江戸幕府公認の遊郭を抱えた吉原のガイド本として使われた「吉原細見(よしわらさいけん)」を紹介する企画展「吉原細見の世界」が、台東区西浅草の区立中央図書館「郷土・資料調査室」で開かれている。 (原尚子) 吉原細見は、遊女屋や茶店、書店などが一軒ずつ書き込まれた地図で、入り口の「大門(おおもん)」や、帰る客が後ろ髪を引かれて振り返ったとされる「見返り柳」も記されている。遊女は店ごとに格付け順に載り、「紋日(もんぴ)」と呼ばれる正月などの特別料金日も案内されている。 当初の細見は一枚絵だったが、後に喜多川歌麿の版元として知られた蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)が手がける冊子体が登場した。発行も春と秋の年二回になる。見返しに著名人が序文を寄せていることも多い。 企画展では、図書館が所蔵する約三十点の細見原本のうち一八〇〇年代の十点のほか、本草学者の平賀源内が「福内鬼外(ふくちきがい)」の名で書い