説明になりますが、あなたとあなたの友人が二人で協力して作業を行った結果、たまたまどちらかが大きくお金を稼いだという場面を想像してください。 二人とも同じくらい仕事に貢献したのに、残念ながらあなたのところにはお金が入ってきませんでした。*1 さて、このようなとき友人があなたにほんの少しだけ分け前をお情けで恵んでくれるとしたら、あなたはどのような行動をとるでしょうか。 おそらくあなたは怒って「そんな施しみたいな額なら、おまえさんにくれてやらあ」と受け取りを拒否してしまうのではないでしょうか。 心情的には非常に理解できるこうした行動ですが、経済学の世界ではこのような

  • こころ学 - 笑顔とインフルエンザの微妙な関係

    五月晴れの気持ちよい季節になりましたが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 京都は、鴨川沿いの桜もすっかり新緑に染まり美しいです。:) それなのに、新型インフルエンザのために、 米国やカナダからのお客さんが自宅待機を求められており、申し訳ない限りです。:( さて皆さん、上で使った顔文字にお気づきいただけたでしょうか? ヒライシが使った :) とか :( といった顔文字は、英語を使うときによく用いられるものです。 日でよく使う顔文字 (^^) とか (;_;) とちょっと違いますよね。何が違うのでしょう? 英語のは顔が横になってる。首をかしげないと表情が分からない。 その通りですね。ヒライシは英語顔文字を見るとき、ついつい首をかしげている自分に気がつきます。 ドライブ系のゲームをやっていると、体が動いてしまう感覚でしょうか。 でもそれだけ?もう一つ違いがありませんか? そうなんです。英語

  • こころ学 - 脳の省エネ大作戦

    惨めな思いをしたりつらい状態に追い込まれたとき、私たちはそれを「痛い」と感じます。 また、他人からほめられたりラッキーな思いをしたとき、それを「おいしい」と表現することがあります。 これらの言葉は比喩として用いられているように見えますが、脳の中を見てみると実はそれが単なる比喩とは言い切れないことが最近の研究で分かってきました。 針で刺されたりつねられたりしたときに人は痛みを感じますが、そのとき脳の中では前部帯状皮質という部分が反応することが知られています。 こうした痛みは物理的な刺激によって生じるものですが、こころがちくりと痛むような場合も、なんと脳の中では同じ部分が反応しているようです。 Takahashi et al.(2009)*1による研究では、実験参加者を脳の活動を測定する機械の中に寝かせ、そこで自分より成功している人のことを想像させました。 つまり自分が劣等感を持つような状況を

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    neko73 2010/08/19
    "「ざまあみろ」という感情を実験参加者に引き起こさせたのです(ちなみにこの感情のことを心理学では「シャーデンフロイデ」と言います)。"ゲデヒトニスはどこ?
  • こころ学 - ただ目にするだけで

    ある日あなたが教室に入ると、真っ黒のゴミ袋を頭から被った男が後ろの方の席に座っている。見えるのは裸足の足先だけ。ところが教師は、何も言わずに淡々と授業を進める。ゴミ袋男は月、水、金の2限にやってきて、クラスの一番後ろで静かに授業を受ける。そんなことが数週間にわたって続く。 あなたはどんな気持ちになるでしょうか? 実際に、そのような「実験」をした教師がアメリカにいたそうです。そして、学生たちのゴミ袋男への態度は、敵意から好奇心へと変化し、最後には友情が芽生えたそうです。 昨年末に亡くなったZajonc(ザイアンス)の代表的な論文「単純接触が態度に与える効果」(Attitudinal Effects of Mere Exposure)は、そんなエピソードの紹介から始まります。 ザイアンスはこのエピソードから、モノや人を繰り返し目にするだけで(単純接触:mere exposure)、そのモノや人

    neko73
    neko73 2010/08/19
    "もしもまだ、ある単語がたくさん使われるのは、その単語が良いモノを指しているからだとお考えなら、下の使用頻度リストをご覧あれ。そんな疑念は一掃されることでしょう。"いいなぁこういうユーモアw
  • こころ学 - 無秩序の連鎖

    皆さんは落書きのない場所と落書きだらけの場所のどちらで、捨てる場所に困ったゴミをついポイ捨てしてしまいますか。 また、違法駐車がまったくない道路と何台かが違法駐車している道路のどちらで、横断禁止の標識を無視して通りを横切ってしまうでしょうか。 1990年代中盤、落書きや器物破損、ポイ捨てといった軽犯罪の多発に頭を悩ませていたニューヨーク市は、「生活の質キャンペーン(Quality of Life Campaign)」という政策を実施しました。 この政策は、街なかの落書きを消し、通りをきれいに清掃し、治安の悪化を示す様々なものを除去するというものでした。 この政策は非常にうまくいき、ニューヨーク市の軽犯罪数は急激に減少しました。 実はこの政策の裏には「割れ窓理論(Broken Windows Theory)」という心理学の理論があります。 この「割れ窓理論」とは、ちょっとした治安の乱れや軽い

  • こころ学 - 人間椅子:神経科学版

  • こころ学 - 霊体験は可能です。

    誰でも一度くらいは心霊現象に興味を持ったことがあるんじゃないでしょうか。霊が出没すると言われる深夜の山道や廃墟になったホテル。よくあるテレビの心霊特集では、レポーターが「確かにあそこに誰かいたよ!」と震える声で言っている。さて、こうした心霊現象は、科学的に解明可能なんでしょうか?(*1) 実は、既にそれっぽい研究がいくつか行われています。今日はその中から、幽体離脱(out-of-body experience)についての研究を紹介しようと思います。 幽体離脱とは要するに、自分自身がどういうわけか自分の体の外に抜け出してしまった状態のことですね。自分の体はベッドの上で横になっているにも関わらず、自分自身は天井のあたりにフワフワと浮いており、そこから寝ている自分の体を見ているように感じられたりします。実はこの現象、広く世界中で報告があるそうです。 で、スウェーデンのEhrssonという人が、幽

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    neko73 2010/08/19
    「ぎゃー」と同じ話か。
  • こころ学 - (イグ)ノーベル賞を取るということ

    この秋、私にとってちょっとしたニュースがありました。私が専門とする「進化心理学」という領域から、(イグ)ノーベル賞が出たのです。*1 「排卵周期がラップダンサーのチップに与える効果」というタイトルの研究で、米国ニューメキシコ大学のGeoffrey Millerさん、Joshua Tyburさん、Brent Jordanさんの共同研究です。*2 ”ラップダンサーってなに??なんの研究なの??” 私もそう思いました。そしてそれは全て論文に書かれていました。ご紹介しましょう。 研究には(他のイグノーベル賞受賞研究と同じく)いたって真面目な目的があります。 他の動物と異なり、人間の女性には発情期がないと言われています。例えばチンパンジーでは、妊娠可能性の高い性周期にあるメスは、お尻が真っ赤にふくらんで、ハッキリとそれと分かります。 でも人間の女性にはそうした、妊娠可能性を示すハッキリした目印はない

  • こころ学 - ああ勘違い

  • こころ学 - 他人の痛みを感じる条件

    皆さんは、映像や写真で他人が注射をされている場面を見たとき、まるで自分が注射をされたときのように「イタタッ」となりませんか? こうした心理現象は「共感」の一つであり、痛みを感じている他者を助けるときの動機になっていると考えられています。 しかも興味深いことに、脳科学研究では、自分が実際に痛みを感じるときに活性化する脳部位が、他者が感じる痛みに対しても同じように活性化することが明らかにされています。 すなわち、他人の痛みは自分にとっても「当に」痛いわけです。 それでは、こうした痛みの共感はどんな場合にでも生じるのでしょうか。 近年の研究では、相手の性質によって、これが起こる場合とそうでない場合があることがわかってきました。 ロンドン大学のシンガーさんを中心とした研究グループは、どういう相手に対して痛みの共感が生じるのかということを、相手の「公正さ」に注目して実験的に検討しました。 この実験

  • こころ学 - 人はどれだけ覚えられるのか

    私たちはとても多くのモノ、コトを覚えて生活しています。例えば、13才児童の語彙量は3万語前後という報告があるそうです。生まれた瞬間から毎日単語を覚えていったとしても、一日あたり平均6.3語ほど新しい単語を覚えてきたことになります(閏年を無視して一年=365日で計算した場合)。中学高校で英単語を覚えるときにした苦労を思うと、母語を覚えるときの記憶力にビックリします。 それでは、私たちはいったいどれくらい沢山のコトを覚えることができるのでしょうか?そもそも記憶力に限界はあるのでしょうか?時間さえかければ、人は無限に多くのことを覚えられるのでしょうか。円周率を10万桁暗唱した方の話などをきくと、ひょっとすると人間の記憶力は無限なのかも知れない。頑張ればいくらでも沢山覚えられるのかもしれない、なんて気もしてきます。 イリノイ大学のVossさんは、この疑問に果敢に取り組みました(※1)。 Vossさ

    neko73
    neko73 2010/08/19
    "科学論文で「自分は頭が悪くないです!」と主張しているのです。こんな論文、ヒライシは今まで読んだことありません。そして、この論文に限れば自己弁護がちっとも非科学的にはなっていない。"
  • こころ学 - 「男らしさ」とは何か?:テストステロン出世仮説

    男性ホルモンと聞いて何を思い浮かべますか? 筋肉増強、体毛、声変わり、そして禿げ。男性ホルモンは、良くも悪くも「男らしさ」の活性化に重要な役割を果たしています。では、脳に対する影響はどのくらいあるのでしょうか? 巷では、「男脳」と「女脳」はどう違うのかといった議論も流行していますが、こうした話にホルモンはどの程度関係しているんでしょうか? 試しに、「男性ホルモンが濃そうな人」をイメージしてみてください。見た目はやっぱり、立派な筋肉、濃い体毛、低い声といった感じで、まさしく360度肉系。では性格は? どうやら多くの人は、「攻撃的」と想像するようです。たしかに肉獣は攻撃的ですからね。でも男らしい男性は、当に攻撃的なんでしょうか? ただの迷信? それとも真実? 今回はそんな研究をご紹介します。 確かに男らしさと攻撃性には関係があるように思えます。男性が女性に比べて体のサイズが大きく、筋肉量

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