アルコール中毒、アルコール依存症の定義がどういうものかよく知らないが、二十代の終わりの二年弱のあいだの俺は間違いなくアルコール中毒だったと思う。 どんなありさまだったかというと、実際に俺と飲んだことがある人なら俺の飲みかた、飲みっぷりをイメージできると思うが、あれよりも百倍悪い。朝、起きてカップ酒を二杯飲み、昼、安酒の匂いが口から消えるとわけもなく寂しくなるので、大人の頭ほどもあるペット容器にはいった安焼酎を割らずにがぶがぶ飲んだ。夕方、缶ビールを飲みながら散歩をして晩酌は日本酒、冷酒、熱燗。ウイスキーやワインは高いので飲まなかった。味なんかわからなかったので安さと手に入れやすさが最優先だ。 本牧の倉庫で日雇い仕事をやりはじめたころは、いちばん、ひどかった。ヘイキューブという牧草を四角くかためて加工した飼料があるのだが、アメリカからコンテナで輸入されるそいつを、マタイと呼ばれた袋に詰め倉庫